親子間の感情的なつながりは、心理学では「愛着」として知られています。
この愛着は、成長してからの心の基盤となり、人との関わり方にも大きな影響を及ぼします。
理想的な対人関係は、相手を信頼し尊重し合い、過度に依存することなく、必要に応じて助け合う関係です。
子供の頃に親から十分な愛情を受け、良好な親子関係を築けた人は、このような安定した人間関係を形成できるため、「安定型」と呼ばれます。
しかし、親に問題があり、十分な愛情を与えられなかった場合、大人になってから不安定な人間関係を築きやすくなります。
不安定な関係には、過度に近づきすぎるもの、逆に遠ざかりすぎるもの、また一つの相手に対してその二つが揺れ動くものの3種類があります。
今回は、親から愛情を受けなかった人が形成しやすい3つの人間関係のパターンについて説明します。

親が精神的な問題を抱えていたり、夫婦関係が悪化して情緒が不安定な場合、子供への感情的な対応が一貫しないことがあります。時には愛情を示してくれるものの、何の前触れもなく突然怒り出すことがあり、子供は日々、希望と失望を繰り返すことになります。
成長すると、人の機嫌を伺い、嫌われないように過剰に気を遣うようになります。
また、親密な関係になると裏切られる恐怖から、相手にしがみつき、常に近い距離を保とうとします。
結果として、恋愛関係においては相手を束縛し、依存的になりやすく、拒否されると怒りを覚えます。このような人間関係は「不安型」と呼ばれます。

親が精神的に問題を抱えていたり、自身のことで手一杯である場合、子供に十分な注意を払えず、放任されることがあります。
子供は自分の欲求が満たされないことで、人に頼っても無駄だと学び、親密な関係を避けるようになります。
大人になると、人と一定の距離を保ち、責任を負うことや対立を避ける傾向が強まります。
実際には、心の中では誰かと親密になりたいと感じているものの、距離を置くことで矛盾した状態に陥ることがあります。
恋愛関係でも、相手から束縛されることを嫌い、心を開かないため冷たい人だと思われることが多いでしょう。
これが「回避型」の特徴です。
恐れ・回避型
幼少期に親と離別したり、虐待やネグレクトなどのひどい経験をした場合、不安型と回避型の両方の特徴を持つことがあります。
親密な関係を求める一方で、近づきすぎて傷つけられることを恐れ、相手に依存したり、突如激怒して相手を遠ざけるなどの不安定な行動を繰り返す傾向があります。
恋愛関係では、情緒不安定さから相手に暴力的な態度を取ることもあります。こうした関係は「恐れ・回避型」と呼ばれます。
以上が、親から十分な愛情を受けなかった人が陥りやすい3つの人間関係のパターンです。
中年期を過ぎても、不安定な人間関係に悩んでいる人は少なくありません。
しかし、子供時代に愛着が欠けていたからといって、必ずしも一生その影響を受け続けるわけではありません。
勉強し直せるように、愛着の問題も年齢を問わず改善することが可能です。
思いやりのある安定した人との交流を通じて、愛着を学び直すことができます。不安型の人は、長期的な安心感を与えてくれる相手によって徐々に裏切られる恐怖が解消され、回避型の人も束縛されない距離感を保つことで、親密さへの不安が緩和されます。
しかし、実際には似た傾向を持つ人同士で付き合うことが多く、不安型同士は互いに依存し合い、最終的には激しく争ってしまうことがあります。
また、回避型同士は互いに距離を保ちすぎて、深い関係が築けず、関係が長続きしないことがあります。
重要なのは、相手選びに慎重になることです。
自分の心をさらに傷つけるような相手を避け、良い人間関係を築くことができる相手を見つけることが大切です。
また、職場での成功体験や子育て、さらにはペットを通じて愛着を学び直すことも可能です。良い出会いがないと感じても、焦らず自分を大切にしましょう。