発達障害というと、注意欠陥・多動性障害(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)、学習障害(LD)などがよく知られています。こうした障害は、脳の特性によって生じるものですが、実は「視覚の使い方」にも大きく関係していることをご存じでしょうか?
本記事では、「ビジョントレーニング」という視覚機能を高める訓練が、発達障害のある方にとってなぜ有効なのか、その理由や具体的な方法について詳しくご紹介します。「視覚からの情報処理が苦手だと感じる方」「日常生活で目の使い方に課題を感じている方」にとって、参考になる内容となっています。
発達障害とは、生まれつき脳の機能に偏りがあることにより、日常生活や社会生活において困難を感じやすい状態を指します。代表的な発達障害には以下のようなものがあります。
これらの障害を持つ方の中には、視覚からの情報処理が苦手であることが少なくありません。そうした課題の改善に役立つのが「ビジョントレーニング」です。
ビジョントレーニングとは、「視力」ではなく「視覚機能」を高めるためのトレーニングです。視力検査で測られるのは遠くのものをどれだけはっきり見えるかといった“目の良さ”ですが、ビジョントレーニングが目指すのは「見た情報を正しく脳で処理し、行動に活かす力」の向上です。
視覚機能は、大きく以下の3つに分類されます。
目をスムーズに動かして、見たいものにピントを合わせる力です。文章を読むときに行や文字を飛ばさずに追えるかどうかに関係しています。
見たものの形・色・大きさ・距離・動きなどを正確に認識する力です。地図を読む、空間を把握する、ものを並べるといった作業に必要とされます。
視覚から得た情報をもとに、身体を正確に動かす力です。例えば、見たものを手でつかむ、タイミングよくボールを打ち返すなどが含まれます。

これらの視覚機能は、スポーツだけでなく日常生活のあらゆる場面で必要不可欠なものです。
視覚機能がうまく働かないと、以下のような困難が生じやすくなります。
特に発達障害のある方は、生まれつきこうした視覚機能が弱い傾向があり、日常的な動作や学習においてストレスを感じることが多いのです。
そのため、ビジョントレーニングによって視覚機能を高めることで、生活の質を向上させることができるのです。
発達障害を持つ方の中には、「目は良いけれど、見たものを理解しにくい」「黒板の文字をノートにうまく写せない」「地図や図形が苦手」という方が少なくありません。これは、視力そのものに問題があるのではなく、視覚処理能力に課題があるからです。
例えば、LD(学習障害)の方の場合、文章を読み進めることに困難を感じることがあります。これは、眼球運動がうまくいかず、文字の行を追うのが難しいためです。このようなケースでは、視覚機能に特化したトレーニングが大きな助けとなります。
それでは、実際にどのようなトレーニングがあるのかを、視覚機能別に紹介していきましょう。

ビジョントレーニングは、特に発達障害の子どもに向けた支援として広く用いられていますが、大人にも十分な効果があります。たとえば、以下のような場面で効果を実感する方が多くいます。

日々の生活や仕事において、目を使う場面は非常に多いため、大人の視覚機能を鍛えることは生活全般のパフォーマンスを高めることにつながります。
発達障害を持つ方にとって、視覚機能の問題はしばしば見逃されがちですが、日常生活や学習、仕事に大きな影響を与える重要な要素です。ビジョントレーニングは、その視覚機能を向上させるための効果的な手段であり、子どもから大人まで幅広い世代に有効とされています。
「見る力を鍛えること」で、生活の質や学びの効率、集中力、運動能力までもが改善する可能性があります。今まで気づかなかった困難の原因が、実は“目の使い方”にあったのかもしれません。
ぜひ、ご自身や身近な方のサポートの一環として、ビジョントレーニングを取り入れてみてはいかがでしょうか。視覚機能を見直すことは、新しい自分を発見する第一歩になるかもしれません。