職場や学校、日常のちょっとした人間関係の中で、「うまく挨拶ができない」「電話を取るのが怖い」といった経験に心当たりはありませんか?
「自分だけが変なのかも…」と感じているかもしれませんが、実はそれ、**社会不安障害(社交不安障害)**という心の病が関係している可能性もあるのです。
今回は、「挨拶ができない」「電話が苦手」といった“あるある”エピソードを交えながら、社会不安障害の特徴や背景、対処のヒントについて丁寧にお伝えします。
社会不安障害(Social Anxiety Disorder)は、不安障害の一種です。
人前で注目を集める状況において、強い不安や緊張、恐怖を感じる心の病気です。以前は「対人恐怖症」とも呼ばれていました。
たとえば、以下のような場面で症状が現れることが多くあります。

これらの状況に対して、強いストレスを感じ、身体にも影響が出ることがあります。具体的には、
といった症状です。
これらは「気の持ちよう」や「恥ずかしがり屋だから」という理由だけでは説明できない深刻な状態であり、医療的な支援が必要になることもある疾患です。
ここからは、実際に社会不安障害の人が感じやすい4つの「あるある」エピソードをご紹介します。
① 人前で何かをするのが苦痛で避けてしまう
社会不安障害の人にとって、「人の前で何かをすること」は非常に強い不安を引き起こします。たとえば:
こうした「注目を浴びる」場面を想像するだけで、身体が緊張し、心拍が速くなり、頭が真っ白になってしまうこともあります。

また、プライベートにおいてもその傾向は表れやすく、
など、人と接する機会全般に対して強いプレッシャーを感じるのが特徴です。
このため、少しずつ人付き合いが億劫になり、孤立してしまうリスクもあるのです。
② 視線が気になって仕事に集中できない
社会不安障害の人は、周囲の視線に対して過敏になる傾向があります。オフィスや教室など、他人がいる空間にいると、
といった感覚に襲われてしまいます。
もちろん、実際に誰かが見ているわけではないことは頭ではわかっているのです。それでも、自分が常に評価されているような錯覚を持ち、不安が強まります。
こうした状態が続くと、仕事や勉強に集中できなくなり、パフォーマンスが落ちてしまうこともあります。そしてそれがさらに自信を失わせ、悪循環につながってしまうのです。
③ 電話でうまく話せない
「電話をかけるのが怖い」「着信音を聞くだけで緊張する」といった声もよく聞かれます。
社会不安障害の人にとって、電話は対面とは違った不安を呼び起こします。
電話が鳴っただけでドキドキし、「出なきゃ」と思っても体が動かず、見送ってしまうこともあります。
職場での電話対応に悩む人は少なくありませんが、これは「甘え」ではなく、社会不安障害による明確な症状のひとつでもあるのです。
④ 挨拶がうまくできない
社会生活の中で最も基本的なコミュニケーションともいえる「挨拶」。
しかし、社会不安障害の人にとっては、この挨拶さえも心理的ハードルが高い場合があります。
その結果、うまく挨拶できず、相手に「無視された」「冷たい人」と誤解されてしまうことも。
それによって人間関係にひびが入る可能性もあり、ますます人と接することが怖くなってしまうのです。
こうした症状があると、なるべく人前に出る機会や会話の場面を避けようとするようになります。
社会不安障害は、本人の努力不足や性格の問題ではありません。脳の働きやストレス反応など、医学的な背景に基づくれっきとした「障害」です。
症状に心当たりがある場合は、一度、心療内科や精神科で相談してみることをおすすめします。
必要であれば、心理療法(認知行動療法など)や薬物療法を通じて、症状の改善が図れます。
また、職場や学校などで周囲の人に理解を求めることも大切です。「挨拶ができない」ことの裏に、不安障害があるかもしれないという視点が広まることで、偏見や誤解が減っていくことも期待されます。
社会不安障害の「あるある」には、共通する苦しみがあります。
誰にも言えず、日常の当たり前の行動にさえ不安を抱える毎日は、とてもつらいものです。
しかし、「それは病気かもしれない」と気づくことが、回復への第一歩です。
一人で抱え込まず、まずは「もしかして…?」という小さな気づきから、誰かに話してみませんか?
挨拶が苦手でも、電話ができなくても、大丈夫。あなたのペースで、心の安心を取り戻していけますように。