【無理しないで】ASDが疲れやすい3つの理由と改善方法【大人の発達障害・アスペルガー症候群】

「生きているだけで疲れる」ASDの方が感じやすい疲労の原因と対策

「生きているだけでどうしてこんなに疲れてしまうのだろう」と感じたことはありませんか?

特にASD(自閉スペクトラム症)の特性を持つ方々にとって、日常生活そのものが非常に大きな負担となり、慢性的な疲労を抱えやすいという現実があります。

本記事では、ASDの特性と疲れやすさの関係、そして日々の生活を少しでも楽にするための具体的な対策について解説いたします。日々の暮らしの中で感じる「なぜこんなに疲れるのか」という問いに対して、少しでも理解と解決のヒントが得られたら幸いです。

ASD(自閉スペクトラム症)とは?

ASDとは、生まれつき脳の働きに一定の偏りがあり、対人関係や日常生活において「生きづらさ」を感じやすい神経発達症のひとつです。以前は「アスペルガー症候群」や「自閉症」などと診断されていた症状も、現在では「自閉スペクトラム症(ASD)」という名称で統一されています。

ASDの主な特徴には、以下のようなものがあります。

・他者とのコミュニケーションが苦手
・特定のものや行動への強いこだわり
・感覚の過敏または鈍麻

また、ASDの方の対人関係のスタイルは大きく「孤立型」「受動型」「積極奇異型」「尊大型」の4つに分類されることがあり、これにより対人ストレスの感じ方や対応の仕方にも違いが見られます。

ASDの人が疲れやすい3つの主な原因

ASDの人が疲れやすい3つの主な原因

1. 感覚の違いからくる疲労

ASDの方の中には、五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)に対する感受性が非常に強い「感覚過敏」や、その反対に鈍感な「感覚鈍麻」を持つ方がいます。

感覚過敏による疲労
たとえば聴覚過敏の場合、オフィスのキーボード音や話し声、街中の騒音が不快に感じられることがあります。嗅覚過敏があると、満員電車の中の匂いや香水の香りが強烈な刺激となり、ひどく疲れてしまいます。視覚過敏の場合は、太陽光や蛍光灯の明るさが眩しすぎて集中力を削がれることもあるでしょう。

感覚鈍麻による疲労
一方で感覚鈍麻の場合、疲れていてもそのサインに気づけず、知らず知らずのうちに限界を超えてしまうことがあります。身体はすでに悲鳴を上げていても、頭では「まだ大丈夫」と思い込んでしまい、ある日突然体調を崩してしまうというケースも少なくありません。

2. コミュニケーションに伴う疲労

ASDの方にとって、人とのやりとりはとてもエネルギーを使うものです。

注意や誤解を受けやすい
たとえば言葉の選び方において、「オブラートに包む」表現が難しく、正直に言いすぎてしまうことで、意図せず相手を不快にさせてしまうことがあります。結果として注意されたり、誤解を受けたりすることが増え、それが自己肯定感の低下やストレスの原因になります。

過度な気遣いによる疲労
ASDの方は「自分はコミュニケーションが苦手だ」という自覚があるからこそ、人一倍周囲に気を遣いがちです。周囲の空気を読もうと必死になり、「普通の人が自然にできること」を努力で補おうとするため、それだけで大きな精神的エネルギーを消耗してしまいます。

3. 思考や行動の極端さによる疲労

ASDの方の中には、思考や行動が極端になりやすい傾向があります。

完璧主義や0-100思考
「完璧でなければ意味がない」「できないならやらない」といった0-100思考により、一つのことに全力で取り組む反面、うまくいかないときの挫折感も大きくなります。このような極端な思考は、心身のバランスを崩す原因となることがあります。

過集中による疲労
過集中とは、一つのことに極端に集中しすぎてしまう状態です。集中力が高まる反面、食事や休憩を忘れてしまうほど没頭し、後で一気に疲れが押し寄せることもあります。

日々の疲れを軽減するための対策4選

日々の疲れを軽減するための対策4選

1. 休憩を「タスク化」する

過集中になりやすい方は、意識的に休憩を予定に組み込むことが大切です。たとえば、「55分作業+5分休憩」や「50分作業+10分休憩」など、定期的にアラームを設定するなどして、強制的に休憩を取り入れてみましょう。休憩も仕事の一部と捉えることがポイントです。

2. 感覚過敏に合わせた対策を行う

聴覚過敏にはイヤーマフやノイズキャンセリングイヤホン、視覚過敏にはサングラスやブルーライトカットメガネが効果的です。日常生活の中で自分が何に敏感なのかを把握し、それに合わせた環境調整を行うことで、疲労の軽減につながります。

3. 疲れを「見える化」する

1日を通して「今の疲労度は10段階でいくつか?」と自分に問いかけ、記録してみてください。どの時間帯に疲れやすいのか、何をした後に疲れているのかが見えてきます。それにより、効果的な休憩時間の見極めや疲労の原因への対処がしやすくなります。

4. コミュニケーションの工夫をする

職場や家庭での人間関係において、自分の特性を事前に伝えることも一つの方法です。例えば、「もし言葉で不快にさせてしまった場合は、遠慮なく教えてください」と伝えるだけでも、相手の受け取り方が変わることがあります。

また、「昼休みは一人で過ごしたい」などの希望があれば、それを丁寧に伝えることで誤解を防ぎ、自分にとって快適な時間を確保しやすくなります。

おわりに

ASDの特性を持つ方にとって、日々の生活は目に見えないストレスや疲労の連続であることも少なくありません。しかし「自分の疲れのパターンを知ること」「対処方法を持つこと」「人に少し頼ること」で、その負担は確実に軽減することができます。

この記事が、ASDの特性による疲れに悩む方やそのご家族、支援者の方にとって、少しでも心が軽くなるきっかけとなれば幸いです。