近年、発達障害についての理解が少しずつ進んでいますが、「女性の発達障害」についてはまだ十分に知られていないのが現状です。特に大人になってから「生きづらさ」を感じて初めて診断される女性も少なくありません。
今回は、「発達障害の女性」にフォーカスし、その特徴や男女の違い、診断されにくい背景、そして日常生活での困りごとなどについて詳しくご紹介します。発達障害に関心のある方や、日々の生活において「もしかして」と感じている女性の方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
発達障害とは、生まれつき脳の一部の働きに偏りがあることによって、社会生活の中で困りごとや生きづらさを感じやすくなる障害の総称です。代表的な発達障害には以下の3つがあります。
それぞれに特徴があり、人によって症状の現れ方も異なります。

発達障害は、男女によって診断される割合や現れ方に違いがあることがわかってきています。
ADHDは、男性が女性の2~3倍多いと言われています。子どもの頃に比べて、大人になるにつれてその差は縮まってくる傾向があります。
この背景には、女性のADHDの特徴が見過ごされやすいという事情があると考えられています。特に、ADHDの「不注意」の症状が強いタイプは、行動面で大きな問題が表れにくいため、周囲から気づかれずに大人になるケースが多いのです。
ASDの男女比はさらに顕著で、男性が女性の約4倍とされています。ただし、知的障害を伴うASDの場合は、男女比が2:1と差が縮まる一方、知的障害を伴わないASDでは、6:1とさらに男性に偏る傾向があります。
これは、ASDの診断基準そのものが男性をモデルに作られているため、女性の特徴が見落とされやすいという問題が背景にあると指摘されています。
ADHDには主に「不注意」「多動性・衝動性」という2つの側面があります。ADHDの女性の場合、不注意の傾向が強く見られる方が多いとされています。
こうした特徴は、外から見て分かりにくく、「だらしない」「集中力がない」などと誤解されがちです。そのため、女性は子どもの頃から気づかれず、大人になってから診断を受けるケースが多く見られます。
また、女性は一般的に「空気を読む」「周囲に合わせる」能力が求められがちで、そうした期待に応えようとする中で、無理を重ねてしまうことも。結果として、うつや不安障害などの二次障害を抱えてしまうリスクが高まります。

女性の発達障害が見逃されやすい理由にはいくつかの背景があります。
男性のADHDでは、多動性や衝動性によって目立つ行動が出やすく、早期に医療機関を受診することがあります。しかし、女性の多くは不注意が主な特徴で、目立った問題行動が出にくいため、学校や家庭でも見逃されやすいのです。
女性は「周囲に合わせる」「空気を読む」ことが求められる傾向があり、本人もその期待に応えようと努力します。そのため、特性を隠す(マスキングする)力が強く、本人すらも自分の「困りごと」の正体に気づかないことがあります。
女性は自分の感情を内側に溜め込みやすく、「こうあるべき」という思い込みや、過去の出来事を引きずって悩む傾向があります。こうした傾向が、発達障害の苦しさをさらに深め、うつや不安などの二次障害につながる場合も少なくありません。
ASD(自閉スペクトラム症)の女性は、診断が非常に難しいと言われています。というのも、ASDの診断基準が主に男性を前提として作られているため、女性の特性がそこに当てはまりにくいからです。
女性のASDでは、以下のような特徴が見られます。
こうした傾向から、ASDの女性もまた診断が遅れがちです。

発達障害の女性が特に困りごととして感じやすいのが、家事や職場での人間関係です。たとえば、
こうした日常の中での「小さな困りごと」が積み重なり、大きなストレスとなって心身に影響を及ぼすことがあります。
女性が多い職場では、周囲との関係性や気配りが重視される場面が多く、発達障害の女性にとっては負担が大きくなることもあります。
もし環境がどうしても合わないと感じるのであれば、男女比や業務内容を見直し、自分にとってストレスが少ない環境を探すことも選択肢の一つです。
発達障害の女性は、社会的な期待や性別的な役割の中で、その特性が見過ごされやすくなっています。しかし、特性を正しく理解し、自分に合った環境や支援を受けることで、より生きやすい生活を送ることが可能です。
「なんだかうまくいかない」と感じる方は、もしかしたらその背景に発達障害の特性があるかもしれません。気づくことで救われることもあります。ぜひ、自分自身を責めることなく、必要に応じて専門家に相談することも検討してみてください。