日本人は責任感が強く、特に能力の高い人ほど仕事に全力を尽くす傾向があります。高度経済成長期には「企業戦士」という言葉が生まれ、会社に人生を捧げる人々が多くいました。かつて侍は主君に仕えることを生業としていましたが、現代の侍は会社に忠誠を誓うようになったのです。
しかし、長時間労働や職場の過度なストレスは、本来人間があるべき姿とはかけ離れています。このような生活は、少しずつ心身を蝕み、最終的には病気に至ることが多いのです。高度成長期の終わり頃には、長時間労働による突然死の問題が浮き彫りになり、1978年には「過労死」という言葉が生まれました。
2000年代に入ると、過労死は日本だけの問題ではなく、欧米でも「KAROSHI」として知られるようになりました。会社に人生を捧げる姿勢は、日本人特有のものであり、海外の人々は、健康を害してまで仕事に没頭することは、よほど経済的に困窮していない限り避ける傾向にあります。特に能力の高い人々は、仕事の効率を優先し、長時間労働を避け、私生活を大切にする文化が根付いています。
時代の流れとともに、日本でも欧米的な考え方が浸透しつつありますが、それでも日本人の多くは、男女問わず「侍の血」を受け継いでいるかのように、健康を損ねても会社のために働こうとする人が後を絶ちません。その結果として、働きすぎによるうつ病や適応障害などの心の病気は減ることがなく、むしろ深刻化しています。
ここでは、心身が限界を迎え、休養が必要なことを示す7つのサインを紹介します。これらのサインに気づいたときには、既にうつ病や適応障害になっている可能性があるため、早めに専門医を受診し、休職について相談することが大切です。

1. 食欲の低下
食欲がなく、体重が減少し、内科を受診しても特に大きな異常が見つからない場合、ストレスによる胃腸症状の可能性があります。脳の働きが低下し、自律神経が乱れていることが原因です。これが2週間以上続く場合は、仕事を休むべきサインです。逆に、満腹感がなく過食が続く場合も、ストレスによる危険な兆候です。
2. 睡眠障害
疲れているのに眠れない、あるいは眠れても早朝に目が覚めてしまう、お酒を飲まないと寝付けないといった症状が2週間以上続く場合、放置せずに内科や精神科を受診することをお勧めします。食欲や睡眠は心の健康状態を示すバロメーターであり、特にうつ病や適応障害は睡眠障害から始まることが多いのです。早期に対処することで、より深刻な状態に進行するのを防ぐことができます。
3. 仕事の効率の低下
仕事中に集中力が続かず、物忘れが多くなり、週末に休んでも改善しない場合、それは脳の機能に異常が出始めているサインです。このような状態で無理に働き続けると、効率はますます悪化し、ミスも増える一方です。状況が悪化する前に、早めに休暇を取ることを考えましょう。
4. 理由もなく涙が出る
仕事中に理由もなく涙が出る場合、それはストレスによる自律神経の乱れが原因です。さらに、原因不明のめまいや、下痢や便秘を繰り返す、動悸、咳が止まらない、微熱が長引くなどの症状があり、内科で大きな異常が見つからない場合は、ストレスによる自律神経失調症の可能性があります。これらは脳が「これ以上働かないでほしい」というSOSを発している状態です。
5. 怒りっぽくなる
うつ病は一般的に気持ちが落ち込む病気だと思われがちですが、実際には情緒が不安定になることもあります。普段は怒らない人が突然怒りっぽくなったり、人前で感情的になって泣いてしまう、不安で落ち着かないといった症状が出る場合も、注意が必要です。
6. 消えたいと思う
1998年には「過労死」に続いて「過労自殺」という言葉が生まれました。長時間労働に加え、精神的なストレスがかかると、自分を責め続け、「会社に役立たない人間だ」と思い詰め、最終的に死を選んでしまうことがあります。人生をリセットしたい、消えてなくなりたいという思いも、消極的な自殺願望の一種です。このような考えが続く場合は、早急に精神科を受診する必要があります。
7. 周囲からの忠告
うつ病や適応障害になると、自分の心の状態を正確に判断できなくなることがあります。周囲の人から見れば、明らかに生気がなく、表情が硬直しているのに、本人は責任感から働き続けようとします。家族や上司から「休んだ方が良い」と忠告された場合は、そのアドバイスに耳を傾け、無理せず休むことを検討しましょう。

以上、仕事を休むべきサインを紹介しました。仕事に対して責任感を持ち、情熱を注ぐことは素晴らしいことですが、同じくらい大切なのは、自分の健康を守ることです。適切に休むことや、必要な助けを求めることは決して恥ずかしいことではありません。
仕事を休むことで周囲に迷惑をかけたくない、悪い評価を受けたくないと感じるかもしれませんが、健康を取り戻せば再び仕事に精を出すことができます。仕事の代わりをしてくれる人はいますが、自分の健康は自分でしか守ることができません。