発達障害のある方々は、日常生活や人間関係、仕事においてさまざまな困難に直面することが少なくありません。その結果、自己肯定感が低くなりやすい傾向があります。しかし、そんな時に役立つ心理的なアプローチが存在します。それが「リフレーミング(Reframing)」です。
本記事では、リフレーミングとは何か、どのように実践するのか、発達障害のある方がどのように自己肯定感を高めるために活用できるのかについて、詳しく解説していきます。
「リフレーミング」とは、物事の捉え方や視点を変えることで、ネガティブな状況や感情をポジティブに再解釈する手法です。もともとはNLP(神経言語プログラミング)というコミュニケーション心理学の一分野から来ており、カウンセリングやコーチングの現場でもよく使われています。
有名な例として「コップに水が半分入っている」状態をどう捉えるか、という話があります。
「半分しかない」と考えるか、「半分もある」と考えるか。
事実は同じでも、その解釈によって生まれる感情や思考は大きく異なります。「半分もある」と捉えることで、前向きな気持ちになれるのです。

ADHDやASDなどの発達障害を持つ方は、特性ゆえに周囲と違う行動をとったり、思うように物事が進まなかったりすることが多くあります。そのため、「自分はダメだ」「また失敗してしまった」といった自己評価の低下につながりやすく、結果的に自己肯定感が下がってしまうケースが多く見受けられます。
就職活動の場面では、「自己PRを書いてください」と言われても、「自分にはいいところなんてない」と感じてしまい、なかなか筆が進まない人もいます。実際に、私たちの支援事業所でも、就職活動を始めようとする段階で「自己PRが書けない」という壁に直面する方が少なくありません。
そこで役立つのがリフレーミングです。
リフレーミングには大きく分けて2つの種類があります。
これは「出来事」に対する見方を変える方法です。たとえば、仕事でミスをしてしまったとき、「失敗してしまった」だけで終わるのではなく、「この失敗を通じて自分は成長することができた」と捉える。つまり、マイナスの出来事から学びや成長のきっかけを見出し、ポジティブな意味づけを行うのが「状況のリフレーミング」です。
これは「自分自身の性格や特性」に対する視点を変える方法です。自己肯定感の向上にはこちらがより効果的とされています。
以下は、発達障害のある方が自分自身に対して抱きやすいネガティブな認識を、リフレーミングによってポジティブに転換した具体例です。

| ネガティブな見方 | ポジティブなリフレーミング |
| 意見が言えない | 気遣いができる |
| 凝り性 | 粘り強い、根気強い |
| いいかげん | 柔軟性がある、おおらか |
| カッとなりやすい | 情熱的 |
| 落ち込みやすい | 共感力が高い |
これらの例のように、まずは自分の短所やコンプレックスだと感じている部分を洗い出し、その上で「見方を変えたらどんな長所になりうるか?」を考えることで、自分自身の新しい一面に気づくことができます。
私たちの事業所では、利用者の方に「いいところを挙げてください」といきなり尋ねるよりも、まずは「自分の短所だと思っていること」をリストアップしてもらい、そこからリフレーミングを用いてポジティブな解釈を導き出す方法をとっています。
こうすることで、本人も自分が持っているポジティブな側面に気づきやすくなり、履歴書や職務経歴書などでの自己PR作成にも大いに役立ちます。
リフレーミングは日常生活だけでなく、ビジネスの場面でも非常に役立つ技術です。以下のような状況で活用することができます。
リフレーミングは、発達障害のある方が自分自身をより肯定的に捉えるための非常に有効なツールです。物事や自分の性格を別の角度から見つめ直すことで、新たな価値を見出すことができます。
自己肯定感を高めるためには、「自分にはこんな良いところがある」と気づくことが第一歩です。リフレーミングを活用することで、少しずつでも自分を肯定できる感覚を取り戻し、自信を持って日々を過ごせるようになるでしょう。
あなたがこれからの人生をより良くするために、ぜひリフレーミングという考え方を取り入れてみてください。