発達障害(ADHD、ASD、LDなど)を抱える方の中には、就職や仕事の継続に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。そんな方々をサポートする制度のひとつが「就労移行支援」です。
就労移行支援は、障害を持つ方が就職し、安定した職業生活を送れるように支援する福祉サービスの一環として提供されています。本記事では、就労移行支援の具体的な訓練内容や、事業所の選び方について詳しくご紹介します。

就労移行支援とは、障害者総合支援法に基づいて設けられている「障害福祉サービス」のひとつです。18歳から65歳未満の、発達障害や精神障害、身体障害など何らかの障害を持つ方が対象となります。
利用には、以下のいずれかの証明書が必要です。
目的は、就職に必要なスキルを身につけること、そして安定的に就労を継続することです。そのため、就職活動のサポートだけでなく、生活リズムの安定から職場定着まで幅広い支援が行われています。
就労移行支援事業所で受けられる主な訓練内容は以下のとおりです。
発達障害のある方の中には、睡眠リズムの乱れや生活習慣の不安定さに悩まされる方も少なくありません。事業所では、毎日の通所を通じて生活リズムを整えたり、体調管理のアドバイスを受けたりできます。
通所すること自体が、職業生活への準備とも言えるでしょう。
作業スキルの向上を目指す訓練として、以下のような内容が提供されます。
パソコンスキルは、事務系職種への就職を目指す方には特に有効です。
発達障害の特性上、対人関係や職場でのやり取りに苦手さを感じる方もいます。そこで、多くの事業所では次のようなプログラムを実施しています。
グループワークを通じて、他者とのやりとりに慣れることが目的です。
自分自身の特性を理解し、どのような配慮が必要かを明確にすることも重要なステップです。自己分析の時間では、次のようなテーマに取り組みます。
これにより、就職活動時に適切な職場選びができ、ミスマッチの防止にもつながります。
いよいよ就職活動に進む段階では、以下のような支援が行われます。
実習を通して職場環境に慣れたり、実際の業務を体験できたりするのは大きなメリットです。
無事に就職が決まった後も、就労移行支援事業所のサポートは続きます。定着支援では、以下のような内容が提供されます。
職場での課題を早期に解決し、安定した就労を継続するための手厚い支援です。

就労移行支援事業所には、提供している訓練内容や支援のスタイルに違いがあります。大きく分けると以下の2タイプに分類されます。
「ビジネスマナー」「報連相」「メモの取り方」など、社会人としての基本的なスキルや、コミュニケーション能力の強化に重点を置いた訓練が中心です。特徴としては、
発達障害の特性上、職場での人間関係や日常業務の進め方に不安を感じる方に適した支援内容です。
一方で、特定のスキルを身につけて「手に職をつけたい」方に向けた事業所もあります。例としては、
すでに「なりたい職種」が明確な方や、手に職をつけて安定した収入を目指したい方に向いています。
就労移行支援事業所は、どこでも同じようなサービスを提供しているわけではありません。自分に合った事業所を選ぶためには、次のポイントを意識するとよいでしょう。
ほとんどの事業所では、無料の見学や体験利用が可能です。実際の雰囲気やスタッフの対応、自分に合った支援があるかどうかを確認できます。
「どんな仕事を目指しているか」「どんなスキルを身につけたいか」によって選ぶべき事業所は異なります。たとえば、IT系職種を希望するなら、専門スキル型の事業所が合っているでしょう。
精神障害や発達障害など、特定の障害に特化した支援を行っている事業所もあります。同じような特性を持つ利用者が多いため、共感しやすく、安心して通所できる可能性が高まります。
最も重要なポイントのひとつは「就職実績」です。どれだけ多くの利用者が実際に就職しているか、また定着しているかは、事業所の質を見極める大きな目安になります。
不安な場合は、「どんな企業に就職しているか」や「障害特性に配慮された職場か」といった具体的な情報も尋ねてみましょう。
就労移行支援は、発達障害などの特性を持つ方が自信を持って働くための重要なステップです。訓練内容は多岐にわたり、自分の強みや課題に合わせて支援を受けることが可能です。
大切なのは、「自分に合った事業所を選ぶこと」と「無理なく続けられる環境を整えること」です。不安がある方こそ、まずは気になる事業所を見学して、第一歩を踏み出してみてください。
就労はゴールではなくスタート。そのスタートラインに立つための準備として、就労移行支援をぜひ活用してみてください。