今回のテーマは「統合失調症の方のお仕事」についてです。この記事では、統合失調症の症状によって仕事に困難を感じている方や、現在の働き方を見直したい、あるいは転職を考えている方に向けて、お仕事に関する情報を分かりやすく解説します。
統合失調症の方が仕事をするうえで感じやすい困難や、その対処法、さらには比較的取り組みやすい職業についてご紹介していきます。症状は人それぞれ異なりますが、「自分らしく働く」ためのヒントになれば幸いです。
統合失調症は、脳の働きに影響を及ぼす精神疾患の一つで、主に思考や感情、認知に関する症状が現れます。非常に多様な症状があるのが特徴で、大きく以下の3つのカテゴリーに分けられます。
これらの症状は、病気の段階や個人の状態によって変化し、日によっても軽重の差があります。そのため、働き方にも柔軟な対応が求められるのです。

統合失調症の症状が原因で、仕事に困難を感じるケースは少なくありません。以下に代表的な悩みを紹介します。
● 集中力の低下
特に幻聴がある場合、「誰かに話しかけられている」「陰口を言われている」といった感覚に悩まされることがあります。こうした症状があると、作業に集中しづらくなります。
また、長期の療養生活を経て職場復帰した場合、五感が敏感になっていて、周囲の音や環境の刺激が過剰に感じられることもあります。これにより、さらに集中しにくい状況が生まれることがあります。
● 対人関係の不安
幻聴がネガティブな内容を含むことが多く、人との関わりに不安を感じる原因となります。例えば「同僚が自分を監視している」「上司に嫌われている」といった被害的な思考に陥ってしまうことがあります。
その結果、他者とのコミュニケーションを避けるようになったり、職場の人間関係にストレスを感じやすくなることがあります。
● 意欲や認知機能の低下
陰性症状が出てくると、何かに取り組む意欲が湧かなくなったり、朝起きるのがつらくて遅刻してしまうなど、勤務への影響が出ることがあります。
また、認知機能障害が強くなると、仕事の指示がうまく理解できなかったり、複数の作業を並行して行うことが難しくなります。こうした状態では、仕事のパフォーマンスが低下してしまうこともあるでしょう。
● 疲れやすさ
統合失調症の方の中には、精神的・身体的に非常に疲れやすいという方も多くいます。休憩を取りながらの就労や、短時間勤務の導入が必要になることもあります。

それでは、統合失調症の症状を踏まえたうえで、どのような仕事が向いているのでしょうか。ここでは、比較的取り組みやすいとされる職種を3つご紹介します。
1. 商品管理(在庫管理)
倉庫や物流センターなどで、商品の検品・ピッキング・在庫のチェックなどを行う仕事です。作業の工程が比較的単純であり、専門知識もあまり求められないことが多いため、就労経験が浅い方でも始めやすい業務です。
また、黙々と一人で行う作業が多く、過度なコミュニケーションを求められない点も、精神的な負担を軽減する要素となります。
2. 清掃業
ビルやマンション、オフィス、あるいは屋外での除草作業など、清掃業の仕事には様々な種類があります。基本的には一人でコツコツと進める業務が中心であり、作業内容もルーチン化されていることが多いため、慣れれば安定して続けられる仕事です。
また、勤務時間についても柔軟な求人が多く、週3日程度から始められる場合もあります。フルタイムで働くことに不安がある方や、まずは体調を見ながら少しずつ働きたいという方にも適しています。
3. 製造業
工場で部品を組み立てたり、ライン作業で製品を加工したりする仕事です。業務中の会話は最小限で済むことが多く、一定のペースで繰り返す作業が中心となるため、変化が苦手な方にも向いています。
職場によっては工程の難易度が異なりますが、未経験者向けにマニュアルや研修が用意されているところも多く、丁寧に教えてもらえる環境もあります。
統合失調症の症状は非常に多岐にわたり、病気のステージやその日の体調によっても大きく変化します。だからこそ、「今の自分にはどのような症状が強く出ているのか」をしっかりと把握した上で、自分に合った働き方や仕事を見つけていくことが重要です。
今回ご紹介した職種は、障害者雇用でも数多くの求人が出ている分野ですので、就職活動をされる際には、ハローワークや就労支援機関などを活用しながら、無理のない範囲で自分に合った職場を探してみてください。
なお、今回は事務職については触れていませんでしたが、障害者雇用のなかには、コピー取りや封入作業、シュレッダー作業など、単発的で取り組みやすい業務を中心とした事務仕事も存在します。「事務だから難しい」と決めつけず、業務内容に目を向けて自分に合った仕事を選ぶ視点も大切です。
「働くこと」は、社会とのつながりを持ち、自信を育む大切な行動です。ご自身のペースを大切にしながら、「できること」から一歩ずつ取り組んでいきましょう。