うつ病の本当の原因について

うつ病は、ストレスが原因となって発症する病気の一つです。長い間、心の病気として認識されてきましたが、近年の研究により、亡くなった方の脳を調べたところ、セロトニンという神経伝達物質が少ないことが確認されました。

そこで、うつ病の患者にセロトニンの分泌を増やす薬を処方した結果、うつ病は脳の機能に問題があることがわかり、薬物療法が有効であるという見解が広く受け入れられるようになりました。

しかしながら、抗うつ薬の効果を実感できるのは全体の約70%にとどまり、残りの30%の患者には十分な効果が見られないことも事実です。

このような場合、磁気治療や電気治療などの物理療法が試されることもありますが、それでも改善が見られないケースも少なくありません。

では、うつ病は単に脳内物質の問題だけで片付けられるものなのでしょうか?本当の原因とは何なのでしょうか?今回は、うつ病の知られざる原因について、考察してみたいと思います。

1. うつ病を引き起こしやすいストレスとは?

うつ病は、さまざまなストレスが引き金となって発症します。仕事が忙しすぎたり、心配事が多かったり、大切な人を失ったりと、原因は人それぞれ異なります。中には、一見些細なことが大きな心理的負担となり、うつ病の発症に繋がる場合もあります。

しかし、どのようなストレスが最もうつ病を引き起こしやすいのでしょうか?調査によると、自分の存在が否定され、自己肯定感を失うような出来事が、最も強いストレスとなることがわかっています。

自己肯定感とは、自分の存在価値を認識し、自分に自信を持つ感情のことです。たとえば、仕事が忙しい場合でも、やりがいのある仕事をしているならば、自己肯定感が維持され、うつ病になる可能性は低くなります。

しかし、反対に、やりたくない仕事や自分にとって意味がないと感じる仕事を強制されると、自己肯定感が低下し、うつ病を発症するリスクが高まるのです。

1. うつ病を引き起こしやすいストレスとは?

このように、自分には価値がない、自分は必要とされていないという感覚が長期間続くと、うつ病の引き金が引かれます。うつ病と自己肯定感は、非常に深い関係があるのです。

2. うつ病の原因としての自己肯定感の喪失

少々残酷ではありますが、ある動物実験を通して、この概念を説明しましょう。動物に逃げることのできない環境下で電気ショックを与え続けると、最初は逃げようとしますが、やがて抵抗しなくなります。

その後、逃げる方法を教えても動物は無抵抗のままです。この現象は「学習性無力感」と呼ばれています。動物が繰り返し無力な状態に置かれると、感情や気力に障害が生じ、たとえ逃れる手段があっても行動を起こさなくなるのです。

この学習性無力感を人間に当てはめて考えると、否定的な環境で何をしても受け入れられないと感じたとき、人は自己肯定感を失い、やがてうつ病を発症する可能性があります。

例えば、職場でどれだけ努力しても認められず、叱責ばかりを受け続ける状況にあると、自己肯定感が失われ、うつ病のリスクが高まります。このように、自己肯定感の喪失は、うつ病の大きな原因の一つとなるのです。

3. 自己肯定感を失った人々

では、もし子どもの頃から親や周囲の大人に否定され続けた場合、どうなるでしょうか?親から虐待やネグレクトを受け、学校でいじめにあっていると、自己肯定感を持つことが難しくなります。むしろ、「自分は無価値である」という思いが深く刻まれてしまいます。

こうした背景を持つ人々は、特定の思考パターンを形成しやすくなります。それは、1つ目に「自分は必要のない存在である」という自己否定的な考え方、2つ目に「社会は自分に敵対している」という環境への不信感、そして3つ目に「何をやってもどうせ失敗する」という予期的な絶望感です。

これらの考え方が強化されることで、うつ病が引き起こされやすくなり、薬物治療も効きにくくなることが知られています。こうした思考パターンは「うつ病因性スキーマ」と呼ばれています。

また、発達障害を抱える方々も、社会での生きづらさを通じて自己肯定感を失い、うつ病因性スキーマを身に付けることで、うつ病を発症することがあります。

4. 自己肯定感を取り戻すための方法

では、失われた自己肯定感を取り戻すためには、どうすれば良いのでしょうか?これは、単純に努力で取り戻せるものではなく、まず癒しが必要です。

4. 自己肯定感を取り戻すための方法

そして、うつ病の治療過程においては、通院や服薬、十分な休養が必要となり、その中で自然に回復を待つことが重要です。

特に、長期間否定的な環境にさらされ、うつ病因性スキーマを形成してしまった場合、その治療には時間がかかります。認知行動療法といった専門的なカウンセリング治療が効果を発揮することもありますが、カウンセラーとの深い信頼関係が不可欠です。

また、周囲から大切にされる経験も、自己肯定感の回復には大きな助けとなります。治療を受ける病院のスタッフが権威的だったり、家庭で支えが不足している場合には、むしろ心がさらに傷ついてしまいます。

したがって、安心できる医療機関での治療や、家庭内での十分なサポートが必要です。また、経済的な不安を軽減するために、公的支援を受けることも大切です。

成功体験が必要だと言われることもありますが、うつ病の最中に大きな成功を収めることは難しいため、日々の小さな喜びを積み重ねることが有効だとされています。

たとえば、カラオケやガーデニング、友人との食事など、ささやかな幸せを感じる活動を積極的に行うことで、「生きていてよかった」「楽しい」と感じられる瞬間が増えていきます。これが自己肯定感の回復の兆しと言えるでしょう。

うつ病の治療は、薬物療法が基本となりますが、長引く場合は自己肯定感の喪失が原因かもしれません。時間はかかりますが、安心できる生活環境と小さな喜びを大切にすることで、自己肯定感は少しずつ回復していくでしょう。

以上が、うつ病の隠された原因と、それに対処するための方法についての説明でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。