近年、発達障害のある方の自立が進むなかで、一人暮らしを選択するケースも増えてきました。自由な生活には多くのメリットがありますが、その一方で生活面での困りごとを抱える方も少なくありません。この記事では、発達障害を持つ方が一人暮らしをする際に直面しやすい課題と、それを支える支援機関について詳しく解説します。
発達障害とは、生まれつき脳の機能に偏りがあり、それが原因で日常生活に困難を感じやすい状態を指します。主な種類としては、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、自閉スペクトラム症(ASD)、学習障害(LD)などが挙げられます。それぞれの障害には異なる特性があり、困難の内容も多様です。
発達障害のある方が一人暮らしをする際に直面しやすい困難として、次の5つがよく見られます。
収支のバランスを取ることが難しく、衝動的に買い物をしてしまうことがあります。クレジットカードの利用額が膨らみ、翌月の請求額に驚くといった事態も珍しくありません。収入と支出の見通しを立てる力が弱く、家計全体の管理が困難になる傾向があります。特にADHDの傾向がある方にとっては、自己制御が難しい場面が多く見られます。
生活空間の整理がうまくできないため、部屋が常に散らかった状態になりやすいという悩みがあります。物の定位置が決まっていないことにより、必要な物が見つからず、遅刻や忘れ物の原因にもなります。こうした状況が慢性化すると、日常生活全体が非効率になり、さらなるストレスの原因となることもあります。

スマートフォンやゲームなど、自分の興味関心のあることに時間を使いすぎてしまい、生活のリズムが崩れてしまうことがあります。楽しむこと自体は悪いことではありませんが、寝る時間が遅くなり、翌日の活動に支障が出るなど、生活全体に悪影響を及ぼすことがあります。一人暮らしでは誰にも止められないため、なおさらコントロールが難しくなる傾向があります。
家賃や光熱費などの支払期限を忘れてしまうと、電気やガスが止まってしまうといった事態にもつながります。また、必要な生活用品の購入を後回しにしてしまい、不便な思いをすることもあります。手続き関連でも、申請期限を逃したことで支援制度が利用できなくなるといった損失が生じることがあります。
時間の逆算が苦手な方にとっては、朝の支度から出勤までの流れを計画的にこなすことが困難になります。出発の時間から逆算して準備を進めるという習慣が身につきにくく、気がついたときには遅刻していることもあります。また、友人との約束をうっかり忘れてしまうこともあり、対人関係に影響を及ぼすこともあります。

これらの困難に対して、発達障害のある方を支援するさまざまな機関があります。主なものを3つご紹介します。
発達障害に関する幅広い相談に応じてくれる公的機関です。生活面や仕事、対人関係の悩みなどについて相談できるだけでなく、必要に応じて適切な福祉サービスや支援機関に繋いでもらえることもあります。どこに相談すれば良いか分からない方にとって、最初の窓口として非常に心強い存在です。
名前の通り、就労や生活全般に関する支援を提供している機関です。仕事に関する相談だけでなく、生活の工夫や改善に関するアドバイスも受けることができます。就労に向けたサポートと同時に、日常の困りごとを整理する際にも役立ちます。
社会福祉協議会では、日常生活に密着した支援を行っている「日常生活支援事業」があります。家事や金銭管理に困難がある場合には、ホームヘルパーのような福祉サービスの導入を検討できることもあります。また、経済的な問題について相談し、生活資金の貸付や家計の見直し支援などを受けることも可能です。
発達障害を持つ方にとって、一人暮らしは自由と引き換えに多くのハードルを伴います。金銭管理やスケジュールの管理、生活リズムの維持などは、障害特性により特に困難を感じやすい領域です。しかし、適切な支援機関に相談し、生活の仕組みを工夫することで、これらの課題は確実に軽減できます。一人で悩みを抱え込まず、支援を活用しながら、自分らしい暮らしを目指すことが大切です。