現在、就労移行支援の利用を検討しているあなたへ。「就労移行支援に通えば将来が開けるかもしれない」と期待する一方で、「本当に自分に合っているのか」と不安を感じてはいないでしょうか。実は、就労移行支援はどこでも良いというものではありません。なぜなら、選び方を間違えると「かえって疲弊してしまった」「結局就職できなかった」というケースもあるからです。
この記事では、「発達障害のある方にとって本当に良い就労移行支援の選び方」について解説します。後半では、「そもそも就労移行支援に通うべきかどうか」という判断にも役立つ情報をお伝えします。

就労移行支援とは、障害のある方が一般企業への就職を目指すためのトレーニングやサポートを受けられる福祉サービスです。対象は18歳から64歳までの、何らかの障害や病気を抱えている方です。障害者手帳の所持が条件となる場合が多いですが、医師の診断があれば利用可能なケースもあります。
サービス内容は事業所によって異なりますが、代表的なものには以下のようなものがあります。
・生活・体調管理
・ソーシャルスキルトレーニング(SST)
・パソコンスキルの習得
・資格取得支援
・就職活動サポート
・就職後の定着支援
費用に関しては、国の補助により無料またはごく低額で利用できることが多く、特に住民税非課税世帯や生活保護受給者は自己負担が0円となることもあります。具体的な負担額は、お住まいの自治体に確認すると確実です。
では、発達障害のある方が就労移行支援を選ぶ際、どんなポイントを重視すべきなのでしょうか?ここからは、就労移行支援選びの重要な4つの視点をご紹介します。
就労移行支援の最大の目的は、利用者が就職し、長く職場に定着できることです。そのため、まずチェックすべきなのが「就職実績」です。実績の高さは、事業所に対して国から支払われる報酬にも直結しており、実績のある事業所ほど安定した支援が提供されている傾向にあります。
とくに注目したいのは「半年後の職場定着率」です。就職した利用者が6か月以上勤務を継続できている割合であり、これが高いほどマッチングの質やサポート体制が充実しているといえます。
厚生労働省のデータ(令和2年度)によると、全国に3,019か所ある就労移行支援事業所のうち、就労定着率3割以上の事業所は62%。裏を返せば、約40%の事業所はそれ以下で、なかには定着実績0という施設も16%存在します。
選ぶ際は、最低でも「年間6~7人以上の就労定着者が出ている(=定着率3割以上)」事業所を基準にしましょう。また、半年後の職場定着率が80%以上であることも、良質な支援体制を見極めるひとつの目安になります。
なお、新しく開業したばかりの事業所は、実績データがまだ蓄積されていないこともあります。そのため、できれば「開業から2年以上経過している」事業所を選ぶと安心です。
発達障害のある方にとって、スキルや資格の取得は大切ですが、それだけで安定して働けるとは限りません。実際、離職の原因は「業務上のミス」や「人間関係の不調和」など、対人スキルや自己調整能力の課題にあることが少なくありません。
そのため、最も重要なのは「自己理解を深める支援」があるかどうかです。自分の特性や強み、苦手なこと、必要な配慮などをきちんと整理できるようサポートしてくれる事業所を選びましょう。
たとえば、以下のようなプログラムがある事業所はおすすめです。
・発達特性の整理と表現方法の指導
・面接での自己開示の練習
・自己肯定感を高めるワーク
・苦手な場面への対処スキルの習得
スキル特化型の事業所を否定するわけではありませんが、「スキル+自己理解」の両面を支援してくれる場所の方が、長期的には就労の安定につながるでしょう。
どれだけプログラムが充実していても、それを支える支援員との信頼関係が築けなければ、十分な効果は得られません。特に就労移行支援では、時に厳しいフィードバックや課題への指摘を受けることもあります。
そうした指摘を「前向きに受け入れられるかどうか」は、その支援員を信頼できるかにかかっています。「この人の言うことなら聞いてみよう」と思える支援員がいることは、就労移行支援に通う上での大きな安心材料です。
体験利用や見学の際には、支援員の人柄や関わり方にも注目してみましょう。質問に対して丁寧に答えてくれるか、自分の話に真剣に耳を傾けてくれるかなど、感覚的な部分も大切です。
最後に確認したいのは「事業所の雰囲気」です。たとえば、オフィスライクな静かな環境で黙々と作業に集中できる方が合っている人もいれば、明るく開かれた空間で他の利用者と交流しながら進めるスタイルが合っている方もいます。
これは「良し悪し」ではなく「相性」の問題です。見学や体験利用で実際の雰囲気を確認し、自分が安心して通えるかどうかを感じ取ることが大切です。
就労移行支援のホームページやパンフレットでは伝わらないことも多いため、できるだけ複数の事業所を比較してみることをおすすめします。

ここまで読んで、「就労移行支援が自分に合っているのかよくわからない」と感じた方もいるかもしれません。実は、その迷いもとても自然なことです。
就労移行支援は「万能の解決策」ではありませんが、正しく選べば大きな助けとなる制度です。一方で、自己理解がすでに深まっていて、職業訓練よりもすぐに実務経験を積みたい方には、別の支援制度(障害者就業・生活支援センター、トライアル雇用等)が合っている場合もあります。
まずは見学や面談を通して、自分にとって最適な支援の形を探ってみてください。
発達障害のある方にとって、自分に合った就労移行支援を見つけることは、将来の職場で安定して働くための第一歩です。焦らずしっかり比較し、信頼できる支援員や環境と出会うことが何より大切です。
ぜひ今回ご紹介した4つの視点「就職実績」「自己理解への支援」「支援員の信頼性」「事業所の雰囲気」を参考に、自分に合った事業所を見つけてください。あなたの未来が安心と希望に満ちたものになるよう、心から応援しています。