病気には、大きく急性疾患と慢性疾患の二つのタイプがあります。急性疾患は風邪のように短期間で回復するもので、慢性疾患は糖尿病や高血圧のように徐々に進行し、長期間にわたる治療が必要です。では、うつ病はどちらに分類されるのでしょうか。
うつ病は基本的に慢性疾患に分類されます。薬を飲むことで一時的に症状が和らぐことがありますが、多くの人が再発を繰り返し、数年から数十年にわたる治療や予防が必要になります。
これは、糖尿病や高血圧と同じように、長期にわたる管理が必要な点で共通しています。
かつて、うつ病は「心の風邪」として宣伝されたことがありました。しかし、
その後の調査では、うつ病が回復した患者の約4人に1人が半年以内に再発し、2人に1人は1年以内に再発していることがわかりました。さらに、5年間の追跡調査では3人に2人が再発しており、再発するたびに症状が悪化し、再発の頻度も増すという悪循環に陥ることが確認されています。これらの結果から、うつ病は「心の風邪」ではなく、深刻な慢性疾患であることが明らかになっています。

調査の結果、うつ病が慢性化しやすい人にはいくつかの共通点があることがわかりました。
今回は、うつ病が長引きやすい人の特徴について解説します。
これに該当する人は、数年から数十年にわたって薬を飲み続け、再発を予防する必要があります。
まず、症状が重かった人や再発が多い人は、長期的な治療が必要です。例えば、長期間の入院が必要だった人や、妄想を伴う精神病的な症状があった人、日常生活がままならなくなった人は、より長く薬を服用する必要があります。再発を繰り返す人も同様に、長い治療が必要で、特にストレスを避けられない仕事をしている場合は注意が必要です。
次に、不安症状やパニック発作がある人もうつ病が慢性化しやすい傾向があります。これらの不安症はうつ病と併存することが多く、パニック発作のような発作性の不安がある場合、治療は長期に及ぶことがあります。また、10代や20代前半に発病した人もうつ病が長引くことが多いです。この時期は人生の重要な学びの時期であり、うつ病が社会とのつながりを妨げることがあります。
さらに、孤立している人もうつ病が慢性化しやすいです。特に、家族や周囲の理解が得られず、うつ病を「気の持ちよう」と捉えるような環境にいると、治療が長引くことになります。
また、発達障害やパーソナリティ障害がある人は、うつ病になりやすく、治療が長引く傾向があります。
女性の場合、産後うつ病も慢性化する可能性があります。出産後のホルモンバランスの変化や育児の負担が、うつ病を引き起こすことがあります。
また、アルコールを常用する人もうつ病が悪化しやすく、長引く傾向にあります。アルコールは一時的に気分を良くするものの、長期的には脳に悪影響を及ぼし、うつ病を悪化させるからです。

うつ病の再発を防ぐためには、規則正しい生活を送り、ストレスを軽減することが重要です。しかし、人生には予期せぬ出来事がつきもので、無理をせざるを得ない時もあります。そんな時こそ、
医師の指導のもとで薬を継続的に服用することが再発を予防するための最も確実な方法です。 薬を飲むことに対して弱さを感じる人もいますが、それは誤解です。薬を適切に服用することで再発を防ぎ、日常生活を送ることができているのなら、それはうつ病を克服している証拠でもあります。
今回紹介した特徴に当てはまる人は、10年、20年と薬を飲み続ける可能性がありますが、長期にわたる服薬は決して悪いことではありません。薬を利用して日々の生活を維持できていることこそ、うつ病に立ち向かっている証なのです。