近年、発達障害のある方々の社会参加が進み、企業における雇用も少しずつ広がりを見せています。しかし、その一方で「実際に発達障害のある人はどのような雇用形態で働いているのか?」「どんな職場で、どのような配慮を受けているのか?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、発達障害のある方の雇用実態について、厚生労働省が実施した「平成30年度障害者雇用実態調査」のデータをもとに、年齢、性別、障害種別、雇用形態、職場での配慮など様々な角度からわかりやすく解説していきます。
発達障害とは、生まれつき脳の機能に偏りがあることによって、日常生活や対人関係、社会的な場面で困難を感じやすい特性を指します。大きく分けると以下のような分類があります。
これらは一人ひとりによって特徴が異なり、得意・不得意の傾向もさまざまです。そのため、適切な支援や配慮があれば、能力を十分に発揮できるケースも多く見られます。

それでは、発達障害のある方が現在どのような形で働いているのか、具体的なデータに基づいてご紹介します。
■ 雇用者数と男女比
発達障害のある方で、従業員5人以上の企業に雇用されている方の人数は、推計で約3万9,000人とされています。これは、障害者全体の雇用者数(約82.1万人)に比べるとまだ少数ですが、年々増加傾向にあります。
男女比を見ると、**男性が約80%、女性が約20%**という結果でした。これは、発達障害の中でもADHDやASDといった診断が、統計上男性に多いとされていることからも、自然な結果と考えられます。
■ 年齢別の割合
年齢別では、**30代が38.7%、20代が32.8%、40代が22.1%**という順で続いています。若年層を中心に就労が進んでいることがわかります。
■ 障害種別
障害の種類別では、**自閉症スペクトラム(ASD)の方が全体の76%**を占めており、非常に高い割合です。一方でADHDの方の割合が低くなっているのは、障害を開示せずに一般雇用として働いているケースも多いためと考えられます。
■ 手帳の等級
発達障害に関する調査では、精神障害者保健福祉手帳を取得している方が対象となっています。**3級の所持者で48.7%、2級が13.6%**です。なお、その他の回答には「無回答」「等級不明」なども含まれています。
■ 雇用形態
発達障害のある方の雇用形態は以下のようになっています。
つまり、正社員として雇用されているのは全体の約5人に1人にとどまるのが現状です。
■ 労働時間
労働時間別に見ると、以下のような傾向が見られます。
月の平均労働時間は、週30時間以上働く方で約146.6時間となっており、一般的な雇用(160〜180時間程度)に比べるとやや短めの傾向です。
■ 職種別の分布
職種別では以下のような割合となっています。
このように、対人業務や細かな作業に対応できる職種での雇用が多く見られます。

発達障害の方が働く上で、職場から受けている配慮についても、調査に基づいたランキング形式で紹介します。
■ 配慮の内容(上位10項目)
特に勤務時間の柔軟な対応が最も多く、全体の約4人に3人が何らかの配慮を受けているという結果です。通院・服薬への配慮では、通院のための休暇取得や勤務中の服薬が認められるケースもあります。また、配置転換に関しては、本人の希望や特性に応じて行う・行わない両方の配慮があり、ストレスや環境変化に対する柔軟な対応が求められています。
最後に、2021年の障害者雇用率が高い企業を3社ご紹介します。一般企業の法定雇用率が2.3%であるのに対して、以下の企業では非常に高い水準で障害者雇用が行われています。
こうした企業は、障害のある方への理解が進んでおり、安心して働ける環境が整備されています。興味のある方は、ぜひ各社の取り組みについて調べてみてください。
発達障害のある方の雇用状況や職場での配慮は、少しずつ改善されつつありますが、まだまだ課題も残っています。しかし、適切な配慮を受けることで、多くの方が自分の力を発揮し、社会で活躍しています。
これから就職を目指す方や、職場での配慮を希望されている方にとって、本記事の情報が参考となれば幸いです。自分にはどのような支援が必要かを整理し、安心して働ける環境を目指していきましょう。