障害者雇用を行う企業側のメリットとは?―今知っておきたい制度とその利点―
障害者雇用という言葉を耳にしたことがある方は多いかもしれません。しかし、実際にその中身や企業にとってのメリットについて詳しく知っている方は、それほど多くはないのではないでしょうか。この記事では、障害者雇用の基本的な制度の概要から、企業がこの制度を活用することで得られる主なメリットまで、分かりやすく丁寧に解説していきます。
障害者雇用とは何か?
障害者雇用とは、企業などが障害のある方を特別な雇用枠で採用し、働く機会を提供する制度のことです。これは、単なる福祉的な取り組みではなく、法的な義務でもあります。
たとえば、常時雇用している従業員が43.5人以上の企業には、障害者を1人以上雇用する義務があります。この基準は「法定雇用率」として定められており、民間企業では2021年(令和3年)時点で2.3%と設定されています。
この法定雇用率を満たしていない企業には、以下のようなペナルティが課される可能性もあります。
つまり、障害者雇用は「しなければならない」ものとして、企業運営に関わる重要な要素となっているのです。
企業側の課題と現状
では、企業が障害者雇用を進める上で、どのような課題があるのでしょうか。
厚生労働省が平成24年に行った「中小企業における初めての障害者雇用にかかる課題と対応に関する調査」によると、以下のような課題が上位に挙げられています。
これらは、障害者雇用に不慣れな企業が直面しやすい課題です。ただし、これらの悩みに対しては、障害者雇用支援センターやハローワーク、地域障害者職業センターなどの専門機関からアドバイスを受けることができます。初めての雇用でもサポート体制を活用することで、ハードルを下げることは十分に可能です。
障害者雇用を行う企業側の主なメリット

障害者を雇用することには、企業側にも数多くのメリットがあります。以下に、その代表的な3つをご紹介します。
1. 業務の整理ができる
障害者雇用を進める過程で、まず必要になるのが「業務の切り出し・洗い出し」です。つまり、社内にある仕事の全体像を把握し、どの業務を誰に任せるべきかを再整理することになります。
この過程は、単に障害のある方に任せられる仕事を探すだけでなく、社員一人ひとりのスキルや適性を見直す機会にもなります。たとえば、「この仕事は難易度が高いからベテランに任せよう」「この作業は分担してマニュアル化すれば新人でも対応できる」など、作業の見直しが行われます。
結果として、社内の生産性が向上し、チーム全体の業務効率も高まるという大きな効果が得られるのです。
2. 企業のイメージアップ・社会的責任の遂行
障害者雇用を積極的に行うことは、企業の社会的責任(CSR)を果たす行動のひとつです。障害者が活躍できる職場環境を整えることは、企業の多様性(ダイバーシティ)を象徴する取り組みでもあります。
このような姿勢は、採用活動や取引先からの評価にも好影響を与えます。「社会貢献を重視している企業」としての印象を持ってもらえるため、優秀な人材の確保や、企業イメージの向上にもつながります。
特に上場企業や中堅以上の企業では、障害者雇用の実績がIR資料やCSRレポートに掲載されることもあり、社会的信用の一部として機能しています。
3. 助成金を受け取れる

障害者雇用を行うことで、国や自治体からの助成金制度を活用することができます。主な助成金制度は以下のとおりです。
特にキャリアアップ助成金は、障害者の雇用形態が「有期契約」に偏っている現状に対する有効な解決策の一つとも言えるでしょう。制度をうまく活用することで、障害者も企業も持続的な雇用関係を築くことが可能です。
まとめ
障害者雇用は、単なる法的義務として捉えるのではなく、企業にとっても成長と発展のチャンスになり得る制度です。
これらの点から見ても、障害者雇用は企業にとって「負担」ではなく、「可能性」と言い換えることができます。
初めて障害者雇用を行う企業にとっては不安も多いかもしれませんが、国や自治体のサポート体制、助成金制度を活用しながら、前向きに取り組んでみてはいかがでしょうか。