近年、職場の多様性が叫ばれる中で、「発達障害」の特性を持つ部下や同僚が増えています。彼らの個性や強みを理解し、適切に支援することは、チーム全体のパフォーマンス向上にもつながります。しかし一方で、発達障害の特性により、日常の仕事の中でトラブルや困難が生じやすいことも事実です。そこで今回は、発達障害の部下や同僚の「良さ」を引き出し、職場で活躍してもらうための具体的な方法をご紹介します。
発達障害とは、生まれつき脳の機能の一部に偏りがあるため、生活や仕事の中で生きづらさを感じやすい障害の総称です。代表的なものに、注意欠如・多動性障害(ADHD)、自閉スペクトラム症(ASD)、学習障害(LD)などがあります。これらはそれぞれ特徴や困りごとが異なり、周囲の理解と支援が求められます。
発達障害の人が仕事で起こしやすいトラブルとは?
職場でよく見られる困りごとは主に以下の4点です。
1. スケジュールやタスク管理が難しい
仕事の期限が迫っているのに、優先順位がつけられずに期限内に終わらないことがあります。これは、やるべきことの整理や時間配分の難しさに起因します。
2. 作業に時間がかかる
一つひとつの作業に時間がかかり、周囲の同僚と比べて作業ペースが遅く感じられることがあります。時間意識や効率性の調整が苦手な場合が多いです。
3. 作業手順のミスが多い
決められた手順を抜けたり、間違ったりしてしまうことも多く、ミスが頻発しがちです。
4. 仕事のミスによる自己肯定感の低下
ミスを繰り返すことで「自分はできない人間だ」と感じてしまい、モチベーションや自信を失うことがあります。
部下の「良さ」を引き出すためのコツ4選
発達障害の特性から、一般の感覚では「なぜできないのか?」と疑問を持ってしまいがちですが、彼らの困難さの根本原因を理解し、適切な支援を行うことが重要です。以下に、タスク管理の漏れを防ぎ、仕事の質を上げる具体的な4つの方法をご紹介します。
① メモをとらせる
発達障害の人はメモを取ること自体が苦手な場合があります。必要な情報が抜け落ちていたり、メモが曖昧だったりすることも少なくありません。そこで、メモをとる際に「5W1H(いつ・どこで・だれが・なにを・なぜ・どうやって)」に沿って書けているかを一緒に確認すると効果的です。ポイントを整理しながらメモを取る習慣を身につけることで、情報の抜け漏れを減らせます。
② タスクを書き出す
今抱えている仕事の量を「見える化」することが大切です。本人だけでなく、上司や同僚とも共有し、「今どれくらいの仕事をしているか」を把握することで負担感を軽減できます。書き出したタスクは進捗管理にも役立ち、次に何をすべきかが明確になります。
③ 緊急度と重要度を軸に優先順位をつけさせる
仕事の優先順位を付けることは、発達障害の方には難しい場合が多いですが、コツを教えればできることもあります。時には工夫が必要ですが、緊急度と重要度の2軸を使いながら、どの仕事から取り組むべきか一緒に考えてあげるとよいでしょう。
④ 各タスクのかかる時間を設定して明確にする
時間管理が苦手なため、「何から手をつけてよいかわからない」「時間がいくらかかるか予測できない」といった課題があります。そこで、各タスクにかかる想定時間を設定し、取り組む順番を明確に示すことが有効です。時間意識の補助としてスケジュールを作り、進捗を管理しましょう。

「作業に時間がかかる」問題の解決方法
作業に時間がかかることを改善するには、具体的なサポートが必要です。
こうした観察とフィードバックを繰り返すことで、徐々に効率化を図ることができます。
「作業手順のミスが多い」問題の解決方法
作業のミスを減らすには、「マニュアルの整理」が最も有効です。
このような工夫により、手順の抜けや間違いを減らすことが可能です。
「仕事のミスによる自己肯定感の低下」問題への対処法
仕事でミスを繰り返すと、自信を失い自己肯定感が低くなることがあります。この悪循環を断ち切るために、上司や同僚は次のような姿勢で臨みましょう。
発達障害の特性は一見、職場での困りごととして捉えられがちですが、その裏には個性的でユニークな強みや能力が隠れています。たとえば、
などが挙げられます。これらを活かせる仕事や環境を整えることは、本人のやりがいにもつながり、組織としての成果にも良い影響を与えます。

発達障害の部下や同僚が持つ特性を理解し、困りごとに対して適切に支援することは、彼らの強みを引き出す第一歩です。今回ご紹介した
といった具体的な方法を取り入れることで、発達障害の人が能力を発揮しやすい職場を作ることができます。
上司や同僚が「最高のサポーター」として関わることが、発達障害の人だけでなく、職場全体の生産性や雰囲気を向上させることにつながるでしょう。