【発達障害】あなたの不安や緊張を和らげる方法 5選【ADHD・ASD】

――発達障害のある方への支援の視点から――

私たちは、誰しも日々の生活や仕事のなかで「不安」や「緊張」を経験することがあります。特に発達障害のある方にとっては、そのような感情が日常的に強く現れることも少なくありません。その結果、仕事や対人関係に支障をきたすこともあるでしょう。

本記事では、そうした「不安」や「緊張」とどのように向き合い、和らげていくことができるのかについて、発達障害のある方への支援の視点を交えながら、丁寧にご紹介します。

■ 不安や緊張は悪いものではない

まず最初にお伝えしたいのは、「不安」や「緊張」は、決して排除すべき“悪い感情”ではないということです。

人は、生きていくうえで危険を察知し、それを避けるための防衛本能として不安や緊張を感じる仕組みを備えています。心臓がドキドキしたり、手に汗をかいたり、呼吸が浅くなるのは、ごく自然な身体の反応です。これは、自律神経のうち「交感神経」が活性化し、身体が一種の“戦闘モード”に入ることによって起こるものです。

しかし、問題となるのは、それが「過度」であったり、「不合理」に生じたりする場合です。

例えば、電車に乗るという日常的な行動が極度の緊張や不安を引き起こし、動悸や息苦しさなどの身体症状が出る。このような状態は生活に大きな支障を及ぼす可能性があり、「パニック発作」などにつながることもあります。

重要なのは、「不安や緊張そのものをなくすこと」ではなく、「その感情とどう付き合っていくか」「必要以上に高まったときにどう対応するか」という視点を持つことです。


■ 不安や緊張を和らげるための5つの方法

それではここからは、実際に不安や緊張を和らげるために役立つ具体的な方法を5つ、ご紹介します。これらは特別な道具や高度な技術を必要としない、誰にでも実践可能な工夫ばかりです。ぜひ、自分に合った方法を見つけて、日々の生活に取り入れてみてください。

1. 深呼吸をして、自律神経を整える

緊張しているとき、呼吸は浅くなりがちです。そこで「深呼吸」は、最もシンプルで効果的なセルフケアの一つです。

 深呼吸をして、自律神経を整える

やり方はとても簡単です。まず、鼻からゆっくりと息を吸い込みます。そして、吸ったときよりも長く、口から静かに息を吐き出しましょう。

ポイントは、「無理に深く吸おうとしないこと」と「吐くときに意識を集中すること」です。このような呼吸を数回繰り返すだけで、副交感神経が優位になり、心身の緊張が緩和されていきます。

2. 筋肉の力を抜いて、身体からリラックスを

不安や緊張が高まると、肩や背中、手足などに力が入りがちです。そのことに自分で気づかないまま、無意識のうちに身体がこわばっていることもあります。

深呼吸とあわせて、息を吐くタイミングで「身体の力を抜く」ことを意識してみましょう。とくに、肩をすくめてからストンと下ろす、手のひらをぎゅっと握ってからゆるめるなど、部分的に力を抜く練習も有効です。

「自分の身体にどんな力が入っているか」を知ること自体が、リラクゼーションの第一歩になります。

3. 自分だけのリラックス方法を見つける

日々の生活の中で、「安心できる時間」や「ほっと一息つける空間」を持つことも、非常に大切です。

自分だけのリラックス方法を見つける

たとえば、以下のような方法があります:

  • 静かな音楽を聴く
  • 温かいお茶をゆっくり味わう
  • 香りの良い入浴剤でお風呂に浸かる
  • 読書をする
  • 好きなアニメや動画を眺める

こうした行為は、心に安心感をもたらし、日常的に蓄積した不安や緊張を和らげるのに役立ちます。「自分にとっての“癒し”は何か」を見つけておくことで、心が疲れたときに自然と戻れる“安全地帯”になります。

4. 適度な運動を取り入れる

ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチなど、体を動かすことも不安やストレスの軽減に効果があります。特に有酸素運動には、セロトニンという「幸せホルモン」の分泌を促す効果があることが知られています。

最初から「毎日30分運動しよう」と構えるのではなく、たとえば「近所を5分だけ歩いてみる」「ストレッチを3分だけやってみる」といった小さな行動から始めてみましょう。

身体を動かすことが気持ちの切り替えにもつながり、自信にもなります。

5. 回避行動を減らしていく

強い不安を感じたとき、人はそれを避けようとする傾向があります。これは自然な防衛反応ですが、これが習慣化してしまうと、不安はさらに強くなってしまう可能性があります。

たとえば、「電車に乗ると不安だから、どこにも出かけない」といった回避行動は、結果的に行動範囲を狭め、生活の質を下げてしまいます。

このようなときには、「少しずつ慣れていく」という方法が効果的です。

  • まずは1駅だけ乗ってみる
  • 混雑しない時間帯を選ぶ
  • 信頼できる人と一緒に行動する

このような段階的な挑戦を「暴露療法」と呼び、医療の現場でも用いられています。ただし、無理は禁物です。必要に応じて医師や支援者の協力を得ながら、焦らずに取り組むことが大切です。


■ 最後に

不安や緊張は、決して否定すべき感情ではありません。むしろ、私たちの心と身体を守る大切なサインです。ただし、それが必要以上に強くなったり、日常生活を妨げるようになってきたときには、対処法を知っておくことが役立ちます。

■ 最後に

発達障害のある方に限らず、多くの人にとって、「自分に合った方法で感情と向き合うこと」は、より良く生きるための第一歩です。

そして何より、誰かに頼ることや助けを求めることは、弱さではなく“自分を大切にする力”であるということを、忘れないでいてください。

日々を少しでも安心して、自分らしく過ごせるよう、この記事がその一助となれば幸いです。