ASDの外見的特徴とは?──自閉スペクトラム症を理解するために
私たちが日々接する中で、相手の印象はまず「見た目」から入ることが多いものです。
しかし、その見た目の背後には、本人も意識しきれない“特性”が影響している場合があります。
発達障害のひとつである「自閉スペクトラム症(ASD)」も、その一例です。
この記事では、ASDとはどのような障害かを改めて確認した上で、外見に現れる特徴を丁寧に5つ紹介します。ASDを理解するための一助としてお役立てください。

ASD(Autism Spectrum Disorder:自閉スペクトラム症)は、発達障害のひとつです。
生まれつき脳の機能に偏りがあることが原因とされており、主に以下のような特性が見られます。
かつては「アスペルガー症候群」「自閉症」など個別の診断名が用いられていましたが、現在ではこれらを含めた総称として「自閉スペクトラム症(ASD)」に統一されています。
ASDは外見から一見してわかりづらい障害ですが、実は本人の振る舞いや見た目の選択に独特の傾向が見られることがあります。

ここでは、ASDの方に見られることのある外見的な特徴について5つご紹介します。
すべてのASDの方に当てはまるわけではありませんが、理解の手がかりとして参考になります。
ASDの方は、感情の起伏を表情に出すのが苦手な傾向があります。
これは感情がないということではなく、「感情を表す」ことへの認識や表現方法が他の人とは異なるという特性です。
そのため、周囲からは「不機嫌そう」「無表情で冷たい」といった印象を持たれやすいことがあります。
加えて、話し方も淡々としていることが多く、表情と口調の両方が控えめなために、誤解を生むこともあります。
ASDの方には「こだわりが強い」「感覚過敏がある」といった特徴があります。
これらは服装の選択にも影響します。
たとえば、特定の素材や形状の衣服でないと不快に感じてしまうため、「この服しか着られない」という状態になることがあります。結果として、毎日同じような服装になる場合も珍しくありません。
また、服装自体にあまり関心がない方も多く、「身だしなみを整える」という意識が薄れがちになります。髪型やヒゲの処理、アクセサリーなど、見た目に関することに無頓着になるケースもあります。
流行や他人の目をあまり気にしないのもASDの方に多く見られる傾向です。
「自分が好きな服を着る」「快適に感じるスタイルを選ぶ」といった思考が強く、一般的なファッションのトレンドとは異なる装いを好むことがあります。
その結果として、周囲から「個性的」「独特な服装をしている」と見られることもあるのです。
自分の価値観を大切にしているとも言えますが、場の空気を読むのが難しいというASDの特性とも関係しています。
ASDの女性に多く見られる特徴のひとつとして、見た目や行動が「年齢よりも幼く見える」傾向があります。これは、精神年齢が実年齢よりもやや低めであったり、若い頃に好んでいたスタイルを継続していたりすることによるものです。
たとえば、10代で好んでいたファッションを30代になっても変えずに着続けるといったケースが挙げられます。本人にとっては「自分が好きな服を着ている」だけなのですが、周囲からは「年齢に合っていない」「子どもっぽい」と見られてしまうこともあります。
ASDの女性の中には、「中性的な外見や雰囲気」を持つ方も多いと言われています。
髪型、メイク、服装など、一般的に「女性らしい」とされるスタイルにこだわりがなく、「面倒だからしない」「必要性を感じない」といった理由で、結果的に中性的な印象になるのです。
たとえば、ヘアケアやメイクを省略しがちだったり、服装がシンプルで機能的だったりすることで、性別にとらわれない印象を持たれることがあります。
これは内面的にも「女性らしさ・男性らしさ」へのこだわりが少ないためであり、ジェンダーロールにとらわれない自分らしさを大切にしているとも言えるでしょう。
ASDは「目に見えない障害」と言われることが多い一方で、実は外見や行動にもその特性が表れることがあります。周囲との違いを感じることが多く、生きづらさにつながることもありますが、本人にとってはそれが自然な選択であることがほとんどです。
私たちが大切にすべきなのは、「違い」を理解し、「個性」として尊重することです。ASDの方の外見的な特徴を知ることは、その第一歩になるでしょう。