今回は「愛着障害」というテーマについてお話しします。
愛着障害に関心のある方、あるいは幼少期の家庭環境や親子関係に問題を抱えていたことで、今も生きづらさを感じている方に向けて、大人の愛着障害の特徴や、発達障害との関係性についても解説していきます。

まず、そもそも「愛着障害」とはどのような障害なのかをご説明します。
愛着障害とは、幼少期において親や養育者との間に健全な愛着関係が築かれなかったことによって発症する精神的な障害です。
愛着とは、赤ちゃんが親や養育者に対して感じる心理的な結びつき、つまり「この人は自分を守ってくれる存在だ」と感じることによって得られる安心感や信頼感のことを指します。
例えば、生まれたばかりの赤ちゃんがおむつを替えてほしくて泣くとします。そのときに親がすぐに反応しておむつを替えてくれる、優しく抱きしめてくれるといったやりとりの積み重ねによって、赤ちゃんは「この人は自分のニーズに応えてくれる存在だ」と認識していきます。このようなやり取りが、愛着を形成する基盤となるのです。
愛着形成にとって特に重要な時期は、生後6か月から1歳半ごろだといわれています。この時期に安定した養育環境があるかどうかが、その後の情緒や対人関係の土台に大きな影響を及ぼします。
しかし、親の虐待やネグレクト、極端に不安定な育児環境などによって愛着がうまく形成されない場合、結果として「愛着障害」として表れることがあります。
子どもが愛着障害を抱えていると、以下のような問題が現れることがあります。
このような影響は、単に「性格の問題」として見過ごされることもありますが、実際には深い心理的な背景がある場合が多いのです。
愛着障害は、もともとは子どもに発症する障害です。ですが、子どもの頃に形成された愛着の問題は、大人になっても解消されないまま残ることがあり、これを「大人の愛着障害」と呼びます。
大人の愛着障害は、対人関係のトラブルや情緒の不安定さ、自分自身の価値を感じられないことなど、さまざまな形で生活に影響を及ぼします。
また、最近では「発達障害」との関連性も指摘されています。発達障害と診断される人の中には、実は幼少期の愛着形成に問題を抱えていたケースもあり、両者が複雑に絡み合っている場合もあるのです。
それでは、大人の愛着障害にはどのような特徴があるのでしょうか?
ここでは、以下の3つの側面から具体的に解説します。
1. 対人関係における特徴(5つ)
2. 情緒面での特徴(4つ)
3. アイデンティティの確立に関する特徴(3つ)
この記事を読んで、「自分に当てはまっているかもしれない」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
愛着障害は、目に見える症状ではなく、長年の積み重ねの中で形成されてきた心理的な問題です。決して「甘え」や「性格の問題」ではありません。
幼少期の環境は自分では選べませんでしたが、大人になった今、必要であれば専門家に相談するという選択肢を持つことができます。心療内科や精神科、カウンセリング機関など、信頼できる第三者に話を聞いてもらうことで、自分の状態を整理したり、必要な支援を受けたりすることができるかもしれません。
また、身近な人に少しでも悩みを打ち明けられるなら、それも大切な一歩です。「話すこと」「共有すること」には、心を軽くする力があります。
おわりに

愛着障害は、決して珍しいものではありません。むしろ、現代社会においては多くの人が何らかの形で愛着の問題を抱えているとも言われています。
子どもの頃の経験が、大人になった今の生きづらさに繋がっている可能性があると知ることは、自分自身を理解し直す大きな一歩になります。そしてその理解が、少しでも自分を大切にすることへと繋がっていくことを願っています。
必要であれば、無理をせず、信頼できる誰かに頼ってください。一人で抱え込む必要はありません。