「怠け」「わがまま」と誤解される精神疾患の7つの症状・「怠け病」「わがまま病」の正体【うつ病】【適応障害】【統合失調症】【ADHD】


多くの精神疾患は、集中力の低下や活力の減少を引き起こすため、周囲の人からは「やる気がなくなり、1日中ゴロゴロしている」と誤解されることがあります。

「怠けている」や「わがままを言っている」といった誤解を受けることが少なくありません。

しかし、実際には食事をとることができたり、テレビやパソコンを見たり、さらには好きな買い物ができる場合もあるため、そうした行動を目にした周囲から「怠けている」や「わがままを言っている」といった誤解を受けることが少なくありません。

これは、脳の機能が低下することで起こる現象であり、決して本人の怠惰やわがままとは無関係なのです。

このように、精神疾患の診断がついている場合であれば、周囲も理解を示しやすいものですが、問題は、本人や周囲がその精神疾患に気づけていない場合です。この場合、どのようなことが起こるでしょうか。

多くの精神疾患は、本人も気づかないうちに発症することがあり、そのために適切な対応がなされないことがあります。例えば、うつ病や適応障害のような病気では、日常生活が一見通常通りに営まれているように見えることが多く、本人が「好きなことはしているのに、肝心なことはやらない」と周囲から批判されることもあります。

今回は、特に「怠け」や「わがまま」と誤解されやすい精神疾患の症状を7つにわたってご紹介します。これらの症状の背後には、実際には病気が隠れている可能性があるのです。

1. 好きなことはやっても、肝心なことはやらない

1. 好きなことはやっても、肝心なことはやらない

例として、皇后雅子様のケースが挙げられます。雅子様は、2003年頃から体調を崩され、2004年に「適応障害」の診断が公表されました。当時、公務をお休みされていたものの、プライベートでディズニーランドや高級レストランを訪れたり、乗馬を楽しむ姿が報道されたため、一部の世論からは「わがまま」とバッシングを受けた時期がありました。

しかし、うつ病や適応障害は、気力が減退し、倦怠感が強くなるため、重要なことに手がつけられない病気です。このため、誤解されやすい病気のひとつです。

もし、自分がこの病気にかかっていることに気づいていないと、本人は「辛いことから逃げてばかりの自分はダメな人間だ」と自責の念に駆られることがあります。

また、少し意味が異なりますが、大切なことを後回しにする傾向は注意欠如・多動症(ADHD)の人にもよく見られます。

ADHDは発達障害の一つで、気力のムラがあり、興味の持てないことに対しては最後の締め切り間際まで手をつけない傾向が強いです。例えば、夏休みの宿題をギリギリまでやらないといった行動は、ADHDの典型的な症状のひとつです。

2. 片付けをしない

2. 片付けをしない

片付けは、意外にも脳のさまざまな機能を使う複雑な行動です。そのため、うつ病や適応障害だけでなく、ほぼすべての精神疾患において、部屋を片付けることが難しくなります。

特に、ADHDの人は、使ったものをそのままにしてしまう、食べたものを片付けない、といったことが日常的です。結果として、部屋が散らかり放題になりがちです。

例えば、娘さんが40歳にもなるのに部屋の片付けができず、母親が「私がいなくなったらどうするんだろう」と心配し、何十年にもわたって喧嘩を続けている親子がいます。これは、娘さんがADHDという発達障害に気づいていないケースの一例です。

3. 遅刻や忘れ物が多い

3. 遅刻や忘れ物が多い

睡眠障害によって朝起きられず、会社や学校に遅刻してしまうのは、うつ病や適応障害に典型的な症状です。他の多くの精神疾患でも、同様の傾向が見られます。また、集中力が低下することで、忘れ物や落とし物が増えることもあるでしょう。

実際に、ある人気芸能人が毎回ロケに遅刻し、忘れ物をすることで先輩芸人から注意されたエピソードが話題になりましたが、これもADHDの可能性があります。

ADHDの人は、子どもの頃から遅刻や忘れ物の常習犯であり、親のしつけ不足だと誤解されることがありますが、実は生まれつきの病気による症状なのです。むしろ、厳しく叱られることで自己肯定感が低下している場合もあります。

4. つまらないミスが多く、根気がない

4. つまらないミスが多く、根気がない

うつ病や適応障害では、集中力や気力の低下により、仕事上でのミスが増えることがよくあります。また、根気が続かず、責任を避けたくなることも症状の一部です。

類似の症状として、ADHDの人は軽はずみに行動してしまい、短絡的な判断をするためにミスが多くなりがちです。また、飽きっぽく根気が続かないため、結果的に同じようなミスを繰り返すことも少なくありません。

5. 礼儀を知らないように見える

上司や先輩に対してため口を使ったり、挨拶ができないことで「礼儀を知らない」「生意気だ」と誤解される人がいます。

しかし、これは礼儀がないのではなく、相手との関係性を理解できない可能性があります。自閉スペクトラム症(ASD)は、相手の気持ちを読み取る能力が欠けており、対人関係を築くことが苦手です。

この発達障害の特徴として、ため口や敬語の使い方が不自然であったり、適切な挨拶ができないことがあり、その結果、誤解を招くことがあります。

6. 協調性がないように見える

ASDの人は、他者との関係構築が苦手なため、チームで仕事をしていても、個人プレーに走ってしまうことがあります。その結果、「自分勝手」や「みんなをバカにしている」といった誤解を受けることがあります。

しかし、実際には場の空気を読むことが難しいために、チームプレイができないのです。人間関係に強い緊張を感じる病気には、統合失調症や社会不安症もあります。これらの病気では、人間関係を避ける傾向が強くなります。

7. 突然仕事を辞める

7. 突然仕事を辞める

職場で何か不都合が生じたときに、突然出勤しなくなることを俗に「バックレる」と言いますが、うつ病や適応障害、ASDの人は、このような行動をとりがちです。

朝起きられなくなり、重要な仕事を欠勤してしまうこともあります。しかし、後から病院の診断書を提出することで、職場にその理由を理解してもらえることもあります。

一方、ASDの人は、前日まで普通に過ごしていたのに、何の前触れもなく急に職場を辞めてしまうことがあります。その理由は、仕事や人間関係のストレスだけでなく、上司の声が大きすぎて耐えられない、隣の人の動作が気になるといった敏感な反応によるものです。こうしたストレスは倦怠感や頭痛、腹痛といった身体症状として現れ、結果的に無断欠勤となることがあるのです。

精神疾患を抱えていると気づかないまま、自分を「怠けている」「わがままだ」と責め続けてしまう人もいます。また、家族の精神疾患に気づけない場合、「いつまでわがままを言っているんだ」と喧嘩が絶えない家庭もあるでしょう。

適切な診断を受けることが大切です。

このように、精神的な症状に気づいた場合は、性格の問題として片付けるのではなく、まずは病院を受診し、適切な診断を受けることが大切です。うつ病、適応障害、ADHDやASDなど、発達障害が隠れていることも多いのです。

以上が「怠け病」「わがまま病」と誤解されやすい精神疾患の7つの症状と、その背景にある真実についての説明でした。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。