見捨てられ不安がある人の5つの特徴

小さな子どもは、お母さんが突然いなくなると不安になり、泣いてしまうことがあります。それは、お母さんに甘えられなくなり、危険から守ってもらえなくなるからです。
誰しも幼い頃に経験するこの不安は、心理学で「分離不安」と呼ばれ、愛情を注いでくれる存在との別れを意味します。多くの場合、子どもは小学校に入る頃にはこの不安が自然に消え、一人で学校に行けるようになります。

しかし、大人になってからも、大切な人との関係で「分離不安」を感じることがあります。この場合の相手は親ではなく、パートナーや親友であり、大人の分離不安には「常に繋がっていたい」「常に意識してもらいたい」という強い欲求が関わってきます。寂しさがその根底にあるため、愛されなくなることへの強い不安が伴うのです。この大人の分離不安を「見捨てられ不安」と呼ぶこともあります。

見捨てられ不安は、誰もが感じることがありますが、特に感じやすい人もいます。不安が強すぎると、日常生活や人間関係に支障をきたし、場合によっては「見捨てられ抑うつ」と呼ばれるうつ病にまで発展することがあります。このような傾向がある人たちは、生まれつき敏感である場合もありますが、幼少期に親の離婚や死別、親子関係が十分に築けなかった経験が関係していることが知られています。いわゆる「大人の愛着障害」に該当する人たちです。また、大切なパートナーや親友との辛い別れがトラウマとなっている場合もあります。
今回は見捨てられ不安、その特徴についていくつかご紹介します。

まず一つ目は「人と繋がっていないと不安」という点です。遠距離恋愛のように、パートナーが物理的に離れている場合は誰でも不安を感じますが、見捨てられ不安が強い人は、同じ空間にいる時でさえ、相手が別のことに意識を向けているだけで不安になります
例えば、家でのデート中に相手がテレビを見ていると、無人島に一人置き去りにされたような感覚に陥ります。この不安は物理的な距離だけでなく、心の距離も大きな要因となります。また、スマホでひっきりなしにメッセージを送り、返信がないと極度の不安を感じることもあります。

二つ目は「親しくなると逆に不安になる」という点です。パートナーや友人との関係が親密になるほど、その繋がりが突然切れることへの恐怖が強まるため、突然関係を断つ行動に出ることもあります。また、相手に対して深く関わることで生じる不安を避けるため常に一定の距離を保ちながら人と接しようとする人もいます。

三つ目は「相手を信頼できない」ことです。見捨てられ不安が強い人は、どうせ裏切られるだろうというネガティブな信念を持ち、人を信じることができません。そのため、相手に対して過度に連絡を求めたり束縛する行動に出ます。また、わざと相手が嫌がることを言って信頼を試そうとすることもあります。

四つ目は「繋がりが切れると相手を憎む」という特徴です。相手との連絡が途絶えると、突然裏切られた感覚に襲われ、相手を激しく責めることがあります。時には、相手を脅したりストーカーのような行動を取ることもあり、社会的な問題に発展する場合もあります。

最後に五つ目は「寂しさを埋めるための行動」です。見捨てられ不安の根底には深い寂しさがあり、それを埋めるために大量の飲酒、浪費、過食などに走ることがあります。時にはゲームに没頭し、自分を傷つけてでも孤独を和らげようとする場合もあります。

見捨てられ不安を強く感じる人は、幼少期に親との愛情関係が十分に築けなかった場合が多く見られます。そのため、他者との信頼関係を築くのが難しくなることがあるのです。しかし、こうした背景が理解されず、わがままや甘えと誤解されてしまうことも多く、自己肯定感がさらに低下してしまうことがあります。

この不安を克服するためには、まずその背景を理解してくれる人との出会いが大切です。長期的な信頼関係を築くことで、不安は徐々に軽減されるでしょう。ただし、同じ見捨てられ不安を抱える人同士では、お互いに愛情を求め合い、衝突が起こりやすいため、情緒が安定した人との関係を築くことが望ましいです。また、孤独を感じないように趣味や運動を取り入れることも重要です。

最近の脳科学では、見捨てられ不安を抱える人の脳の一部が過剰に活動していることが分かってきており、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が効果的であることも報告されています。
不安が強く、生活が困難になった場合は、精神科の受診をお勧めします。