発達障害だと就職が難しい?理由と就職する方法を解説【ADHD・ASD・LD】

「発達障害があると、就職が難しい」と耳にすることがあります。確かに、職場での困難や人間関係のトラブルから、働き続けることが難しいと感じる人も少なくありません。しかし、実際には適切な理解と支援、そして自分に合った環境が整えば、安定した就労を実現することは十分可能です。

本記事では、ADHD(注意欠如・多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)、LD(学習障害)などの発達障害の基本的な特性と、就職が難しいとされる理由、そして職場定着のためにできる対策について詳しく解説します。


発達障害とは

発達障害とは、生まれつき脳の働きに偏りがあることで、日常生活や社会生活に困難を感じやすい状態を指します。その現れ方は一人ひとり異なり、同じ診断名でも症状や困難の内容は多様です。主に以下のような種類に分類されます。

ADHD(注意欠如・多動症)

  • 主な特徴:注意力の持続が難しい(不注意)、衝動的に行動してしまう(衝動性)、じっとしていられない(多動性)など
  • 仕事上の困りごとの例:ケアレスミスが多い、時間管理が苦手、会議中に集中が続かないなど

ASD(自閉スペクトラム症)

  • 主な特徴:人との距離感や空気を読むのが苦手、強いこだわりがある、変化に弱いなど
  • 仕事上の困りごとの例:チームでの連携が苦手、曖昧な指示への対応が難しい、予定外の変更に混乱するなど

LD(学習障害)

  • 主な特徴:読む、書く、話す、聞く、計算するなど特定の学習機能に困難を抱える
  • 仕事上の困りごとの例:文書の作成に時間がかかる、数字の読み間違いが起きる、口頭での指示を聞き取れないことがあるなど

これらの特性は外見からは分かりづらく、周囲に理解されにくいことがしばしばあります。そのため、適切な配慮が得られないまま苦しんでしまう人も多いのです。


なぜ発達障害だと就職や職場定着が難しいのか

実は、発達障害のある人の職場定着率は、他の障害と比べて著しく低いというわけではありません。しかし、職場によっては「どのように配慮すれば良いかが分からない」「見た目でわからないため、支援の必要性が伝わりにくい」といった理由から、就労の継続が難しくなることがあります。

1. 配慮の必要性がイメージされにくい

発達障害の特性は目に見えにくいため、企業や職場の上司・同僚が「どんな配慮が必要なのか」をイメージしづらいという課題があります。

例えば、車椅子を利用する人に対しては「段差をなくす」といった具体的な支援が浮かびやすいですが、ADHDの人に「仕事の優先順位がつけられない」と言われても、それをどう支援すれば良いのか分からないという現場も少なくありません。

また、発達障害のある人が仕事上で抱える困りごとは非常に幅広く、個人差も大きいため、画一的な対応では難しいという現実もあります。

2. 障害の理解が進んでいない

社会全体で発達障害の認知は進みつつありますが、まだまだ十分とは言えません。特に職場では、診断名の言葉だけが独り歩きし、「わがまま」「甘え」と誤解されることもあります。

3. 対人関係でのトラブルが多い

ASDの方に多く見られるように、空気を読むのが苦手だったり、会話の意図を取り違えてしまったりすることで、周囲とのコミュニケーションに課題が生じやすくなります。結果として孤立してしまったり、人間関係にストレスを感じて退職につながるケースもあります。


職場定着のためにできること

発達障害のある人が職場に長く定着するためには、「自分の特性を理解すること」と「周囲に必要な支援を伝えること」が重要です。そのために、以下のような方法を活用することが有効です。

1. 自分の特性と配慮事項を把握する

まずは自分自身の障害特性を整理し、職場でどのような配慮があると働きやすいかを言語化することが大切です。たとえば、「急な予定変更が苦手なので、前もって予定を共有してほしい」「静かな環境のほうが集中しやすい」など、自分にとっての「働きやすさ」を明確にしましょう。

これは障害者雇用で働く場合でも、一般雇用で働く場合でも非常に重要なポイントです。

2. 就労移行支援などの支援機関を利用する

障害特性や必要な配慮を自分で企業に伝えるのが難しい場合、就労移行支援などの支援機関を活用するのがおすすめです。支援員が企業との間に入り、適切な情報提供や職場への理解促進を行ってくれます。

また、就労後の定着支援を行っている機関もあり、「職場で困ったことがあるけれど、誰にも相談できない」という状態を防ぐことができます。

3. 自分の強みを活かせる仕事を選ぶ

発達障害のある人の中には、特定の分野で高い能力を発揮する人もいます。たとえば、数字に強い、パターン認識が得意、集中力が高いといった特徴は、特定の仕事では大きな武器になります。

大切なのは、「苦手なことを克服しようと努力する」よりも、「得意なことを活かせる環境を見つける」ことです。職種によっては、障害特性が不利になりやすい場合もあるため、事前に仕事内容をよく確認し、自分に合った職場を選ぶことが成功のカギになります。


まとめ

発達障害があると、確かに職場での困難が生じやすい場面があります。しかし、それは「就職ができない」ということではありません。むしろ、障害の特性を理解し、自分に合った職場環境を選び、必要な支援を受けることで、長く働き続けることは十分に可能です。

周囲に自分の特性や困りごとをきちんと伝えること、支援機関を活用すること、そして自分の強みを活かせる仕事を選ぶこと——これらを意識することで、働くことのハードルはぐっと低くなります。

「発達障害だから働けない」ではなく、「発達障害があるからこそ、自分らしい働き方がある」。そうした視点で、無理のない就職活動と職場選びを進めていくことが大切です。