他人に叱られたとき、泣きたくないのに涙がこぼれた経験はありませんか?たとえば、新しい職場でミスを指摘されて叱られ、言い返すことができず、自然と涙があふれてしまうことがあります。仕事をしっかり教えてもらっていないことが原因であるにもかかわらず、自分の人格全体を否定されたように感じ、上司の顔を見るのが嫌になってしまうこともあります。時には、叱られたことがきっかけで職場に行けなくなり、最終的に退職してしまう人もいます。
ハラスメントが問題視される昨今でも、叱られるのが当然であり、叱られて成長するという考え方が根強く残っている職場が多く存在します。興味深いことに、叱られたときの反応は個人差が大きく、何も感じない人もいれば、敏感に反応する人もいます。では、叱られて敏感に反応してしまう人には、何か問題があるのでしょうか?
心理学では、心はバリアで守られており、そのバリアが心を傷つけないようにしていると考えられています。ウルトラマンが怪獣の攻撃から身を守る透明なバリアを想像してください。心のバリアは「個人の境界線」「自他の境界」「バウンダリー」とも呼ばれ、他人の感情や思いが自分の心に侵入してくるのを防ぐ役割を持っています。しっかりとしたバリアがあれば、叱られてもそれほど気にせず、むしろ建設的な指摘として前向きに受け止めることができます。しかし、心のバリアが弱いと、叱られるたびに心が傷つきやすくなります。

今回は、叱られることに敏感に反応してしまう人の特徴について、心のバリアや個人の境界線に注目しながら5つのポイントを説明します。
1. 「叱る」と「怒る」は別物
「職場で叱られた」と感じたとき、それは実際には「怒られた」という方が正しい場合が多いです。まず、「叱る」と「怒る」の違いについて説明します。「叱る」とは、相手をより良い方向に導くために間違いを正すことを指します。感情的にならず、論理的に説明するものです。一方、「怒る」とは、自分の思い通りにいかないときや不満があるときに感情的に相手に当たることです。人格否定や人前での大声での注意は、「叱る」ではなく「怒る」に該当します。残念ながら、多くの人がこの2つを混同している場合が多く、私たちが心を傷つけられるのは、たいてい「怒られている」場合です。
2. 怒られると攻撃されたと感じる
信頼関係が築かれていない場合、相手からの怒りは感情的な攻撃として受け取られます。突然、心の中に入り込んできて、ネガティブな感情をぶつけられるように感じるためです。これでは、たとえ相手が正しい指摘をしていても、それを素直に受け入れることは難しいでしょう。人によっては、怒られたことが人格否定と感じることもあります。このような感情的な攻撃から心を守るのが、心のバリアです。
3. 心のバリアが弱い
心のバリアは、他者と自分を区別する境界線のようなものです。この境界線がしっかりしていれば、「自分は自分、他人は他人」という意識が明確になり、自分で物事を決められ、責任を持つことができるようになります。成長過程で親との関係が近すぎると、親との境界線が曖昧になり、大人になっても他者との境界がはっきりせず、メンタルヘルスに影響を与えることがあります。心のバリアが弱いと、怒られたときに相手の感情が自分の心に飛び込んできて、強く動揺します。反論することもできず、涙が出てしまうことがあります。また、他人が怒られているのを見ているだけで、自分も怒られているかのように感じることもあります。共感力があるといえますが、常に相手に左右されてしまうのです。

4. 心のバリアが弱くなる原因
心のバリアが弱くなる理由は3つあります。
1つ目は、生まれつき音や光に敏感で、周囲との境界線を引きにくい人です。感覚過敏と言われます。自閉症スペクトラムなどの発達障害の人に見られます。
2つ目は、親子の関係も影響します。親との関係が原因で境界線が曖昧なまま成長した人は、いつも親の言動が自分の責任のように感じ、自分と親との境界線がなくなり、他の人との境界線も明確にできなくなり、心のバリアが弱くなります。
3つ目は、心が不安定になると、一時的に心のバリアが弱くなり、他人の影響を受けやすくなります。うつ病の場合も、同様の理由で涙が出やすくなります。
5. 心のバリアを強くする方法
心のバリアが弱くなっていることを意識しましょう。心のバリアとは、やりたくないこと、嫌なことを「いやだ」と拒否する力のことです。心のバリアを強くするには、まず自分の素直な気持ちを尊重することが重要です。嫌なことを無理に引き受けず、自分が気持ちよく感じることをやり、不愉快なことは避けるようにして、自分の感情を大切にしましょう。また、ネガティブな感情をぶつけてくる人とは、できるだけ距離を置くことが大切です。そして、日常生活からストレスを減らすことで、心のバリアを回復させることができます。
このように、心のバリアが弱いと感じる人は、意識的に自分の境界線を引き、ストレスを軽減する生活を心がけることで、他人からの影響を受けにくくなるでしょう。