今回は、「ADHDの人の金銭管理術」というテーマでお話ししていきたいと思います。
最初に、ADHDとはどのような障害なのかについて簡単にご説明し、次にADHDの方が金銭管理を苦手とする理由を4つ挙げて解説します。
最後に、実際に役立つ金銭管理術を5つご紹介いたします。

ADHDとは、「注意欠如・多動症(Attention Deficit Hyperactivity Disorder)」の略で、発達障害の一種です。
生まれつき脳の働きに偏りがあり、それによって日常生活における困難を抱えやすい傾向があります。
主な特徴としては「不注意」「多動性」「衝動性」の3つが挙げられます。
これらの特性により、集中力が続きにくかったり、突発的な行動を抑えられなかったり、あるいは思いついたままに行動してしまったりといった傾向が見られます。
そのため、日常生活の中でも
「ついうっかり」
「つい忘れていた」
「今やろうと思っていたけど後回しになった」
といったことが頻繁に起こりやすいのです。

ADHDの方が金銭管理に苦手意識を持ちやすいのは、主に次のような4つの理由からです。
1. 買い直しが多い
ADHDの方は忘れ物や無くし物が多い傾向があります。
たとえば傘、文房具、そして最近ではワイヤレスイヤホンなど、つい置き忘れてしまいがちなアイテムを何度も買い直すことで、想像以上に出費がかさむことがあります。
特に高価なイヤホンや電子タバコなどは、なくしてしまうと再購入に数千円から数万円かかってしまう場合もあります。
結果として、お金を有効に使えていないという実感を持つ方も少なくありません。
2. 支払い忘れが多い
家賃や光熱費、携帯代など、毎月決まった支払いを忘れてしまうことも、ADHDの方にとって大きな困りごとの一つです。
支払用紙を見ても「あとで払おう」と思ってしまい、そのまま忘れてしまうということがよくあります。
こうした支払いの遅延は、ライフラインの停止や延滞金の発生など、生活に支障をきたす結果になりかねません。
3. 衝動買いをしてしまう
ADHDの特徴である「衝動性」によって、買う予定のなかった物をつい買ってしまうことがあります。
たとえば、スーパーやコンビニで予定外のスイーツや雑貨を手に取ってしまったり、ネットショッピングで思わず高額な商品を購入してしまったりという経験をされた方も多いのではないでしょうか。
このような行動が繰り返されると、予算をオーバーしてしまい、月末にお金が足りなくなるという事態になりがちです。
4. 細かい管理が苦手
金銭管理には、収入と支出のバランスをとる、予算を立てる、家計簿をつけるなどの細やかな作業が求められます。
ADHDの方は、こうした作業に対して「めんどうだ」と感じたり、始めても継続するのが難しかったりします。
また、1か月というスパンで見通しを立てるのも苦手とされる方が多く、給料日直後に出費がかさみ、月末にお金が足りなくなるというパターンもよく見られます。

では、こうした金銭管理の苦手さにどう対応すれば良いのでしょうか。
ここからは、ADHDの方におすすめしたい5つの金銭管理術をご紹介します。
1. 用途別に現金を封筒で管理する
アナログな方法ですが、非常に効果的です。
給料日になったら、まず生活費を現金で引き出します。
そして「食費」「交際費」「交通費」「趣味」など、用途ごとに封筒を用意し、あらかじめ決めた予算に従って分けておきます。
この方法であれば、封筒に入っている分だけしか使えないため、自動的に予算内でのやりくりが促され、使いすぎを防ぐことができます。
2. 借金を避け、後払いをやめる
クレジットカードや電子マネーなどの「後払い」は、実際にお金が出ていく感覚が薄れるため、つい使いすぎてしまう原因になります。
これを避けるためには、デビットカード(即時引き落とし)やチャージ式のプリペイド型決済に切り替えることをおすすめします。
使った瞬間に口座残高が減るため、実際のお金の動きが把握しやすくなり、金銭管理のしやすさが向上します。
3. 口座振替を活用する
公共料金や家賃など、毎月必ず支払う項目については、口座振替に設定しておくのがベストです。
支払いを自動化することで「支払いを忘れてしまった」というトラブルを未然に防ぐことができます。
封筒分けで現金を管理する場合でも、口座振替分は口座に残しておき、それ以外の生活費のみを引き出すようにすれば、確実に支払いが行える体制を整えることができます。
4. 無くし物・忘れ物対策を徹底する
よくなくす物を把握し、その物を無くさないための工夫をしましょう。
例えばビニール傘をすぐに忘れてしまう方は、カバンに常備できる折りたたみ傘を使うのも一つの手です。
イヤホンも「使用後は必ずカバンに入れる」といったルールを自分の中で決めておくことで、無くしにくくなります。
こうしたちょっとした工夫が、無駄な買い直しの出費を減らす助けになります。
5. 公的な金銭管理支援を活用する
各自治体の「社会福祉協議会」では、金銭管理に困難を抱える方を対象に
「日常生活自立支援事業(安心サポート)」というサービスを提供しています。
障害のある方や判断能力に不安のある方が、定期的な支払いや生活費の管理を手助けしてもらえる制度です。
該当する可能性がある方は、お住まいの自治体に相談してみるのも一つの選択肢でしょう。

今回はADHDの特性と、それに伴う金銭管理の難しさ、そしてその対処法についてお話ししました。
「これは自分にも当てはまりそうだ」
「この方法ならできるかも」
と思えるものがあれば、ぜひ今日からでも試してみてください。
完璧を目指す必要はありません。
少しずつ工夫を重ねて、自分なりの金銭管理スタイルを築いていくことで、
日々の生活がきっとより安定したものになっていくはずです。