発達障害の人が怒られた時の対処法4選【ADHD・ASD】

はじめに

職場や学校、家庭といった日常生活のなかで「注意される」「怒られる」といった場面は誰にでも起こり得ます。しかし、発達障害を持つ人にとっては、そのような場面に直面した際、独特の反応を示すことがあります。今回は、発達障害のある人が「怒られたとき」にどう反応しやすいのか、そしてその際の対処法について丁寧に解説していきます。

発達障害とは?

まずは、発達障害の基本的な理解から始めましょう。

発達障害とは、生まれつき脳の機能に偏りがあることで、社会生活や人間関係の中で困難を感じやすい障害の総称です。主に以下の3つのタイプに分類されます。

  • ADHD(注意欠陥・多動性障害):不注意、衝動性、多動性といった特徴があります。忘れ物が多かったり、じっとしていられなかったり、考える前に行動してしまうなどの傾向が見られます。
  • ASD(自閉スペクトラム症):対人関係やコミュニケーションに課題があり、強いこだわりを持つことが特徴です。空気を読んだり、相手の感情を察したりするのが苦手です。
  • LD(学習障害):読む・書く・計算するなどの能力のうち、特定の分野に著しい困難が見られます。知的発達には問題がないものの、学習面で特有の苦手さを示します。

これらの障害は、それぞれに異なる特性を持っており、そのため「怒られた時」の反応も一人ひとり違ってきます。

発達障害の人が怒られた時に見られやすい反応

怒られた際の反応には様々なものがありますが、発達障害を持つ方には以下のような特徴的な反応が見られることがあります。

1. 返す言葉が思いつかない(フリーズしてしまう)

急に怒られた時、その場でどう返答すれば良いのか分からず、思考が停止してしまう方がいます。特にADHDASDの方は、「臨機応変な対応」が苦手な傾向があり、突然の状況変化に対処できず固まってしまうことがあります。そのため、何も返答せず黙り込んでしまうことで、周囲からは「反省していない」「無視している」と誤解されてしまうこともあります。

2. 怒られていることを受け入れられない

自分の行動を否定されたと感じると、強い拒否反応を示すことがあります。発達障害のある方の中には、否定を受け入れることが難しく、結果として反発的な態度を取ってしまうことがあります。たとえば、指摘や助言に対して「自分を否定された」と受け取り、感情的になってしまうことも少なくありません。

3. 怒られていることに気づかない

特にASDの人は、相手の表情や声のトーンなど、非言語的なサインを読み取るのが苦手です。そのため、相手が怒っていてもそれに気づかず、無自覚に軽い態度を取ってしまったり、笑ってしまったりすることがあります。このような行動は、周囲からは「反省の色が見えない」と誤解されることがあります。

4. 相手が怒っている理由が分からない

本音と建前をうまく区別できず、「正しいことを言っているのだから問題ない」と感じてしまう傾向があります。たとえば、本人にとっては事実を述べたに過ぎない発言であっても、相手にとっては配慮に欠けるものとして受け取られてしまい、結果として怒りを買ってしまうことがあります。こうしたギャップが、さらなるコミュニケーションのズレを生む原因になります。

怒られた時の適切な対処法

怒られること自体は誰にでもありますが、そこからどう行動するかによって、状況の改善にもつながります。以下では、発達障害のある方にとって有効とされる対処法を3つ紹介します。

1. まずは謝罪する

怒られた時にフリーズしてしまうことがあるかもしれませんが、まずは「謝る」ことが大切です。たとえ自分に非があるかどうか分からない段階でも、相手を不快にさせてしまった事実に対して謝意を示すことが重要です。「申し訳ありません」「ご迷惑をおかけしました」といった一言があるだけで、その後のやり取りが円滑になります。その上で、状況を整理し、必要であれば説明や質問を行うようにしましょう。

2. 伝え方を工夫してもらうよう依頼する

耳で聞いた情報の処理が苦手な方は、口頭で怒られるだけでは理解が追いつかない場合があります。そういった場合には、伝え方を工夫してもらうことが有効です。たとえば、注意内容を後からメールやチャットなどで文字情報として伝えてもらう、具体的な改善方法を一緒に考えてもらうなど、コミュニケーションの形式を工夫することで理解が深まります。また、自分からも「分からないことはそのままにせず、質問する」という姿勢を持つことが重要です。

3. 「怒られること=嫌われること」ではないと理解する

発達障害のある方の中には、怒られることを「自分が嫌われている」「人格を否定された」と感じてしまう人が少なくありません。しかし、多くの場合、怒っている相手はその人の行動について指摘しているのであって、人格そのものを否定しているわけではありません。そのため、「怒られた=ダメな人間」という図式で受け止めるのではなく、「改善してほしいという意思表示」だと理解することが大切です。

おわりに

発達障害のある方が怒られた際に見せる反応には、その人なりの背景や特性が深く関係しています。怒られてフリーズしてしまう、理由が分からず混乱する、自分が否定されたように感じてしまう――。それらは決して「反省していない」からではなく、障害特性によって適切な対応が難しいという現実があるのです。

本人にとっては生きづらさの一端であり、周囲の理解や配慮がとても重要です。そして同時に、本人自身も自分の特性を理解し、対処法を学び実践していくことで、人間関係のトラブルを減らすことが可能になります。

発達障害という特性を持ちながらも、自分らしく生きていくためには、「理解」「工夫」「実践」の三つのキーワードがとても大切です。怒られた場面でも、それを成長のチャンスに変える力は、きっと誰にでも備わっているのではないでしょうか。