発達障害と依存症。この二つは一見すると直接の関連がないように思えるかもしれません。しかし、実際には発達障害を抱える方々が依存症を併発するケースは少なくなく、その背景には脳の働きや生きづらさといった要素が大きく関わっています。今回は、発達障害と依存症の関係性を中心に、依存症の相談先についても紹介していきます。
発達障害とは、生まれつき脳の機能に偏りがあることで、社会生活において困難を抱えやすい障害です。発達障害は主に以下の3つに分類されます。
これらの特性を持つことで、学校や職場でつまずくことが多く、その結果として二次的な問題を引き起こしやすくなります。
依存症は、精神障害の一種として位置づけられています。発達障害を持つ人の中には、アルコールやギャンブル、ゲーム、買い物、スマートフォン、薬物など、何らかの対象に依存する傾向が見られることがあります。

たとえば、海外の研究によれば、ギャンブル依存症の人のうち約25%にADHDの特徴が見られたという報告があります。このように、発達障害と依存症は切り離して考えることができないほど密接な関係にあるのです。
特にADHDの人は、脳内の神経伝達物質であるドーパミンの分泌量をうまく調整できないという特性があります。ドーパミンは、快感や多幸感、達成感といった感情と深く関係しており、やる気や集中力の源にもなります。
ADHDの人はこのドーパミンの分泌が不足している状態が日常的に続いているため、やる気が出なかったり、集中力が持続しにくくなったりします。そこで、ドーパミンを多く分泌させようとする働きが無意識に生じ、興味や快感を得られる対象にのめり込んでいく傾向が強まるのです。
一方で、ドーパミンが過剰に分泌されると、その刺激に対する耐性ができ、より強い刺激を求めるようになります。このサイクルが繰り返されることで、依存症に発展していくリスクが高まります。

発達障害を持つ人は、学校や職場、日常生活の中で多くの困難を経験します。対人関係がうまくいかない、自分の特性が理解されない、失敗が続く、といった積み重ねが大きなストレスとなります。
こうしたストレスから一時的に解放されたいという欲求は誰しもが持つ自然な感情ですが、その対象がアルコールやギャンブルなどになった場合、依存症へとつながってしまうことがあります。
自分ではやめたくてもやめられない、周囲から注意されても繰り返してしまう──そうした状態になったとき、それはすでに依存症の領域に入っている可能性があります。
依存症に気づいたとき、または家族や知人に依存傾向が見られるとき、どこに相談すればよいのでしょうか。主な相談先を紹介します。
全国の市町村に設置されている保健所では、依存症に関する相談にも対応しています。電話相談のほか、面談形式での対応も可能です。保健所には医師や精神保健福祉士などの専門家が配置されており、適切なアドバイスを受けることができます。
各都道府県に最低1つ設置されている機関で、保健所と同様に依存症を含む精神的な問題に関する相談が可能です。面談や電話による相談の他、必要に応じて支援機関への紹介も行われます。

依存症は精神障害の一種であるため、精神科や心療内科での治療が基本になります。依存症の治療を専門的に扱うクリニックも存在します。医師による診断と治療を受けることで、依存症からの回復を目指すことが可能になります。
同じような悩みや体験を持つ人々が集まり、お互いの経験を共有しながら回復を目指すグループです。参加者同士が支え合い、孤独感を和らげながら治療を続けることができる貴重な場となっています。共感や理解が得られることが大きな励みになることもあります。
依存症に苦しむ本人だけでなく、その家族もまた精神的に追い詰められることが少なくありません。金銭問題や対人関係のトラブルに巻き込まれることもあります。家族会では、同じような状況にある家族が集まり、情報を共有し合いながら支え合うことができます。
発達障害と依存症には深い関係があり、その背景には脳の特性や日常生活における生きづらさが関わっています。依存症は単なる「意志の弱さ」ではなく、脳の機能や心理的要因によって引き起こされる立派な精神疾患です。
もし自分自身や身近な人に依存傾向が見られるようであれば、早めの相談と対応が重要です。今回紹介した相談先を利用することで、適切なサポートを受けながら回復を目指すことができます。
理解と支援の輪が広がることで、発達障害を持つ人たちがより安心して暮らせる社会につながっていくことを願います。