ASD白黒思考が辛い理由5選【大人の発達障害】

ASD(自閉スペクトラム症)と「白黒思考」のつらさについて

今回は、**ASD(自閉スペクトラム症)の方に多く見られる「白黒思考(0か100かの極端な思考)」**に焦点をあて、その特性がどのようにつらさや生きづらさに繋がるのかを丁寧に解説していきます。ASDという障害の基本的な理解から始め、「白黒思考」による5つの困りごとまで、順を追ってご紹介します。


ASDとは?

ASD(Autism Spectrum Disorder/自閉スペクトラム症)は、生まれつき脳の働き方に偏りがある発達障害のひとつです。以前は「アスペルガー症候群」「自閉症」などの診断名が用いられていましたが、現在はそれらを包括して「ASD」と呼ばれるようになっています。

ASDの主な特性としては、以下のような傾向が挙げられます:

  • 対人関係の取りづらさやコミュニケーションの難しさ
  • 特定の物事への強いこだわり
  • 感覚の過敏・鈍麻などの感覚特性

また、ASDの対人スタイルは「孤立型」「受動型」「積極奇異型」「尊大型」の4つに分けられることもあります。

また、ASDの対人スタイルは「孤立型」「受動型」「積極奇異型」「尊大型」の4つに分けられることもあります。

「白黒思考」とは何か?

ASDの方によく見られる思考パターンの一つに「白黒思考(または0・100思考)」があります。これは、物事を極端に「良い/悪い」「好き/嫌い」「成功/失敗」と二極で判断してしまう思考スタイルのことを指します。中間のグレーゾーンを受け入れることが難しく、結果的に生きづらさに繋がってしまうケースが多く見られます。

以下では、「白黒思考」がもたらす5つのつらさを具体的に見ていきましょう。


1. ネガティブになりやすい

白黒思考が強いと、些細な出来事を過剰にネガティブに捉えてしまう傾向があります。

たとえば、仕事でちょっとしたミスをして上司に指摘された場合、本来であれば「今回のミスを次に活かそう」と前向きに考えられる場面でも、白黒思考が強い人は「自分はもうダメな人間だ」「仕事に向いていない」といった極端な自己否定に陥ってしまうことがあります。

 ネガティブになりやすい

このように、一度の失敗を自分のすべてと結びつけてしまうため、自信を失いやすく、日常生活全体に悪影響を及ぼすこともあります。


2. 人間関係の維持が難しい

人間関係においても、白黒思考は大きな影響を及ぼします。

たとえば、最初は「この人は理想的な人だ」と思っていた相手が、ある時少し否定的な言葉を口にしただけで「この人はもうダメだ」「自分を否定した=嫌われている」と極端に解釈してしまい、人間関係を断ち切ってしまうことがあります。

こうした考え方は、相手に対する期待や理想が高い場合に特に強く現れ、ほんの小さなずれや違いを許容できず、結果的に孤立感を深めてしまうこともあります。

こうした考え方は、相手に対する期待や理想が高い場合に特に強く現れ、ほんの小さなずれや違いを許容できず、結果的に孤立感を深めてしまうこともあります。

3. 感情の浮き沈みが激しい

感情の浮き沈みが激しい

白黒思考の影響は、感情の起伏にも現れます。

物事を「すごく良い」か「全然ダメ」のどちらかでしか評価できないため、良いことがあったときは一気に気分が高揚しますが、ちょっとしたつまずきや失敗があると、その気分は急降下し、精神的にどん底のような状態にまで落ち込んでしまうことがあります。

このように、感情の起伏が激しくなると、心の疲れやストレスがたまりやすくなり、日常生活を安定して送ることが難しくなってしまいます。


4. ストレスを感じやすい

白黒思考の傾向を持つ人は、「100点でなければ意味がない」と考えがちです。

たとえば、ある作業をして80点の出来だったとしても、「100点じゃなかった=失敗だ」と感じてしまい、自分に満足することができません。このように完璧を求める思考は「完璧主義」とも呼ばれますが、裏を返せば「自分を認めることができない」「自分に優しくなれない」という苦しさもはらんでいます。

その結果、自己評価が常に低くなりがちで、常に緊張感や不安、焦燥感を抱え、精神的なストレスが増大していきます。

その結果、自己評価が常に低くなりがちで、常に緊張感や不安、焦燥感を抱え、精神的なストレスが増大していきます

5. スキルアップしにくい

白黒思考の影響で「完璧にできないならやる意味がない」と感じてしまうと、何かを継続する力が弱くなってしまいます。

白黒思考の影響で「完璧にできないならやる意味がない」と感じてしまうと、何かを継続する力が弱くなってしまいます

たとえば、少しでも失敗をしたり、壁にぶつかったりすると、「やっぱり自分には無理だ」と感じて途中で諦めてしまうことがあります。その結果、継続的な努力が難しくなり、経験を積むことができず、スキルの向上にもつながりにくいという負の連鎖が生まれてしまいます。


白黒思考との向き合い方

ここまで白黒思考のデメリットを中心にご紹介してきましたが、決してこの思考スタイルそのものが「悪い」というわけではありません。物事をはっきりと捉えられる、判断力がある、責任感が強いなど、良い面も多くあります。

。物事をはっきりと捉えられる、判断力がある、責任感が強いなど、良い面も多くあります。

しかし、白黒思考があまりにも強すぎると、自分を追い込んだり、対人関係を悪化させたりと、さまざまな問題につながる可能性があります。

そのため、「白か黒か」ではなく、「グレーもある」「80点でも十分頑張った」といった中間の価値観を受け入れる練習を少しずつでもしていくことが大切です。

「80点でも十分頑張った」といった中間の価値観を受け入れる練習を少しずつでもしていくことが大切です。

まとめ

ASDの方に多く見られる白黒思考は、時に大きなつらさや困りごとをもたらしますが、それを理解し、少しずつ柔軟な考え方を取り入れていくことで、生きづらさを軽減することが可能です。

「頑張った自分を認める」「ミスをしても自分の全てが否定されるわけではない」といった、自己受容の姿勢を大切にして、自分自身に少しずつ優しくなってみてください。

自己受容の姿勢を大切にして、自分自身に少しずつ優しくなってみてください。