「クールな人」というと、ヒーローのように冷静でかっこいいイメージが浮かびます。
しかし、感情を感じにくい「失感情症」という症状に苦しんでいる人がいることをご存じでしょうか。
彼らは、辛いことがあっても、自分の内面で何が起きているのかを言葉にすることが難しいのです。
感情を認識できないため、心の不調が身体の痛みや不調として現れることが多くなります。
1972年、アメリカのシフネオス医師は、強いストレスを感じても、それが心の症状として出ず、胃腸の不調や喘息などの身体症状として現れやすい人々を研究しました。
そして、これらの人々に共通する特徴として「失感情症」を発見しました。
英語では「アレキシサイミア」と呼ばれます。
辛いことがあっても言葉に表現することができず、ストレスが身体症状として現れやすい傾向があるのです。

ストレスは脳の「間脳」という部分で喜怒哀楽として認識され、その情報は脳の上下に伝達されます。
自律神経を通じて内臓に影響を与えるのが下方向の伝達で、前頭葉に伝わり感情を言語化するのが上方向の伝達です。
しかし、失感情症の人は、感情の情報が前頭葉にうまく伝わらず、言葉に変換されないのです。
失感情症は、一時的に現れることもありますが、生まれつきの性格として捉えられ、多くの人が生きづらさを感じています。
心の中で何が起きているか自覚できない人もいるのです。
ここでは、失感情症の特徴を5つ紹介します。

家族と一緒にお笑い番組を見ても、周りが笑っている中、自分だけが笑えないことがあります。
決して番組がつまらないわけではありません。
また、学校でいじめがあっても、休まずに通学しますが、内心はとても辛いのです。
戦争で捕虜になった人が無表情で連れ去られるような雰囲気に似ています。
失感情症の人は感情を感じることはできても、それを言葉にできないため、自分の感情を自覚できません。
不快な感情が蓄積すると、感情が爆発してしまうこともあります。
失感情症は心の健康に悪影響を与えることがあるのです。
感情を言葉にできないため、相手に自分の気持ちを伝えられず、誤解されることがあります。
感謝や喜び、辛さや不快感を伝えられず、対人関係で問題が生じることもあります。
子ども時代には、感情を表現できないために親から「育てやすい子」と思われることもありますが、実際には失感情症のために自分の気持ちをうまく伝えられないのです。
ストレスが体の不調として現れやすくなります。
失感情症の人は、ストレスを言葉にして発散できないため、不快な感情が自律神経を通じて身体症状として現れます。
倦怠感、頭痛、腰痛、胃腸障害、喘息など、心身症として表れることが多く、検査では異常が見つからない場合もあります。
葛藤が生じたとき、自分の心を言葉で整理できないため、問題解決が難しく、辛い状況から逃げたり心を閉ざしてしまいます。
子どもが学校に行きたくない時、頭痛や腹痛を訴えるのは、このような感情処理の未熟さに起因することが多いです。
大人になってもこれが続くと、失感情症の可能性があります。
ASDの人々は他人の感情を読み取るのが苦手なだけでなく、自分の感情を理解するのも難しいため、失感情症の症状が多く見られます。
愛着障害や複雑性PTSD、統合失調症でも同様の特徴が現れることがあります。
以上が失感情症の特徴です。
失感情症は基本的に生まれつきの性格傾向であり、決定的な治療法はありません。
しかし、自分の個性として受け入れ、無理をしすぎないようにすることが大切です。
身体が発するSOSを見逃さず、休息を取ることが重要です。
体をリラックスさせることは心の癒しにも繋がるため、日々の生活で体のケアを心がけましょう。