適応障害を経験された方の中には、「また同じように心が辛くなったらどうしよう」「職場復帰はできたけれど、再発が怖い」といった不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、まず「適応障害とは何か」をわかりやすく整理した上で、再発を防ぐために大切な3つのポイントをご紹介します。ご自身の状態を振り返りながら、無理なく、そして自分らしい生活を築いていくヒントにしていただけたら幸いです。
適応障害とは、生活の中で受けたストレスがきっかけとなり、心や身体にさまざまな不調が現れる精神疾患の一つです。主な症状としては、以下のようなものがあります。
・抑うつ気分(気分の落ち込み)
・不安感
・倦怠感や疲労感
・睡眠障害
・食欲不振
・集中力の低下 など
症状としてはうつ病と似ている部分が多いですが、適応障害の大きな特徴は「症状の原因となるストレス(ストレス因)が明確である」という点です。たとえば、職場での人間関係や業務のプレッシャー、家庭内のトラブルなど、はっきりとした原因が存在し、それに対する反応として症状が現れます。
また、適応障害は「ストレスのもとが取り除かれれば、6ヶ月以内に症状が改善する」とされています。これは、うつ病との大きな違いの一つです。

適応障害を一度経験すると、同じような環境や状況で再び症状が現れることがあります。再発を防ぐためには、「自分自身のストレスの感じ方」や「環境との向き合い方」を見直すことが大切です。以下に、特に意識したい3つのポイントをご紹介します。
適応障害は、「ある特定のストレス」が原因で起こる病気です。そのため、再発を防ぐうえで最も大切なのは、「自分にとって何がストレスだったのか」を明確にし、それに合わせて環境を調整することです。
例えば、営業職でお客様からのクレーム対応が強いストレスになっていた場合、その業務から離れることが必要かもしれません。人と直接かかわる仕事全般が負担になっている場合は、事務職や在宅ワークなど、より自分に合った働き方を検討することも選択肢の一つです。
また、ストレスの原因が職場の人間関係や上司との相性である場合は、部署異動や上司の変更を相談する、労働時間を見直すなどの対策も考えられます。
ポイントは、「自分にとってのストレスとは何か」を紙に書き出すなどして、見える化することです。そして、「自分がどのような環境であれば無理なく働けるか」を具体的に想像してみましょう。その上で、今の職場で調整が可能であればそれが理想的ですが、難しい場合は転職も含めて、環境そのものを見直すことも視野に入れることが大切です。
環境を調整することは大切ですが、それでもすべてのストレスを避けることはできません。職場を変えたとしても、どこかで似たような問題に直面することはあります。そうしたときに大切になるのが、「ストレスとの付き合い方」を身につけることです。
たとえば、「上司の言い方がきつい」「人からの評価が気になる」「完璧に仕事をこなさなければならない」といった思考が、自分自身を強く追い詰めてしまうことがあります。
こうした「考え方の癖」を見直す方法として有効なのが、認知行動療法です。これは、自分の思考パターンや物事の捉え方を少しずつ修正していき、ストレスの感じ方を和らげていく治療法です。
たとえば、「一人で全部こなさないといけない」と思っていた人が、「時には誰かに頼ってもいい」と考えられるようになることで、心の負担がぐっと軽くなることがあります。
必要であれば、カウンセリングを受けたり、メンタルクリニックで認知行動療法について相談してみるとよいでしょう。自分の思考の傾向に気づくことで、同じ状況でも感じるストレスが変わってくることがあります。
現代社会で生きていく中で、ストレスをまったく感じずに生活することは不可能に近いかもしれません。そのため、「ストレスをためこまない工夫」が大切になります。
まず意識したいのが、生活リズムを整えることです。特に適応障害から職場復帰を目指す場合は、「規則正しい生活」が心身の安定に大きく役立ちます。毎日同じ時間に起きて、同じ時間に寝る。これは簡単そうでいて、実はとても重要なことです。
そのためには、勤務時間が固定されている仕事(例:9時~17時、残業なし)を選ぶとよいでしょう。夜勤やシフト制のように、日によって生活のリズムが大きく変わる職場は、生活のリズムが乱れやすく、再発のリスクが高まる可能性があります。
また、ストレスの発散方法を持つことも重要です。毎日の小さな楽しみでも、休日にガッツリ楽しむ趣味でも、自分にとって「リフレッシュできる時間」を確保しましょう。
たとえば、平日は仕事から帰ってからの1〜2時間、好きなゲームをする。休日には友人とカラオケに行ったり、自然の中で過ごしたりする。そうした時間が「ストレスを流す」ための大切な役割を果たしてくれます。
さらに、バランスの取れた食事、適度な運動、質の良い睡眠も、心の健康に直結しています。自分にとって無理のない範囲で、少しずつ生活の質を高めていきましょう。

適応障害の再発を防ぐためには、単に「元の生活に戻る」ことを目指すのではなく、「自分らしく無理なく働ける生活」を再構築することが大切です。
・ストレスの原因を明確にし、必要に応じて環境を調整すること
・自分の考え方の癖に気づき、ストレスへの反応をやわらげること
・規則正しい生活と、適度なストレス発散を心がけること
これらの対策は、適応障害の再発を防ぐだけでなく、今後の人生をより豊かに、より安心して過ごすための土台になります。
焦らず、少しずつで大丈夫です。あなたのペースで、自分を大切にする生活を積み重ねていきましょう。