発達障害とは、生まれつき脳の発達に偏りがあるため、物事の捉え方や行動において問題が生じる障害です。子どもの頃に見過ごされ、大人になってから気づかれる場合を「大人の発達障害」と呼びます。大人の発達障害は、職場で他の人ができることができなかったり、無理にみんなに合わせようとして体調を崩すなど、職場での辛い体験を通じて気づかれることが多いのです。
残念ながら、発達障害は生まれつきの問題であり、治すことはできません。そのため、職場で辛い思いをしないためには、他人に合わせて自分を無理に変えるのではなく、自分に合った職場を選ぶという視点が重要です。

ここで、アンデルセンの童話『みにくいアヒルの子』をご存じでしょうか。
アヒルの群れの中で他のアヒルと異なる姿のひな鳥が生まれ、周囲から「みにくい」と言われて辛く当たられます。ひな鳥は耐えきれずに家を出ますが、別のアヒルの群れに入っても同じくいじめられます。そして最終的に生きることに疲れ、死を決意します。しかしその時、白鳥の群れがやってきて、ひな鳥を仲間として迎え入れました。驚いたひな鳥が水面に映る自分の姿を見て気づいたのは、自分がアヒルではなく、白鳥であったということです。こうして自分の居場所を見つけたひな鳥は、苦しみから解放されたのです。
この物語は、発達障害のある人にも通じるものがあります。大切なのは、自分の特性に合った居場所を見つけることです。自分に適した環境で働くことで初めて能力を発揮し、自己価値を見出すことができるのです。
発達障害の一つであるアスペルガー症候群(現在は自閉症スペクトラム障害(ASD)の一部とされています)は、特に他人の気持ちを読み取ることが難しく、その結果、職場でトラブルが多く発生します。そのため、アスペルガー症候群の方は、自分の特性や苦手なことをよく理解し、それに基づいて慎重に仕事を選ぶことが求められます。何よりも、自分の特性を活かし、苦手な分野を避けるという考え方を持つことが重要です。
今回は、アスペルガー症候群の方が選ぶべき仕事の特徴を6つご紹介します。
1. 興味を持てる仕事
アスペルガー症候群の方は、関心を持つ分野が非常に狭く、その分、深く没頭することが多いです。興味のあることには集中して取り組むことができる反面、関心を持てないことには全く関わりたくないという傾向があります。そのため、自分の好きな分野や関心のある領域から仕事を選ぶことで、能力を発揮しやすく、長く続けることができるでしょう。
2. 人と関わりの少ない仕事
対人関係が苦手なため、人と頻繁にコミュニケーションを取らなければならない仕事は避けるべきです。営業や接客、電話応対などは特に不向きです。特にクレーム対応では、相手をさらに怒らせてしまうこともあります。一方、パソコンを使ったデスクワークや一人で集中できる作業、数字やデータを扱う仕事は適しています。記憶力が優れていることが多いため、経理やプログラミング、設計などの細かい作業が求められる仕事も向いています。
3. 内容があらかじめ決まっている仕事
アスペルガー症候群の方は、状況に応じて臨機応変に対応することが苦手です。急な変化に対応できず、パニックになることもあります。そのため、毎日決められた作業をこなす仕事が適しています。もしも多少の変化がある場合でも、対応方法がマニュアル化されていれば問題なくこなせるでしょう。例えば、営業や接客でも、対応の流れが決められているならば安心して取り組むことができます。
4. 一度に一つのことに集中できる仕事
アスペルガー症候群の方は、複数の作業を同時にこなすのが苦手です。一つの作業に集中できる仕事が向いています。たとえば、受付業務をしながら事務作業を並行して行うような職場は不向きです。一つのことに専念できる環境が望ましいでしょう。
5. 上司が感情的でない職場
アスペルガー症候群の方にとって、上司の態度は非常に重要です。指示が明確で、感情的にならない上司であれば問題ありませんが、上司がすぐに怒ったり、指示が曖昧だったりすると、ストレスが溜まりやすく、パニックに陥ることがあります。上司との関係に悩み、うつ病を発症してしまうケースも少なくありません。もし上司との関係が大きなストレスとなっている場合は、早めに人事に相談することが大切です。
6. 雑音が少なく、照明が落ち着いた職場
アスペルガー症候群の方は、音や光、匂いなどの感覚に敏感です。オフィス内の雑音や照明が強すぎる環境では、集中力が低下することがあります。もしも職場の環境が合わないと感じたら、耳栓やパーティションを使用させてもらうなど、職場に相談して改善を図ることも一つの手段です。

また、一般の職場でうまくいかない場合は、「障害者雇用」という選択肢もあります。障害者雇用では、業務量や時間が調整されており、職場の理解も進んでいるため、安心して働くことができます。給与は通常よりやや低くなることがありますが、成果によって正社員として採用されることもあります。まずは精神科で診断書を書いてもらい、役所で障害者手帳を取得しましょう。その後、就労支援施設やハローワークを通じて、自分に合った職場を紹介してもらうことができます。 障害者雇用を積極的に採用する企業は増加しており、自分の才能を活かし、生きがいを見いだせる職場に出会える可能性は十分にあります。