【どんな仕事?】障害者雇用のIT系職種4選【ADHD・ASD・LD】

近年、障害のある方の就労支援や障害者雇用は社会的に重要なテーマとなっています。特にIT業界は成長産業として注目される一方で、障害者雇用の実態や職種の種類についてはまだ十分に知られていない部分もあります。本記事では、ADHD(注意欠如・多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)、LD(学習障害)などの障害を持つ方が働きやすいIT系職種について、障害者雇用の仕組みや業界の現状を踏まえてわかりやすく解説します。


1. 障害者雇用とは?特別な採用枠と合理的配慮

障害者雇用とは、障害のある方だけが対象となる特別な採用枠を企業や団体が設けて雇用を行うことを指します。障害者手帳を所持していることが雇用の条件となり、多くの企業が法定雇用率の達成を目標にしています。

合理的配慮の重要性

障害者雇用において大切なのが「合理的配慮」です。これは、障害のある方が職場で働きやすい環境を整えるために、企業や上司、同僚が行うさまざまな支援や配慮のことを意味します。例えば、作業環境の調整、業務の見直し、勤務時間の柔軟な対応などが挙げられます。合理的配慮があることで、障害の有無にかかわらず能力を発揮しやすくなるため、働く本人だけでなく職場全体にも良い影響をもたらします。


2. 法定雇用率とIT業界の現状

日本の障害者雇用促進法により、一定規模以上の企業は障害者を一定割合以上雇用する義務があります。この「法定雇用率」は現在2.3%(従業員43.5人以上の企業で1人以上)と定められています。

IT業界の障害者雇用状況

情報通信業界(IT業界を含む)の障害者雇用率は、2020年代のデータによると1.84%と法定雇用率2.3%を下回っています。この数値は全産業の中で2番目に低いものです。さらに、法定雇用率を達成している企業の割合は27.2%と、全体平均の48.3%よりかなり低い水準にとどまっています。

この背景には、IT業界が高度な専門知識や技術を求められる職種が多いこと、専門スキルを持つ人材の確保が難しいことが挙げられます。加えて、合理的配慮の具体的な取り組みがまだ十分に進んでいない企業も多いことが、障害者雇用の進展を妨げている現状です。


3. IT業界の4つの主要な分野と職種

IT業界は幅広い分野に分かれており、それぞれで求められるスキルや仕事内容が異なります。ここでは、障害者雇用の対象となる代表的な職種を4つの業界別に紹介します。

インターネット・WEB業界

Webサイトの制作やWeb広告の運用、SNSやECサイトの運営などが主な業務です。WebデザイナーやWebディレクターといった職種があり、比較的視覚的・クリエイティブな能力が活かせる分野です。

  • Webデザイナー:Webページのデザインやレイアウトを担当。色彩感覚や細部への注意力が必要ですが、パソコン操作が得意な方に向いています。
  • Webディレクター:Webプロジェクトの進行管理やクライアントとの調整を行います。コミュニケーション能力や計画力が求められます。

情報処理サービス業界

ITコンサルタントやエンジニアが主な職種です。顧客の課題解決のためのシステム提案や、IT技術を用いたサービスの提供を行います。専門的な知識が求められますが、チームでの協力や役割分担が可能な仕事もあります。

ソフトウェア業界

プログラマーやシステムエンジニアが代表的な職種です。プログラマーはシステムやアプリケーションのコードを書き、システムエンジニアは設計から開発まで幅広い工程を担当します。論理的思考や集中力が活かせる仕事です。

ハードウェア業界

システムエンジニアが中心で、コンピュータ機器の設計や保守、運用を行います。専門知識が必要ですが、障害特性に合わせた配慮があれば長期的に働きやすい分野です。


4. 障害のある方がIT業界で働くための方法

障害者の方がIT業界で働くためには、いくつかのルートがあります。以下に代表的な方法を紹介します。

ハローワークの障害者雇用窓口

ハローワークには障害者雇用専門の窓口があり、IT関連の求人も多く扱っています。IT事務など専門職未経験の方もチャレンジできる仕事があり、初めての方でも応募しやすい環境があります。

IT特化型の就労移行支援

障害者向けの就労移行支援事業所の中には、ITスキルの習得を目指すプログラムを提供しているところがあります。実際の業務で使われるソフトウェアやプログラミング言語を学べるため、スキルアップに役立ちます。

職業訓練(ハロートレーニング)

厚生労働省が実施する職業訓練制度「ハロートレーニング」では、IT関連の専門講座を受講可能です。基礎的なPCスキルからプログラミングまで幅広く学べ、資格取得も目指せます。


5. ADHD・ASD・LDの特性とIT職種の相性

ADHD、ASD、LDなどの障害特性は一人ひとり異なり、仕事の向き不向きも多様です。しかし、IT業界の中にはそれぞれの特性を活かしやすい職種や働き方もあります。

  • ADHDの方は、興味のあることに集中しやすい反面、注意の切り替えが苦手な場合があります。Webデザインやプログラミングなど、一つの作業にじっくり取り組める仕事が向いていることがあります。
  • ASDの方はルールやパターンに敏感で論理的な思考が得意な場合が多いです。システム設計やプログラミングでその能力を活かせるでしょう。一方でコミュニケーションに配慮が必要な場面もあります。
  • LDの方は読み書きや計算に困難を感じる場合がありますが、視覚的にわかりやすい作業や手順に沿った業務は適しています。Web運営やテスト業務なども選択肢になります。

合理的配慮を受けながら、自分の強みを活かせる仕事を見つけることが、障害者の方がIT業界で活躍するための鍵となります。


6. まとめ

障害者雇用におけるIT系職種は、専門的な知識やスキルが求められる一方で、ADHD・ASD・LDの特性を活かして働ける可能性が多くあります。合理的配慮のもとで環境を整え、適切な支援を受けながらスキルアップを図ることで、IT業界での活躍は十分に可能です。

今後、IT企業が障害者雇用の促進と合理的配慮の充実を進めることが期待されます。また、障害のある方自身も積極的に情報を収集し、学び、チャレンジする姿勢が大切です。ハローワークや就労移行支援、職業訓練などの制度を活用しながら、自分に合った働き方を見つけていきましょう。