【障害者雇用】コロナ禍でも需要がある職種5選【就労実態】

新型コロナウイルスの感染拡大は、日本国内の雇用情勢に大きな影響を及ぼした。その中でも、障害者雇用に関する状況は顕著な変化を見せた。ここでは、コロナ以前と以後における就職動向の変化、需要が見込まれる職種、そして障害者雇用の今後の可能性について、具体的なデータを交えながら解説する。

障害者雇用とは何か

障害者雇用とは、障害を持つ人々を対象とした特別な採用枠であり、企業が障害のある人を雇用する制度である。この制度の最大の特長は、「合理的配慮」が受けられる点にある。合理的配慮とは、障害特性により仕事に困難を感じる場面に対し、企業が環境を整えることで業務の継続を可能にする取り組みのことを指す。

たとえば、視覚障害者に対しては拡大読書機や音声読み上げソフトの導入、聴覚障害者に対しては筆談やチャットツールを活用したコミュニケーション体制の整備などが合理的配慮に含まれる。このようなサポート体制が整っていることで、障害の有無にかかわらず自分の力を発揮できる職場環境が生まれている。

日本では、一定規模以上の企業に対して障害者の雇用が法的に義務付けられている。たとえば、民間企業では、従業員数が43.5人以上の場合、障害者の雇用率を2.3%以上に保たなければならないとされている。これは、従業員100人あたりに換算すると、少なくとも2名以上の障害者を雇用する必要があるという意味である。

コロナ前後の雇用動向の変化

コロナ前後の雇用動向の変化

コロナ以前と以後では、障害者の就職状況にも明確な変化が見られた。2019年における障害者雇用の求人件数は約21,000件であったが、2020年になるとその数は約16,200件にまで減少した。これは実に約22%の減少であり、大きな影響を受けたことがわかる。

産業別に見ると、農林漁業以外の全ての業種で求人件数は減少している。特に、宿泊業、飲食業、娯楽業など、生活サービスに関連する業種では、およそ30%前後の減少が見られた。こうした業種は人の移動や密集が前提となるため、感染リスクの観点からも業務縮小や閉鎖を余儀なくされるケースが多く、それに伴い求人の抑制が進んだと考えられる。

さらに、実習の受け入れ停止や職場見学の制限など、職業訓練施設にとっても厳しい状況が続いた。特に2020年4月から9月の間には、障害者の解雇者数が約1,200人に達した。前年同期はおよそ350人であったため、約3倍以上の増加となる。これは障害の有無に関係なく広く見られた傾向ではあるが、障害者雇用においても例外ではなかった。

特例子会社の増加というポジティブな動き

一方で、明るい兆しもある。それが「特例子会社」の増加である。特例子会社とは、大手企業が設立する子会社で、自社の業務の中から障害者に向いている作業を分担して任せる体制を整えている。この仕組みでは、特例子会社で働く障害者も本体企業の雇用率に算入される。

2023年6月時点のデータによると、特例子会社の数は約560社にのぼり、前年に比べて20社ほど増加している。これは、コロナ禍においても障害者を積極的に雇用しようとする企業の姿勢が表れている結果である。大手企業が主導するこうした取り組みは、障害者雇用の安定と発展に寄与している。

今後需要が見込まれる職種

今後需要が見込まれる職種

今後、障害者を含む労働者にとって需要が高まると予想される職種は複数存在する。まず第一に挙げられるのは、看護師や保育士、介護士といった福祉・医療関連職である。これらの職種は慢性的な人手不足が続いており、コロナ禍でその重要性が一層強調された。

次に、不動産関連の仕事も注目されている。在宅勤務の普及により、都市中心部にこだわらない住宅ニーズが高まり、地方移住や引越しの機会が増加した。これに伴い、不動産取引や物件管理に関する職種への需要が広がっている。

さらに、IT業界も強い追い風を受けている。特にプログラマーやエンジニアといった職種は、いわゆる“巣ごもり需要”の恩恵を受け、在宅勤務との相性も良いため、多くの人が注目している分野である。集中して一人で作業できるという点では、ASD(自閉スペクトラム症)など特性を持つ人にとっても適応しやすい職場環境が整いやすい。

雇用機会は依然として存在する

求人件数や解雇者数の増加というネガティブな側面が取り上げられることも多いが、実際には就職のチャンスが完全に失われたわけではない。障害者支援施設「コネクト」を利用する人々の中でも、例年と同様の割合で就職を果たしている事例は少なくない。

ハローワークを通じての求人情報も依然として一定数存在しており、企業の中には採用活動を継続しているところもある。したがって、「コロナ禍だから就職できない」という見方は一面的であり、実際には努力次第で十分に雇用機会をつかむことができる。

まとめ

新型コロナウイルスによって障害者雇用の現場も大きな変化を余儀なくされた。しかし、特例子会社の増加や医療・IT分野での求人拡大など、希望を持てる材料も確実に存在している。これからの時代において重要なのは、変化に柔軟に対応し、自らに合った働き方や職場環境を見つけていく姿勢である。たとえ不安な要素が多くあっても、前向きに挑戦することで、誰もが自分の力を発揮できる未来が切り開かれていくだろう。