以前は、心の病気にかかる人は「心が弱い」と見なされており、カウンセリングや精神科の受診は恥ずかしいことだと考えられていました。しかし、1980年代頃から、心の病気は脳の機能に起因する部分が大きいことや、薬物療法が効果的であることが明らかになってきました。また、有名人が心の病気を公表することで、心の病は特別なものではないという認識が広がってきました。
2011年からは厚生労働省が、癌、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病に精神疾患を加えて5大疾患とし、その中でも最も患者数が多いのが精神疾患であることが知られています。
今回は、心の病気の11の初期症状を紹介し、それが現れた際は単なる悩みや怠けではなく、病気を疑い早めに休息や治療を受けることが大切です。

ほとんどの心の病気は、ストレスや心配事の積み重ねによって心が疲れ果て、最終的に発症します。これと同時に脳にも異常が生じ、脳が警戒状態に入り、眠ることや食事を取ることすら困難になります。
これを、「脳の覚醒状態」と呼びます。
この状態が続くと、何かのきっかけでスイッチが切れたように鈍感な状態になることがあります。
そうすると逆に過眠や過食の症状も現れることがあります。
どちらのケースでも、睡眠や食欲の異常は心の病気の重要なサインです。
一時的な落ち込みは誰にでもあることですが、それが2か月以上続く場合、心の病気の可能性があります。
うつ病だけでなく、統合失調症や不安症の初期症状でも元気が出ない状態が見られます。
逆に、元気がありすぎて落ち着かない状態が続く場合は、躁状態であり、双極性障害の可能性があります。
自律神経の乱れから体調に異常が現れることもあります。
内科的な検査で異常が見つからない場合、心の病気が背後に潜んでいる可能性があります。
体調不良を理由に職場や学校に行けなくなることがあり、その背景には心の病気があることが多いです。
適応障害やうつ病などが考えられます。
ちょっとした出来事にイライラして怒ってしまうことを易刺激性とか易怒性と呼びます。
以前は穏やかだった人が突然怒りっぽくなる場合、心の病気の可能性があります。
うつ病や統合失調症、双極性障害が原因であることがあります。
過度な不安や恐怖を感じる場合、日常生活に支障を来たすようなら、心の病気のサインと考えられます。
不安症やパニック症、社交不安症がその一例です。
事故にあう、家族に不幸が起きるなど嫌なイメージが1日中浮かんでくるなどの強迫観念やそれに伴う確認行為が増える場合、うつ病や強迫症の可能性があります。
誰かに見られている、悪口を言われていると感じる場合、統合失調症や薬物依存の症状の可能性があります。
幻聴は統合失調症や解離症に見られる症状であり、周囲に誰もいないのに声が聞こえる現象です。
また、声とまでは言えなくても自分のものでない思いが心に入ってくる場合もあります。
強迫観念に似ていますが自分の考えではありません。
幻聴や湧いてくる思いに操られて、自分の意志に反して行動してしまう場合は統合失調症や解離性障害の可能性があります。
自分や人を傷つけたり犯罪行為になる場合もあるので、危険な症状です。
アルコールやギャンブル、ネット依存などの依存症も心の病気の一つです。
これらの症状が現れたら、怠けや気のせいではなく、心の病気の兆候である可能性が高いです。
早めの治療を受けることが重要です。

心の病気は誰にでも起こり得るものであり、未だに「気の持ちよう」だと考える人が多い一方で、怠けと誤解され職場や家庭で追い詰められるケースも多く見られます。それゆえに、早期の治療で改善できる場合も、放置され慢性化してしまうことが多く、早めの対処が回復を早め、放置すればするほど回復が難しくなることがあります。最悪の場合、一生治療が必要になることもあるため、心の病気の初期症状を知っておくことが非常に重要です。