【うつ病の方の再就職に向けた丁寧なガイド】
近年、精神疾患のひとつである「うつ病」によって離職を余儀なくされる方が増えており、その後の再就職に不安を抱える人も少なくありません。この記事では、うつ病を経験した方が再び社会へと踏み出すための注意点や働き方の工夫について、わかりやすく解説していきます。うつ病からの回復を経て再就職を目指す方、そのご家族や周囲の支援者の方にもぜひ参考にしていただきたい内容です。
再就職前に確認したい3つの注意点
① 本当に体調は整っているか
うつ病を経験した方にとって、再就職への焦りは自然な感情です。経済的な事情や社会的な立場、周囲の期待などから「早く働かねば」と思うことは当然でしょう。しかし、体調が完全に整っていない状態で再就職を急いでしまうと、再発や悪化のリスクが高まる可能性があります。再就職の時期を決める際には、主治医の診断を受け、その判断を最優先することが重要です。また、支援者や第三者の意見も参考にしながら、自分の状態を客観的に見つめ直す時間を取りましょう。
② 再発に注意する
うつ病は再発率が高い疾患として知られており、統計的には50〜60%が再発を経験するといわれています。さらに、再発を繰り返すことで再発率が高くなる傾向もあります。たとえある程度症状が治まってきても、「就職=治癒」と考えるのは危険です。再就職後も引き続き医療機関への通院を続け、薬の服用を自己判断でやめないよう注意しましょう。治療と仕事の両立を意識しながら、長期的な視点で健康を維持していくことが大切です。
③ どのような仕事を選ぶか
うつ病の再発を防ぐためには、仕事の内容や働く環境にも配慮が必要です。過去にうつ病を発症した原因が職場のストレスや特定の業務にある場合、同様の職種や職場環境は極力避けた方が良いでしょう。たとえば、「長時間労働」や「対人関係の多い職種」がストレスの原因だった方は、残業が少なく、黙々と作業するような仕事が向いている場合もあります。どのような仕事や働き方が自分に合っているのか、しっかり自己分析することが重要です。
再就職のための2つの働き方の工夫

働き方① 労働時間を調整する
うつ病からの回復期には、いきなりフルタイム勤務に戻るのではなく、短時間勤務や週の勤務日数を減らして始めることが推奨されます。たとえば「週24時間勤務」や「週3日勤務」からスタートし、徐々に体調に合わせて勤務時間を増やしていくという方法があります。また、生活リズムを一定に保つことも再発防止には効果的です。そのため、夜勤や不規則なシフト制の職場よりも、朝から夕方までといった時間が固定された職場の方が安定しやすいといえるでしょう。
働き方② 一般雇用か障害者雇用かを選ぶ
障害者雇用制度は、精神障害を持つ方が安心して働くことができるように配慮された雇用形態です。勤務時間や休憩の取り方、仕事内容などについて配慮が得られる場合が多く、再発リスクのある方にとっては心強い制度です。ただし、障害者雇用で働くためには障害者手帳の取得が必要です。なお、障害者雇用であっても体調管理は必須であり、頻繁に欠勤するような状況はどの雇用形態でも継続勤務が難しくなります。
生活支援制度の活用
働き始めるまでに時間がかかる場合や、短時間勤務による収入の不安がある方には、障害年金の申請を検討することをおすすめします。障害年金は仕事をしながらでも受給できるケースがあり、経済的な安心感を得ることができます。また、再就職に向けて不安が強い場合は、就労移行支援や障害者職業センターなどの支援機関を利用して、徐々に社会復帰を目指すステップを踏むのも有効です。
安定して働き続けるための工夫と考え方

再就職した後も、継続して働き続けることは決して容易なことではありません。特にうつ病を抱えている方にとっては、波のある気分やストレスにどう向き合うかがカギとなります。そこで重要になるのは、「落ち込んだときの対処法」だけでなく、「落ち込まないようにするための予防策」をあらかじめ講じておくことです。たとえば、自分にとってのストレス要因を把握しておき、避けられるような工夫をしておく。スケジュール管理に余裕を持たせる。過度な期待を自分に課さない——そういった日常的な予防意識が、長く働き続けるための土台となります。
うつ病の再就職支援では、「調子が悪くなったときにどうするか」だけではなく、「調子を崩さないように日々をどう整えるか」という視点も忘れてはなりません。これはうつ病に限らず、発達障害や他の精神疾患など、さまざまな事情を抱えた方の職場定着支援にも通じる考え方です。
まとめ
うつ病からの再就職は、決して簡単な道のりではありませんが、適切な準備と配慮、そして支援を受けることで十分に可能です。体調を見極め、自分に合った働き方を選び、働きながらも治療を続ける姿勢を持つことが大切です。制度や支援機関を上手に活用し、無理なく社会復帰を目指しましょう。
うつ病に限らず、再就職を目指す全ての方にとって、自分自身の状態を正しく理解し、継続可能な働き方を見つけることが最も重要です。そのために、焦らず、着実に一歩ずつ歩んでいくことが、未来への確かな道となるのです。