【強迫性障害の方に向けた仕事との向き合い方と対策】
近年、心の健康に対する理解が進む中で、強迫性障害(OCD:Obsessive-Compulsive Disorder)に悩む方が少しずつ声を上げやすくなってきました。本記事では、強迫性障害の症状により仕事上で困りごとを抱えている方、あるいは仕事への支障を少しでも減らしたいと考える方に向けて、強迫性障害の基本的な症状とその仕事上での具体的な影響、そして実践可能な対策について詳しく解説していきます。
強迫性障害とは?
強迫性障害は不安障害の一種で、主に「強迫観念」と「強迫行為」という二つの症状が特徴です。
この症状が日常生活だけでなく仕事にも深刻な影響を及ぼすことがあります。以下に代表的な6つの症状を紹介します。
強迫性障害が仕事に与える影響
1. 確認行動の繰り返し
出社前にガスの元栓や鍵の閉め忘れが気になり、何度も確認してしまう。これが原因で遅刻が増え、出社できなくなるケースも。職場に着いた後も「ミスをしていないか」が気になり、通常であれば一度の確認で済むところを三重、四重と繰り返してしまうことで、生産性に大きく影響します。
2. 汚染不安
職場は多くの人が物に触れる場所です。こうした環境下では汚染不安が強く出やすく、頻繁に手を洗うことで業務に集中できない、作業時間が足りないなどの支障が生じます。特にコロナ禍以降、消毒が一般的になった反面、過剰な行動が目立ちやすくなることもあります。
3. 服薬による集中力の低下
強迫性障害の治療では薬物療法が用いられることが多く、副作用によって注意力や集中力の低下が生じるケースもあります。これは仕事のパフォーマンスに影響を及ぼす原因となります。
4. 症状コントロールの難しさ
症状が安定しない状態での就労は、心身に大きなストレスとなります。無理をして仕事を続けることで、体調をさらに悪化させてしまう可能性もあるため、症状の自己管理と就労のバランスを見極めることが必要です。
強迫性障害における職場での対策
強迫性障害と上手に向き合いながら働いていくためには、いくつかの具体的な対策があります。ここでは2つの代表的な方法をご紹介します。
対策1:写真を活用して確認行為を減らす
戸締りやガスの元栓が気になって出勤できないといった確認行為に対しては、スマートフォンなどで確認した状態を写真に残すことで、安心感を得られることがあります。写真には日時も記録されるため、「この時間に確認した」という証拠になります。これは自宅だけでなく、職場の作業でも応用可能です。たとえば資料を提出したあとにその状態を写真に収めておけば、後から気になってもその写真を確認することで安心できます。
対策2:汚染不安をメモに可視化する
手洗いの回数が多く、業務に支障が出ている場合は、何がきっかけで手を洗いたくなったのかを記録してみましょう。どんな場面で不安を感じたのか、実際に手を洗う必要があったのかどうかを可視化することで、不要な行動を減らす判断材料になります。初めは難しくても、記録を続けることで徐々に自分の傾向が見えてきます。それにより、少しずつ手洗いの頻度を下げていくことも可能になります。
周囲との協力と配慮も大切
強迫性障害を抱える方が働きやすい職場を実現するには、自身の努力に加えて、職場の理解と配慮も必要です。たとえば、時間にゆとりをもったスケジュール設定や確認作業への時間配分、清潔な作業環境の確保、または在宅勤務の導入など、柔軟な働き方ができるよう調整していくことが望まれます。
また、家族や信頼できる同僚、支援機関などのサポートを得ることで、安心感を持って仕事に臨めるようになることもあります。


まとめ
強迫性障害は、日常生活はもちろん、仕事においてもさまざまな困難をもたらすことがあります。しかし、症状を適切に理解し、自分に合った対策を講じることで、仕事を続けることは十分に可能です。
確認行為には写真の活用、汚染不安にはメモでの可視化といった方法を試しながら、自分に合った働き方を模索していきましょう。そして、決して一人で抱え込まず、周囲との連携や支援機関のサポートを積極的に活用することが、より良い就労環境の実現につながるはずです。