ADHDの8割が悩む『不眠』原因と対策をお教えします【大人の発達障害】

ADHDの方が抱える不眠の悩みとその対策について

今回は、ADHD(注意欠如・多動症)を持つ方の「不眠」に関する課題とその対策についてお話しします。
この記事は、ADHDの診断を受けていて「夜なかなか眠れない」とお悩みの方や、そうした問題への対応策を知りたいと考えている方に、ぜひ読んでいただきたい内容となっています。

ADHDとは?

ADHDは発達障害の一つで、生まれつき脳機能の一部に偏りがあることから、日常生活にさまざまな困難を感じやすい特性を持っています。主な特徴としては以下のようなものが挙げられます:

  • 不注意(注意が散漫になりやすい)
  • 多動性(じっとしていることが難しい)
  • 衝動性(思いついたらすぐ行動してしまう)

ADHDの症状や特性に関しては、他のコンテンツでより詳しく解説しているものがありますので、併せてご覧いただければと思います。

ADHDと睡眠の関係

以前、ADHDの方が「日中に眠気が強く出る」という内容の情報をお伝えしたことがあります。これは、ADHDの方の中には**ナルコレプシー(睡眠発作)**を併発しているケースも見られ、結果として日中の過剰な眠気に悩まされる方も多いからです。

一方で、夜になってもなかなか寝付けないという、いわば「逆の睡眠トラブル」を抱えている方も少なくありません。実際、ADHDの方の約8割が何らかの睡眠障害を抱えているともいわれています。

なぜADHDの人は眠れないのか?

ADHDの方が入眠に困難を感じる理由には、以下のような要因が関係しています:

  • 感覚過敏により物音や光が気になってしまう
  • 日中に感じたストレスや不安、興奮といった感情を引きずってしまう
  • スマートフォンやゲーム、テレビなどに過集中してしまい、生活リズムが崩れる
  • 睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌が一般よりも遅い

特に最後の「メラトニン」に関しては、ADHDの方にとって重要なポイントです。メラトニンは「眠気を感じさせるホルモン」として知られており、通常は起床からおよそ15時間後に分泌され始めるとされています。たとえば朝7時に起きると、夜の10時ごろに眠くなるのが一般的です。

ところがADHDの方は、このメラトニンの分泌が1時間半程度遅れると言われています。そのため、夜10時に眠ろうとしてもなかなか眠気が来ず、結果として就寝時間が遅くなってしまう傾向があります。

加えて、感情のコントロールが難しく、日中の出来事が頭から離れなかったり、デジタル機器への過集中によって夜更かしが常態化したりすることも、睡眠の質を低下させる要因となります。


ADHDによる不眠への対策:4つの方法

では、ADHDの方が夜しっかりと眠るためには、どのような工夫をすればよいのでしょうか?
ここでは4つの対策をご紹介します。

1. 寝室環境を整える

まず基本となるのは、「眠りやすい空間」をつくることです。

  • 照明の工夫:夜間は暖色系の間接照明に切り替えることでリラックスしやすくなります。
  • 遮光カーテンの使用:夜間の光を遮り、朝は適度に朝日を取り込めるようにする。
  • 香りや音の工夫:アロマや静かな音楽、ホワイトノイズなどを活用して心を落ち着かせる。
  • 感覚過敏の対策:物音が気になる方は耳栓の使用も効果的です。

また、寝る前の習慣としてストレッチや深呼吸、日記をつけるなどのリラクゼーションを取り入れると、よりスムーズに入眠しやすくなります。


2. 無理に寝ようとせず、一度起きて気分転換をする

眠れないままベッドにいる時間が長いと、「布団=眠れない場所」として脳が学習してしまう可能性があります。これはかえって睡眠の質を悪化させる原因になります。

そこで、眠れないと感じたら一度ベッドから出て、軽い音楽を聴いたり、静かに読書をするなどして気分転換をしてみてください。
無理に眠ろうとせず、少し時間を置いてから再び布団に戻ることで、自然な眠気を待つという方法も有効です。


3. 「眠る時間」にアラームをかける

通常、目覚ましアラームは「起きる時間」に設定するものですが、ADHDの方の場合、「寝る時間にアラームをかける」という逆の使い方も非常に効果的です。

過集中によって時間の感覚が薄れやすく、「気づけば夜中」という状況に陥りやすいため、あらかじめ「就寝準備のアラーム」を設定しておきましょう。
このアラームが鳴ったらゲームやスマホをやめて、入眠モードに切り替えるサインとして使ってください。


4. 睡眠薬・睡眠導入剤の活用を検討する

どうしても自然な方法では眠れないという場合には、医師と相談のうえ、睡眠導入剤や睡眠薬を使用するという選択肢もあります。

この対応は自己判断で行うのではなく、精神科や心療内科の専門医に相談することが大前提です。
また、薬物療法を導入する場合も、「薬に頼りすぎない生活習慣の見直し」が同時に求められます。


おわりに

ADHDの方にとって、睡眠は非常に大きな課題の一つです。「眠れない」「寝てもすぐ起きてしまう」「朝起きるのが辛い」といった悩みは日々の生活に大きな影響を与えます。

今回ご紹介したような環境調整や生活習慣の工夫、医療機関との連携によって、少しずつでも睡眠の質を改善することは可能です。まずは自分の状態を知り、無理のない範囲でできることから取り組んでみてください。

ご自身やご家族がADHDによる不眠で悩まれている場合は、ぜひこの記事が一つの参考になれば幸いです。


※この記事は医療情報を含みますが、診断や治療を目的としたものではありません。体調に関する不安や症状がある方は、必ず専門の医療機関へご相談ください。