小さな音でも気になる人【HSP・聴覚過敏】【対策】【Loopイヤープラグ】

はじめに

日常生活のなかで、「音」が苦痛に感じられることはあるでしょうか。例えば、電車のなかで泣いている子どもの声に思わずイライラしたり、工事現場の騒音に頭を抱えたりした経験は、多くの方にあるかと思います。しかし中には、そうした音に対して過敏に反応し、頭痛やめまい、さらにはパニックにまで至ってしまう方がいます。実際に、自身の子どもの泣き声がきっかけで育児が困難になるほど追い詰められてしまう母親も少なくありません。

また、職場での小さな物音や、上の階からの足音、ドアの開閉音が気になって仕事に集中できない、救急車やパトカーのサイレンに動悸がしてしまう——こうした症状を訴える人もいます。これらの症状は「聴覚過敏」と呼ばれ、音に対する感受性が通常よりも極めて高くなる状態を指します。

この記事では、聴覚過敏とはどういったものか、どのような音が苦痛となりやすいのか、その原因、対策、そして具体的なアイテムの選び方までをご紹介いたします。

聴覚過敏とは?

聴覚過敏とは?

聴覚過敏(Hyperacusis)は、通常であれば気にならない音に対して、強い不快感や苦痛を覚えてしまう症状です。まるで音に対するアレルギー反応のような状態であり、些細な物音が精神的・身体的ストレスの原因となります。

とくに多いのが、子どもの泣き声や叫び声、金属がぶつかるような高くて鋭い音などへの過敏反応です。こうした音にさらされることで、頭痛、吐き気、動悸、イライラ、パニック発作などの症状を引き起こすことがあります。

これは単なる「音にうるさい」性格とは異なり、医学的な背景や気質の特性によって引き起こされることが多く、本人の努力でどうにかできるものではありません。まさに、感覚そのものの問題であるといえます。

どんな音が苦痛になりやすいのか?

音の大きさは「デシベル(dB)」という単位で表されます。以下に、日常生活でよく耳にする音のデシベル数の目安をご紹介します。

  • 子どもの泣き声:100dB
  • コンサート会場の音:100dB
  • 救急車やパトカーのサイレン:80〜90dB
  • 飲食店の雑踏:80〜90dB
  • 掃除機やドアの開閉音:約60dB
  • 普通の会話:50dB
  • 静かなオフィス:40dB

一般的に、60デシベルを超えると「うるさい」と感じる人が多くなりますが、聴覚過敏の方にとっては40〜50デシベル程度でも苦痛を感じることがあります。つまり、普通の会話や日常的な生活音でも、過剰なストレスの要因となるのです。

聴覚過敏の原因とは?

聴覚過敏の原因とは?

聴覚過敏の原因は、大きく分けて「耳の問題」と「脳の問題」の二つに分類されます。

耳に起因するもの

耳そのものに問題がある場合、鼓膜や内耳における音の伝達・調整機能の異常が原因です。代表的なものには以下のような疾患があげられます。

  • メニエール病
  • 顔面神経麻痺(顔面神経の異常)
  • 外傷や内耳の感染症

これらの症状は耳鼻科での治療対象となり、薬物療法や生活習慣の見直しで改善する可能性があります。

脳に起因するもの

一方、脳の音処理に問題がある場合、必要な音と不要なノイズとをうまく区別できないことが原因です。このケースでよく見られるのが以下のような状態です。

  • 自閉スペクトラム症(ASD)
  • 注意欠如・多動症(ADHD)
  • うつ病
  • 統合失調症

これらの精神的・発達的特性を持つ人々に共通して、感覚過敏が見られることが多く、聴覚もその一つです。治療や支援によってある程度の改善は見込めますが、特性として残ることもあります。

HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)

また、医学的な疾患とは別に、「HSP」と呼ばれる非常に感受性の高い気質を持つ人々も、聴覚過敏を抱えることがあります。HSPの人は、他人の感情や環境の変化に敏感なだけでなく、音や光、匂いといった五感にも過敏に反応する傾向があります。

こうした人々にとって、聴覚過敏は日常生活の中で繰り返しストレスを受ける原因となり、心身の疲労に繋がることが少なくありません。

聴覚過敏への対策

聴覚過敏への対策

現在のところ、聴覚過敏に対して即効性のある治療薬や根本的な治療法は存在しません。そのため、多くの人は生活の中で工夫を凝らしながら、音のストレスを軽減する方法を取っています。

耳栓・イヤーマフの活用

最も一般的な対策が、耳栓やイヤーマフを使って周囲の音を物理的に遮断する方法です。これにより、仕事や勉強に集中しやすくなったり、人混みでのパニックを防いだりすることができます。

  • イヤーマフ:頭に装着する大型の耳あて型。遮音性が高いですが、目立つため使用シーンが限られます。
  • 耳栓:小型で持ち運びが容易。着脱も簡単で、外出先や職場などあらゆる場面で使用可能です。

ただし、耳を塞ぎすぎると逆に音に対する感受性が高まる可能性もあるため、必要な時だけ使うようにしましょう。

耳栓の選び方のポイント

耳栓の選び方のポイント

耳栓を選ぶ際には、以下のようなポイントを意識すると良いでしょう。

1. 遮音性能

耳栓には「遮音性能(NRR)」がデシベルで表示されており、どれほど音を減少させるかがわかります。例えば「27dB」の表示がある耳栓であれば、80dBの音を約53dBまで下げることができます。

2. 装着感と素材

長時間使用する場合は、耳が痛くならない装着感が大切です。素材には大きく分けて以下の2種類があります。

  • ウレタン製:柔らかくフィットしやすく、使い捨てタイプが多い。
  • シリコン製:洗って繰り返し使用でき、コストパフォーマンスに優れる。

3. デザインと実用性

近年では、性能だけでなく見た目にも配慮されたデザインの耳栓も登場しています。たとえば、ベルギー発の「ループイヤープラグ」は、スタイリッシュな見た目と高い遮音性、快適な装着感を兼ね備えており、聴覚過敏の方からも高評価を得ています。目的別に複数のモデルが展開されているため、自分の症状に合ったものを選びやすいのも魅力です。

おわりに

聴覚過敏は、目には見えないけれども、当事者にとっては深刻な悩みとなりうる症状です。単なる「音に敏感な人」として片付けられがちですが、その背景には発達障害や精神疾患、気質の違いなど、さまざまな要因が関わっています。

もしもあなたや、あなたの周囲の人が音に対して過敏な反応をしている場合、それはただの「わがまま」ではなく、「聴覚過敏」という症状である可能性があります。適切な理解と配慮、そして対策を取ることで、音に悩まされる日々を少しでも快適に過ごすことができるかもしれません。

この記事が、誰かの気づきや支えになることを願っています。