心理学において、親子間の情緒的な結びつきは「愛着」と呼ばれます。しかし、幼少期に親との急な別れや冷たい対応を繰り返し受けると、愛着が十分に育たないことがあります。これが、心の発達にも影響を及ぼします。
このまま助けを得られずに大人になると、心は傷つきやすく、自信を持つことが難しくなります。
これを「大人の愛着障害」と言います。愛着障害を持つ人は、自己肯定感が低く、劣等感を抱え、人間関係の適切な距離感が分からずに苦しむことが多いです。特に、他者との関係の築き方や維持の仕方が分からないため、社会に出た際に様々な問題に直面します。
愛着障害があるとどうなる?
愛着障害のある人は、過去の出来事に縛られ、未来に向かって進むというより、過去の問題を解決することに多くの時間を費やします。良いパートナーに恵まれても衝突が絶えず、仕事でも人間関係のトラブルでチャンスを逃し、何をしても自信が持てないため、普通の幸せを手に入れることが難しいのです。友人や同僚と比べて、自分だけが遅れているように感じることもあります。さらに、他の人が簡単にできることが自分にはできないという悩みが常に付きまとい、理解されにくいと感じることも多いです。
しかし、状況は永遠にこのままではありません。多くの人は時間をかけて徐々に愛着の問題を乗り越えることが可能です。安全な環境や優しい人との出会い、仕事での成功、子育てやペット、植物の世話、そして没頭できる趣味などを通じて、過去の傷は少しずつ癒されていきます。
大人の愛着障害を乗り越えると?
では、大人の愛着障害を乗り越えることができたサインとは何でしょうか。ここでは、親からの愛を感じられなかった過去を乗り越えたことを示す4つの兆候を紹介します。
- 過去を振り返っても動揺しない
親子関係がまだ未解決であると、親を思い出すたびに怒りや悲しみが湧き上がり、話をするだけで感情的になることがあります。
しかし、心には自然と傷を癒し、悪い記憶を解毒する力が備わっています。
喜びや楽しみを感じると、過去の辛い記憶も徐々に苦しみを伴わないものとなり、親を思い出しても動揺しなくなるのです。
- 過去の苦しみを冷静に話せる
辛い過去は他人に知られたくないものです。
生い立ちを聞かれても真実を隠そうとし、話すこと自体が恥ずかしく感じられることもあります。
また、理解してくれる人に話しても感情的になってしまうことがあるでしょう。
しかし、心が過去を乗り越えると、冷静に過去のことを話せるようになります。
友人やカウンセラーに自然と自分の経験を語れるなら、それは親子関係が解決に向かっている兆しです。
- 親を理想化しなくなる
愛着の問題は、親が拒絶的であるときだけでなく、過保護や過干渉な場合にも発生します。
過度に保護されたり干渉されたりすることで、子供は自分の意見を言えなくなり、親の理想に従うしかない状況が続くことがあります。
それでも「親は素晴らしい」と思い込んでいることが多いのです。しかし、挫折や周囲の影響を受け、親の間違いに気付いたとき、自分も親と同じ人間だと感じられるようになるのです。これも愛着問題を克服したサインです。
- 信頼できる人がいる
愛着障害を持つ大人の大きな課題の一つは、人を心から信頼できないことです。
親しくなればなるほど、相手に裏切られるのではないかと不安になります。
しかし、一人でも信頼できる人ができたり、一緒にいて安心できる存在ができたなら、それは愛着の問題を乗り越えた証です。
疑うことなく話せる人が一人でもいれば、それは過去の辛い経験を乗り越えたことを意味します。
愛着障害は決して乗り越えられない障害というわけではありません。過去の傷を少しずつ癒し、あなたの人生を取り戻すことも決して不可能ではないのです。