精神科デイケアという言葉を耳にしたことはあっても、具体的にどのような場所で、どんな人が利用できるのか、イメージがつかみにくい方も多いのではないでしょうか。
本記事では、精神科デイケアについて詳しく知りたい方、また「社会復帰をしたいけれど、仕事や就労移行支援はまだハードルが高い…」と感じている方に向けて、精神科デイケアの目的や内容、就労支援との違いについて分かりやすく解説していきます。
精神科デイケアは、精神障害のある方が日常生活の安定を図りながら、社会復帰を目指すための通所型リハビリテーションです。
デイケアは、以下のような医療・福祉機関で実施されています。
その名の通り、「日中だけ通う」リハビリ施設であり、入院や就労の間の中間的なステップとして位置づけられることが多いです。利用者は、定期的に施設へ通い、さまざまなプログラムに参加しながら、生活リズムの回復や対人関係の訓練、自立に向けた準備を進めていきます。
精神科デイケアの費用は、施設の運営母体や規模によって異なりますが、医療保険が適用されるため、多くの場合は3割負担で1回あたりおよそ2000円前後になります。また、「自立支援医療制度」を利用することで、自己負担が1割に軽減され、負担額を抑えることができます。
一部の公的機関(保健所など)では、無料で利用できる場合もあるため、事前に問い合わせてみるとよいでしょう。
なお、利用を希望する際は、まず主治医と相談するところからスタートします。主治医の診断や紹介が必要となるため、まずは医療機関での受診が前提となります。
では、精神科デイケアはどのような目的で利用されるのでしょうか?
厚生労働省が2008年に実施した調査では、以下のような利用目的が上位に挙げられています。
このように、単に「病気を治す」ことだけが目的ではなく、「より良く生きる」ことを目指す場であることがわかります。日々の暮らしを安定させたい、他者との関係性を改善したい、趣味を楽しみながら自信をつけたい、といった様々なニーズに応える場所となっています。
精神科デイケアでは、多彩なプログラムが用意されており、利用者の状態や希望に合わせて参加することができます。以下は代表的なプログラムの内容です。
比較的参加しやすく、楽しみながら取り組める内容が中心です。手先を使う作業や、五感を刺激する活動は、心身のリラックスにも効果があります。
例:
運動によってストレスを発散したり、体力を回復したりすることを目的とした活動です。激しい運動ではなく、無理なく取り組める内容が多いため、体調に不安のある方でも参加しやすくなっています。

例:
自身の病気や障害に対する理解を深めると同時に、症状のセルフマネジメント力を養います。集団で行うことも多く、他者と意見を共有する機会も得られます。
例:
社会復帰を視野に入れた人に向けたプログラムも用意されています。就職活動に必要なスキルや準備を、段階的に身につけることができます。

例:
精神科デイケアと似た支援サービスとして、「就労移行支援」があります。どちらも社会復帰をサポートするという点では共通していますが、いくつか明確な違いがあります。
| 比較項目 | 精神科デイケア | 就労移行支援 |
|---|---|---|
| サービスの種類 | 医療サービス | 福祉サービス |
| 主な目的 | 日常生活の安定、自立支援、対人スキル向上など | 一般企業への就職を目指す訓練 |
| 利用者の状態 | 就職準備前の段階、または休職・離職中の方が多い | 就職の意思が比較的明確な方 |
| 負担感 | 無理のないペースで参加可能 | 週5日通所など継続的な訓練が求められる場合が多い |
「就労移行支援はまだハードルが高い」と感じる方にとって、デイケアは一歩手前の準備段階として有効な選択肢になりえます。実際に、デイケアと就労移行支援を併用し、段階的に支援の重心を移していくという利用方法も一般的です。
精神科デイケアは、精神的な不調や障害を抱える方が、自分らしい生活を取り戻すための大切なステップを支える場所です。
社会復帰や就労を焦ることなく、自分のペースで生活力や対人スキルを養い、心身のバランスを整えていくことができます。

「いきなり就職や就労移行は不安だけど、家にずっといるのもつらい」と感じている方にとって、精神科デイケアは無理のない形で新しい一歩を踏み出すサポートをしてくれる存在です。
もし気になる場合は、まずは主治医に相談してみましょう。あなたに合った支援が、きっと見つかるはずです。