心の病気を患い、精神科や心療内科に通院している日本人は、全国に約450万人ほどいます。中には治療を受けていない人もいるので、実際にはそれ以上の多くの方々が何らかの心の病気を持っていることになります。
患者数は10年前より1.5倍増加しています。心の病気は今や、誰もがなる可能性があるのです。
ですが、心の病気の原因はいまだ未解明な部分が多いのも現状です。脳の働きの問題が大きな原因の一つといわれていますが、それ以外にも様々な要素、要因が複雑に絡んだうえ、心の病気が生じるという考えが、現在の精神医学にあります。そんな心の病気にはどのような種類があるのか、皆さんはご存じですか?
今回は患者数が多いと言われる、10の心の病気について、簡単に説明します。
「うつ病」

最も患者数が多いとされるうつ病。
年齢層は小学生から年配まで幅広く、約100万人の日本人が治療を受けていると言われています。うつ病の主な症状は気分の落ち込みを中心に、不安や気力の衰え、不眠、倦怠感、腰痛などの体の痛み、食欲がなくなるといった症状に加え、重症の場合は希死念慮を抱くこともあります。
うつ病は、生きるための力が底を尽いた状態ともいえるでしょう。
「双極性障害」
かつて躁うつ病と呼ばれていたこの病気は、普通の人よりも気分の波が激しい状態が生じます。気分が大きくなり、不眠状態で活動する躁状態と、気分や気力が落ち込んでしまううつ状態を繰り返すのが特徴です。比較的若い年代の方に多く見られ、浪費や対人トラブルに巻き込まれる傾向もあります。また、遺伝的要素も大きく、再発しやすい病気でもあります。
「統合失調症」
誰かが自分の悪口を言っているのが聴こえる、飲食物に毒を盛られている、といった幻聴、被害妄想が症状として現れる病気で、症状が進行すると無気力状態に陥ります。先ほど説明したうつ病、この後紹介する不安症に次いで患者数が多く、日本では約65万人が治療を受けていると言われています。この病気も双極性障害同様に遺伝的要素が大きく、比較的若い年代の方が発病しやすい傾向にありますが、違いとして、症状は慢性的に続きます。また、この病気は抗精神病薬の服薬治療に効果を発揮しますが、患者自身は自分が病気である自覚がないために、自分から治療を受けようとしない、通院をしても服薬をしないという側面もあります。
「不安症」
うつ病に次いで患者数が多いとされる不安症は、その名の通り様々な不安を大きく抱くために、何もできなくなってしまう病気です。不安症はいくつかのタイプが存在します。
1つはパニック症といい、強烈な不安による発作が生じます。また発作が生じるのではないかという不安から、外出や乗り物に乗ることが出来なくなるのが主な特徴です。
もう1つは社交不安症といい、自分は周りから変だと思われていないかという不安から、人前で何かを発表することや、会議、会食への参加が出来なくなってしまいます。
「心的外傷後ストレス障害(PTSD)・適応障害」
自然災害や虐待体験といった、トラウマからくる病気を心的外傷後ストレス障害(PTSD)、ストレスから発症する病気を適応障害といいます。
PTSDは悪夢やフラッシュバック等で辛い体験を心の中で何度も繰り返してしまう症状を持ち、適応障害はうつ気分や不安感など、様々な症状があります。ですが、うつ気分や不安感が長引く場合は、うつ病、不安症とそれぞれ診断されるようになります。
「強迫症」
重い病気になる、事故に遭うといった悪いイメージや考えが脳内から離れなくなってしまう病気を、強迫症といいます。押し寄せる不安を取り除くため、手洗いを何度もする、鍵の施錠を幾度も確認するといった繰り返しの行動が見られます。
この他、自分の見た目に醜さを感じ何度も美容整形を繰り返す病気は醜形恐怖症、ゴミを大切な物と認識して集めてしまう病気は溜め込み症、自らの髪の毛をむしり取る脱毛症、皮膚をむしってしまう皮膚むしり症という症例、病名もあります。
「摂食障害」
主に思春期から30代女性に多く見られ、沢山食べ物を食べ過ぎてしまう過食、食べることを拒んでしまう拒食といった、食に関する症状が見られます。
ダイエットという名目で食べたものを吐いた反動で過食する、下剤の乱用や盗んでまで過食に走る症状を神経性過食症、逆に体が痩せているのに対し自身は太っていると思い込んで、全く食事を取らない、反動で過食をして吐く症状は神経痩せ症といいます。
「解離症」
まるで多重人格のように自身の意識が複数に分かれてしまう病気のことです。現実感の喪失、自分を外から眺めているような感覚が起こる現象が現れることが多く、ショックや事故の後に記憶喪失になる解離性健忘もこの一つといわれています。中には統合失調症と同様、幻聴が聴こえる人もいます。
「依存症」
アルコールや麻薬、ギャンブル等がやめられない症状を依存症といいます。日本では約6万人の方が治療を受けていますが、依存症を治したいという自覚が、患者自身に乏しい人が多い傾向にあります。近年はスマートフォンやインターネットのゲームの依存症が増えており、依存症の中でもアルコール依存症は、日本に約100万人はいると言われているようです。
「パーソナリティ症」

以前はサイコパスや、人格障害と呼ばれていた病気で、常識が通じない、平気で嘘をつくといった、性格の極端な偏りによって社会生活に支障が生じる症状があります。この症状も複数のタイプが存在しますが、中でも境界性パーソナリティ症は見捨てられる不安の強さから、ストーカーや自殺未遂といった過度な行動を起こすことがあります。若年期に発病し、症状が一生続くことも見られます。
心の病気には、いち早くその初期症状に気が付くことが大事です。ですがその初期症状は、やる気や元気がない、雰囲気が暗いなどが原因で、他の人にはその様子が、怠けている、努力不足といった風に見えることが多いです。また、心の病気への偏見から、精神科や心療内科に生きづらさがある人も一定数いるかと思います。その結果、無理を重ねてしまって心を壊し、病状の悪化から受診、長期の治療になるというケースもあるでしょう。
心の病気も体の病気と同じで、早期発見、早期治療が大切です。少しでも異変に気が付いたら、早めに受診するのが何よりも大切です。