子供の頃に、親子関係で辛い思いをした人は、心の中心に寂しさや虚しさがあり、人間関係では「嫌われるのではないか」「見捨てられるのではないか」という不安にいつも怯えています。
自分に自信が持てず、人の顔色を窺い、自分の意見が言えません。
このような生きづらさによって生活での苦労が絶えないのです。
心理学では、親子の情的な絆を愛着と呼びます。愛着が土台になって心は成長していくのですが、それが欠けていると心の成長は偏ってしまいます。
親に愛されている実感があるから、自己肯定感が育ちます。しかし、親に愛されてこないと自分は必要のない存在であると思い込み、いつも見捨てられる不安に囚われてしまいます。
成長するにつれて、嫌われないように人の顔色を窺うような人間関係のテクニックが身についてしまいます。
これを大人の愛着障害と呼びます。

こうした生きづらさを改善させるためには、土台となる愛着を学び直すことが必要です。愛着は大人になってからでも、親以外との交流を通して学び直すことができると実証されています。
そのためには、情的な繋がりを築ける良心的な友人、先生、パートナーとの交流が必要です。また、子育てや医療・介護・保育の仕事を通じても親の立場で愛着を学び直すことが可能です。
さらに精神分析では、自分でも愛着のケアができると言います。子供に帰った気分で自分を甘えさせてあげることから、欠けた愛着を修復し、自分を育て直すことができるのです。
子供の頃に遡り、その時の満たされなかった自分を大切にしてあげることがポイントです。
具体的にどのような方法があるのか、傷ついた心を自分で育て直す5つの方法を紹介しましょう。
親との別れ、理不尽に怒られたとき、クラスのいじめなど、子供の頃に恐怖で体が硬直して何もできなかった経験はないでしょうか。
これは抵抗できない恐怖に対する体の反応のひとつです。緊張から体がすくんだ状態で子供時代を送ると、大人になっても猫背で胸を張れず、首肩から背中一面が凝った感じが取れません。
このような体のこわばりを整体やヨガでほぐすことで、緊張も気持ちもずいぶん変化していきます。
子供の頃の恐怖で緊張した体を整体師の手でほぐしてもらったり、ヨガを通して癒していくのです。
肩に力が入るのが習慣になっているので、一回では良くなりません。定期的に長く続けていると、猫背が治り、自然に胸が張れるようになることから、過去の恐怖から解放されたようになるでしょう。
遊びは子供の心の成長にとても大切なものです。愛着は親になにか世話をしてもらうことよりも、親との楽しい遊びの中で作られます。
特に遊びの中で経験する、心が躍動するワクワク感が最も重要な要素です。
このワクワクする感覚は大人の愛着障害を治すためにも役立ちます。
ゲーム、音楽、スポーツなど、様々な遊びを通して心が躍動することから愛着を育むことができるのです。
大人になると、「仕事は善、遊びは悪」という考え方が身についてしまいますが、そうではなく、子供に帰ったようにワクワクする趣味を通じて心を育て直すことができます。
心が躍動するワクワク感はエンタメを通して、言葉や映像でも経験することができます。本、映画、アニメ、音楽など、感動する作品は心を揺り動かしてくれて、これが大人の愛着障害に良い効果があります。
心を温めてくれる感動作をたくさん探し出してみましょう。
海外では、自閉症児の愛着治療のために、イルカ、馬、犬と触れ合うアニマルセラピーというものがあります。人懐っこい動物は人と愛着を築く能力があるのです。
身近な犬や猫を飼うことでも、大人の愛着障害を改善することができます。犬や猫は飼い主の愛情にとても敏感です。優しく接すれば素直に喜びを表現してくれます。触れた時の毛の柔らかさは心が癒されます。
ペットを大事にしていくと、子供の頃に学べなかった愛着を親の立場から学び直すことができるのです。
ただし、ペットは物ではありません。本やYouTubeなどで飼い方を良く調べて、最後まで命に責任を持つようにしましょう。
家でペットを飼えない状況でしたら、動物カフェを利用するのも良いでしょう。
心理カウンセラーは、相談相手と良い人間関係を築けるようにトレーニングを受けた人たちです。
良い出会いがない場合は、心理相談室を訪ねてカウンセリングを受けてみるのも良いでしょう。一回で良くなるものではありませんので、もしカウンセラーと相性が合うならば長い期間交流を重ねることが必要です。
以上、傷ついた心を育てなおす5つの方法を紹介しました。

自己肯定感の低い人が、自分の努力で克服しようと無理やり難しい課題にチャレンジすることがあります。
しかし、愛着という根っこがない人が無理をしても心は成長しません。それどころか、余計に心の傷が広がってしまいます。
まず、子供に帰って自分を甘やかし、「生きていても大丈夫なんだ」という安心感を手に入れることから始めましょう。