現代において、発達障害という言葉は広く知られるようになったが、その実態については誤解や曖昧な理解も少なくない。
特に、睡眠に関連する症状との関係性については、あまり注目されてこなかった分野である。
本稿では、発達障害とはどのような特性を持つのか、さらに「夜驚症(やきょうしょう)」と呼ばれる睡眠障害との関係性について詳しく解説していく。

発達障害は、先天的に脳の機能に偏りが存在し、その結果として生きづらさを感じやすくなる障害である。発達障害はさらにいくつかの種類に分類される。
代表的なものに、ADHD(注意欠如・多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)、そして学習障害(LD)がある。
ADHDの特徴には、注意が散漫になりやすいことや、衝動的な行動が見られやすいことがある。
加えて、落ち着きなく動き回る傾向も含まれる。
一方でASDでは、対人関係や言語によるコミュニケーションに困難さが見られることが多く、特定の物事に対する強いこだわりが特徴として挙げられる。
学習障害では、読み書き、聞き取り、話すこと、計算などの特定の認知機能に著しい困難さが現れる。
これらの障害には個別の特徴があり、診断と支援はそれぞれに適した方法で行う必要がある。
いずれも脳機能の特性に起因するもので、本人の努力や性格の問題と結びつけてはならない。

夜驚症は、睡眠障害の一種であり、医学的には「睡眠時驚愕症」とも呼ばれる。
主に睡眠中に突然パニック状態に陥る症状が特徴である。
具体的には、夜中に急に大声を上げる、激しく動く、呼吸が荒くなる、汗を大量にかくといった反応が見られる。
この症状は特に小児期に多く見られ、2歳から6歳ごろに発症しやすいとされる。
統計的には、生後18ヶ月の子どもではおよそ36.9%に該当するというデータもある。
しかし成人になるとその有病率は2.2%と大きく低下する。
なお、研究によっては夜驚症そのものではなく、「睡眠時にパニックを伴う症状全体」の有病率を示している場合がある。
そのため、夜驚症と診断されるかどうかは、「症状によって本人が著しい苦痛を感じているかどうか」といった点が判断基準になる。

発達障害を持つ人は、夜驚症を含む睡眠障害を併発しやすいという傾向がある。
実際、ある研究によれば、ASDを持つ人のおよそ34.8%、ADHDの人では36.1%が睡眠障害を抱えているという結果が出ている。
さらに、ASDとADHDの両方を併せ持つ場合、その割合は40.4%にまで上昇する。
このように、発達障害を持つ人における睡眠障害の併発率は非常に高く、全体の約3〜4割に達すると考えられている。したがって、夜驚症のような症状も無関係ではなく、一定の関係性があると見てよい。
発達障害のある人が睡眠障害を起こしやすい背景には、いくつかの要因が存在する。
一例として、感覚過敏の傾向があると、わずかな音や光に反応して睡眠の質が低下しやすくなる。
また、興奮状態をコントロールする力が弱いことや、生活リズムの乱れ、ストレス耐性の低さも関与している。
子どもにおいては、脳の発達が未成熟な段階にあることも、夜驚症を引き起こす一因となる。
発達の過程における神経系の不安定さが、夜間の過剰な覚醒反応へとつながるためである。

発達障害のある人が夜驚症を含む睡眠障害を抱えた場合、医療的な支援に加えて、日常生活での配慮も重要となる。まず第一に意識したいのが、規則正しい生活リズムの維持である。
寝る時間と起きる時間を一定にすることで、体内時計の乱れを防ぐことができる。
また、日中の活動量を確保し、適度に身体を動かすことも有効である。
ストレスの軽減も欠かせない。
自分なりのリラックス方法を見つけて、こまめに緊張をほぐす習慣をつけることが大切になる。
環境面でも、寝室を静かで暗く、快適な温度に保つことで、感覚過敏による刺激を抑えることが可能である。加えて、スマートフォンやテレビなどの強い光を就寝前に浴びるのは避けたい。
必要に応じて専門の医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることも重要である。
睡眠薬の使用や認知行動療法といった選択肢を検討することが、症状の改善につながる場合もある。
発達障害は先天的な脳機能の特性によって引き起こされるものであり、多様な生活上の困難をもたらす。その中でも睡眠障害、特に夜驚症のような症状との関係性は注目すべき点である。
夜驚症は主に子どもに多く見られる症状であるが、発達障害を持つ場合には成人になっても何らかの睡眠の問題を抱えることが少なくない。
このような背景を理解し、睡眠環境を整えることや生活リズムを意識することによって、症状の軽減を図ることが可能となる。
本人や家族、支援者が正しい知識を持つことが、より良い生活への第一歩となるだろう。