日本人の約2割が睡眠に関する悩みを抱えています。睡眠不足は翌日の仕事や勉強に悪影響を与えるだけでなく、免疫力を低下させたり、動脈硬化を悪化させたりと、健康にも悪い影響があります。そのため、不眠症はさまざまな病気の原因となることがあります。実際、日本の成人の約1割が睡眠薬を利用しているという調査結果があります。しかし、不眠症を経験したことがない人には、睡眠薬に対してネガティブなイメージを持つことが多いようです。例えば、認知症になりやすくなる、依存してやめられなくなる、服用量が増えていくなどの恐ろしい情報がネットや週刊誌で取り上げられることがあります。これらは特に古いタイプのベンゾジアゼピン系睡眠薬に関連する話ですが、一部の乱用者がいることが評判を悪くしている一因でもあります。実際、最近の研究では、睡眠薬を服用しても認知症になるリスクが高まらないことが確認されています。長期間服用している人がいるのも事実ですが、ほとんどの場合は医師の指導のもとで安全に使用されています。また、服用量が増えることはほとんどありません。
最近では、ディエビゴ、ベルソムラ、ロゼレムといった脳の自然な眠気を促す新しいタイプの安全性の高い睡眠薬が登場しています。これらの薬は、寝つきを良くする効果は弱いものの、習慣性やふらつきといった副作用がないとされ、ベンゾジアゼピン系の薬と置き換えが可能です。不眠症の主な原因は大きく4つに分けられます。

### 4つの不眠症の原因と対策
1. **生活リズムの乱れ**
睡眠にはメラトニンというホルモンが重要です。朝の光を浴びるとメラトニンの分泌が止まり、約14時間後に再び分泌されて眠気が出ます。これを体内時計と呼び、朝日を浴びる時間が遅れたり、夜間に強い光を浴びたりすると、夜に眠れず、朝に眠気が残ることがあります。規則正しい起床と朝日を浴びることが大切ですが、夜勤やシフト勤務の人にとっては難しく、不眠症になりやすい傾向があります。そうした場合、睡眠薬の使用が有効です。加齢に伴い自然に不眠になることもあり、70歳以上の約2割が睡眠薬を利用していると言われています。
2. **心配事やストレス**
心配事やストレスがあると、交感神経が優位になり、脳が「眠ってはいけない」という指令を出します。動物が危険を感じた際に眠れなくなるのと同様に、緊張が解けると自然に眠れるようになります。このタイプの不眠には、日々の運動や趣味、リラックスする習慣が予防に役立ちます。しかし、避けられない心配事やストレスがある場合は、睡眠薬を使用することが必要になる場合もあります。
3. **不眠恐怖症**
何度か眠れなかった経験があると、「また眠れないのでは」と不安に感じ、焦れば焦るほど眠れなくなることがあります。これは精神交互作用と呼ばれ、意識すればするほど眠れなくなる状態です。このような場合は、布団でじっと待たずに、起きて音楽を聴いたり本を読んだりして意識をそらすことが効果的です。どうしても眠れない時は、大事なイベントの前などに睡眠薬を使用することも助けになるでしょう。ただし、長引く場合は不安障害などの心の病気が隠れている可能性があります。

4. **心の病気**
うつ病、不安障害、パニック障害、統合失調症、双極性障害などの精神疾患に伴う不眠もあります。これらの病気では脳が覚醒状態になっており、「眠るな」という指令が出ているため、不眠症がさらに悪化することがあります。この悪循環を断ち切るために、睡眠薬が積極的に使われます。精神疾患の治療において、睡眠は脳を休ませるために最も重要な要素です。