アスペルガー障害とは、相手の気持ちを読み取れないコミュニケーションの障害であり、現在では自閉症スペクトラム(ASD)の一つとして扱われています。主にアスペルガー障害は男性に多く見られますが、女性にも見られることがあります。特に女性は男性に比べて協調性があるので、男性に比べて気づかれにくいと言われています。
女性のアスペルガー障害は、子どもの頃は集団に溶け込めず、大人しい、天然、変わった子と見られることが多く、結婚して家庭を持つと夫や家族と同じ空間で生活しているうちに、コミュニケーションで問題を抱えていることが目立つようになります。また子育ての面で問題に直面することから、障害が判明することもあります。
今回は、女性のアスペルガー障害の特徴をお話ししていきます。

「女性同士の会話が出来ない」
アスペルガー障害を持つ女性の最大の悩みとして挙げられるのは、女性ならではの会話が出来ないことです。
冒頭にも述べたとおり、アスペルガー障害の人は相手の気持ちを読み取ることの他、場の空気を読むことが苦手です。そのため女性ならではの会話に多い、話題がコロコロ変わる、目的が明確でないおしゃべりは苦痛です。もし会話の輪に入れたとしても、相手の気持ちを読めず、場に合わない発言をしてしまうために、会話のテンポを崩してしまいます。そういったことからアスペルガー障害の女性は、学校や職場の休憩時間はほぼ一人で過ごすことが多くなり、特定の友人としか付き合うことが出来ないことがあります。また母親になると、いわゆるママ友との会話の輪にもうまく入れません。
「感覚が過敏である」
音、光、匂い、味といった感覚に対する過敏さを持っているため、普通の人には何ともない刺激を強く感じることがあります。その刺激に意識が集中してしまうため、物事への集中力が欠けてしまいます。
特に女性の感覚に対する過敏さで問題に上げられるのは味覚の敏感さです。苦手な食べ物が多いため、偏食気味になるほか、小食気味になることもあるので、結果貧血になりやすかったりします。
また女性は見た目や体臭といった見方へのこだわりも強いため、見た目を変えようと無理なダイエットをした影響で、摂食障害になってしまうケースもあります。
「体調を壊しやすい」
生まれつき、自律神経系に弱さを持つアスペルガー障害の女性は、先ほど説明した感覚に対する過敏さも相まって、普通の人より疲れやストレスをためやすく、体調不良になることが多いです。主に抱えやすい体調不良の内容は、微熱・胃腸障害・頭痛・体のだるさなどの他、女性ホルモンの影響から生理前後に体の不調を覚える症状、月経前症候群(PMS)、妊婦ならマタニティブルー、出産後なら産後うつ病にもなりやすいといわれています。
「お金をたくさん使ってしまう・騙されやすい」
アスペルガー障害の女性は、物事を計画的に進めるのが苦手です。そのため、衝動に身を任せて買い物をすることがあります。上手な販売トークに乗せられて高額商品を購入する、不要な物までついつい買ってしまう、買ったものをそのまま放置してしまい、整理整頓もままならないことがあります。
また、おいしい話に飛びつきやすい、いわゆる騙されやすい側面もあることから、詐欺被害や性的な被害に遭う傾向も高いです。
「家事が苦手」
アスペルガー障害の女性が同棲や結婚をして、最初に問題になるのは、家事が苦手なことです。
決められたことをやるのは得意でも、自分で計画して行動する家事は、計画の段階から苦手なのです。例えば掃除だと、細かい場所の出来栄えにこだわってしまい、結果1か所だけしか徹底的に掃除が出来ていない、という一極集中型になってしまいがちです。
「家族に怒りを向けてしまう」
完璧主義である、こだわりがある、そういったことから家族、特に夫との生活の歩調が合いにくいと言われています。夫の気持ちを読み取れないことも合わさり夫婦間の意見の相違も生じやすく、自分の意見を前面に出した言い争いにもなりやすく、最終的には泣く、怒るといったパニック状態に陥ることもあります。
また義理の両親(夫の実家)との付き合い方が分からないことも、夫婦間の揉め事の原因にも繋がります。
怒りや感情の矛先は、自身の子どもに向けられることもあります。子どもは自分の思い通りにならない存在であることもあり、子どものことは愛しているのに、どう扱えばいいのか分からない、子どもの態度でパニック状態に陥り、結果爆発してしまうこともあります。後に猛省し、自身を責めるものの、スイッチが入るとまた同じことを繰り返してしまいます。
このようなことからアスペルガー障害の女性は上手く家庭生活が出来ない、と自責の念に駆られた結果、うつ病になってしまうことも少なくありません。また、うつ病の治療経過が通常とは異なること、治療期間が長引くことから、うつ病の原因がアスペルガー障害にあった、と判明することもあります。

もし、最初にうつ病が見つかった場合、精神科での治療はうつ病が優先されます。ですがその背後にあるアスペルガー障害にも配慮が必要です。障害がある、そのことを家族が理解し、意識することで家庭での負担を減らすことが大事です。
自分は妻なのに、母親なのに、出来ないことが多い・・・これらは自覚や努力が足りないのではなく、生まれつきの障害によって起こっている症状です。出来ないことを一番苦しんでいるのは本人なのです。
家族全員が協力し、障害を理解し、意識することで家事や子育てを積極的に手伝っていく。その心がけが何よりも大切です。