体調不良が原因で職場や学校に通えなくなる病気の一つとして、適応障害があります。現在では一般的に知られている病名ですが、日本で最も注目を集めたのは、皇后雅子様が発症された際です。雅子様はハーバード大学や東京大学を卒業後、外交官として活躍し、その後皇室に入られました。しかし、2003年頃から体調を崩され、2004年には「適応障害」という診断が公表されました。当時、適応障害という病名は1994年に認められたばかりで、まだ日本ではあまり馴染みがなかったため、多くの人にとっては初耳のものでした。
適応障害とは、環境の変化やストレスによって心や体に不調が現れる病気です。雅子様はキャリアウーマンから皇室という全く異なる生活環境に身を置くことになり、その不適応が心身に影響を及ぼしました。さらに、出産による体への負担も重なった可能性があります。ところが、プライベートでディズニーランドや高級レストランに出かけられる姿が報道された際には、「公務はできないのに遊びには行ける」と批判が寄せられました。実際には、適応障害の治療は休養を取りながら好きな活動から始めることが基本ですが、その点が誤解されてしまったのです。このように、適応障害は怠けていると思われがちな病気で、職場や学校に行けなくなる一方で、趣味などの活動は可能な場合もあります。それでは、適応障害の具体的な特徴を4つご紹介しましょう。
- 環境の変化やストレスが1ヶ月以内に引き金となる 適応障害の原因となる出来事はさまざまで、職場、学校、家庭の環境の変化や人間関係の問題がストレス源になります。ハラスメントやいじめ、親しい人との別れ、健康問題なども原因の一つです。ストレスの原因が解消されれば、通常は半年程度で回復に向かうことが一般的です。しかし、本人はストレスをあまり自覚せず、体調の悪さにばかり気を取られていることもあります。適応障害でよく見られるケースとしては、夢を持って入社した職場が自分に合わず、忙しさやハラスメントにより次第にエネルギーを失い、発症することがあります。学生の場合も、念願の学校に入学したのに勉強が忙しく、人間関係に苦しむといったケースがあります。
- 気分の落ち込みや不安感 気持ちの落ち込みや不安感、落ち着かない、イライラする、気力がなくなるといった心理的症状が現れます。情緒が不安定になり、普段は怒らない人が怒りっぽくなることもあります。これらの症状は軽度のうつ病や不安症と似ています。適応障害とうつ病の境界は明確ではなく、適応障害が長引いたり重症化した場合、うつ病と診断されることもあります。
- 体調不良 全身の倦怠感や肩こり、腰痛が起こり、仕事や勉強に集中できなくなります。夜に眠れなくなったり、早朝に目が覚めてしまう不眠症や、逆に過眠症になる場合もあります。また、動悸やめまい、発汗、頻尿など、自律神経失調症の症状も現れることがあります。このように、体の不調も多岐にわたります。
- 職場や学校に行けなくなる 朝起きられなくなり、遅刻や無断欠席が増えます。また、職場や学校以外の活動においても影響が出ます。さらに、暴飲暴食やアルコール、タバコの量が増えたり、衝動的な買い物をするなど、行動に変化が見られることもあります。適応障害は決して心の弱さが原因ではなく、環境との不一致が原因です。その環境がキャパシティを超えることで心身に異常が現れます。「自分が悪い」と思って無理をすると、状況は悪化し、最悪の場合うつ病になることもあります。適応障害を発症したら、その環境から離れることを考えるべきです。自分を環境に無理に合わせるのではなく、自分に合った環境を選ぶことが重要です。まずは医師に診断を受け、診断書をもらって休養しましょう。そして、職場であれば上司や人事に、学校であれば先生に相談し、必要な対策を講じてもらいましょう。それが難しければ、退職や転校を考えることも必要です。
雅子様の場合は、原因となる皇室に残りながらの治療だったため、回復が難航しました。それはまるで、足を怪我しているのにマラソンを続けているような状況だったと例えられました。また、環境が変わったからといって、すぐに体調が回復するわけではありません。人によっては、元の状態に戻るまで半年以上かかることもあります。したがって、退職後もすぐに転職せず、十分に回復してから次のステップに進むことが大切です。