IQや言語能力には問題がないものの、相手の感情を理解することが苦手で、良好な人間関係を築くことが難しい障害をアスペルガー症候群と呼びます。
大人になってからこの障害が明らかになる場合を「大人のアスペルガー症候群」と言います。
近年では有名人が公表することもあり、社会的な認知が広がってきました。
ただし、アスペルガー症候群と一口に言っても、その症状は個々の性格によって異なります。
「他人との関わりが苦手」というイメージが強いかもしれませんが、実際にはADHDの特徴を持ち、むしろ人と積極的に関わろうとするタイプもいます。
共通する症状として「相手の感情を理解できない」「感覚の過敏さ」「パニックを引き起こす」などがありますが、対人関係の違いにより、大人のアスペルガー症候群は5つのタイプに分類されます。 アスペルガー症候群は、自閉症スペクトラム障害(ASD)の一部として考えられるようになっています。
ここでは、大人のアスペルガー症候群の5つのタイプを紹介します。
他者からの働きかけに反応せず、必要なときにだけ人と関わります。一人でいることを好み、集団の中でも周囲の存在を意識しないような行動を取ります。
学業で優れた成績を収めると、特定の分野で天才と称されることもあります。
子供の頃は孤立型であっても、大人になるにつれて他のタイプへと変わることがあります。
自ら他者に関わることは少ないものの、他人からの接触は受け入れます。
敏感さが目立たないため、周囲からは発達障害と気づかれにくいタイプです。大人しい印象を持たれ、人の話をよく聞くものの、実際には十分に理解していないことがあります。
幼少期に「素直で育てやすい子」とされるため、親子関係は良好ですが、大人になると他人の期待に応える行動を取る傾向があります。
自己主張がないため、人から様々な要求を押し付けられることがあり、それを断れずに過度な適応をしてしまうことで、うつ病を発症しやすくなります。
衝動性が強く、ADHDの傾向が見られるタイプです。
積極的に他者と関わろうとしますが、一方的に自分の話をし、人を巻き込もうとするため、自己中心的に見られることがあります。感情表現が豊かで、普通の人以上に社会との接触を求めますが、相手の気持ちに無関心なため、自分本位な関わり方をしてしまいます。
このため、しつこく頑固な人物と見なされ、嫌われることがあります。子供の頃は積極的奇異型でも、大人になるにつれて受動型や孤立型に変わることもあります。
アスペルガー症候群の人全般に、言葉遣いや態度が場に合わず、周囲から「偉そう」と誤解されることがあります。
特に尊大型は、自分を強く主張し、相手より優位に立とうとするタイプです。いわゆる「マウントを取る」行動を取ります。他者を非難することで自分を守る傾向があり、失敗やうまくいかないことは他人のせいにしがちです。
高学歴でプライドが高く、成功体験からこの行動を学習してきたと考えられます。職場で出世することもありますが、パワハラに発展することもあり、家族に対してのみ尊大な態度を取るケースも見られます。
大仰型は、礼儀正しすぎるところからその名が付けられました。高学歴者に多く、人間関係のルールを知識として学んでいるため、表面上は問題がないように見えます。
しかし、相手や状況に応じて柔軟に振る舞えないため、堅苦しい印象を与えます。ルールに厳しく、自己にも他者にも厳しい姿勢を貫くため、職場では管理職に昇進することがあっても、家庭内で問題が生じやすい傾向があります。
以上で、アスペルガー症候群の5つのタイプについて紹介しました。
大人のアスペルガー症候群の方々には、「緻密な作業が得意」「優れた記憶力」「好きなことに深く没頭できる」「ルールを厳守する」といった素晴らしい特性があります。
これらを自分の強みと捉え、障害を個性と見なすことが大切です。
ただし、社会との適応がうまくいかず、うつ病になったり、感情のコントロールが難しい場合は、医療機関のサポートを積極的に活用しましょう。
特性そのものは変わりませんが、薬による治療で気持ちを調整することは可能です。
さらに、状況が改善しない場合には、障害者雇用や福祉制度を利用する選択肢もあります。