「毎日クタクタで何もできない」「人より早く疲れてしまう気がする」——こうした悩みを抱えていませんか?
発達障害の1つであるADHD(注意欠如・多動症)を抱える方の中には、日常生活の中で“異常なほどの疲れやすさ”を感じている人が多くいます。けれども、その原因が自分の障害特性にあることに気付いていないケースも少なくありません。
この記事では、ADHDの人がなぜ疲れやすいのかを4つの観点から解説し、その対策としてできる工夫を3つ紹介します。無理をせず、自分の特性と上手に付き合っていくヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
ADHDは発達障害の1つで、生まれつき脳の働きに偏りがあることで、日常生活に様々な困りごとを抱えやすい障害です。
ADHDには大きく分けて、以下の2つの特性があります。
集中力が続かない、忘れ物が多い、ケアレスミスが目立つ、話を最後まで聞けないなどの傾向があります。
じっとしていられない、思い付きで行動してしまう、相手の話を遮ってしまう、強い言葉で感情をぶつけてしまう、などが挙げられます。
これらの症状は人によって現れ方が異なり、「不注意が強く出る人」「衝動性・多動性が目立つ人」「両方がある人」に分かれます。
そのため、「ADHDだから疲れやすい」と一括りにはできず、自分の特性をよく理解することが、日々の生活や仕事で疲れを減らす第一歩になります。
ADHDの人は多動性や衝動性の影響で、じっとしていることが苦手です。無意識のうちに身体を動かしていたり、思い付きで行動してしまったりすることが多く、周囲の人に比べて身体的な活動量が増えやすいのが特徴です。
また、物理的な動きだけでなく、「頭の中の動き」も非常に活発です。
多くのADHDの人は、同時にたくさんのことを考えてしまい、頭の中が常に整理されず、ごちゃごちゃした状態にあります。
たとえば、「あれもこれもやらなきゃ」「次はこれを確認して、その後に…」と次々に思考が切り替わり、脳が休まる暇がありません。そのため、常に全力疾走しているような状態となり、非常に疲れやすくなってしまうのです。
ADHDと併存しやすい特性の1つに「感覚過敏」があります。これは、音や光、におい、肌の感触など、五感に対する刺激を非常に強く感じてしまう状態です。
特に多いのが「聴覚過敏」で、日常の雑音や人の声など、周囲の音が気になって集中できない、あるいは苦痛を感じてしまうケースが多く見られます。たとえば、職場のオフィスでキーボードの音や話し声が気になって頭がクラクラしてしまう…というようなことです。
こうした感覚刺激によるストレスは目に見えないだけに軽視されがちですが、心身のエネルギーをじわじわと消耗させ、知らぬ間に大きな疲れに繋がっています。

ADHDの人は「集中力が続かない」と言われる一方で、実は「過集中」という状態に陥ることもあります。
これは、特定の作業に極度に没頭してしまい、周囲が見えなくなるほど集中してしまう状態です。
過集中に入っていると、時間が経つのも忘れて作業を続けてしまい、気がつけば食事も休憩も睡眠も取っていなかった…ということになりがちです。
そして、その集中がふと切れた瞬間に、溜まっていた疲労がドッと押し寄せ、「急に動けなくなってしまう」という状態に陥ります。
このように、集中できるのは一見良いことのように思えますが、エネルギーの使い方に偏りが出てしまうため、結果として心身に強い疲労が残ってしまうのです。
ADHDの人には、睡眠に関する悩みを抱える人が非常に多くいます。
例えば、以下のような傾向が見られます。
睡眠は本来、日中の疲れを回復する大切な時間です。
しかし、睡眠の質が悪かったり、そもそも睡眠時間が不足していたりすると、疲れが回復せず、どんどん蓄積されていってしまいます。
その結果、慢性的な倦怠感や集中力の低下、意欲の減退などが引き起こされ、日常生活にも支障が出てしまうのです。
ADHDの人が疲れを感じやすい理由を理解したうえで、ではどうすれば疲れを軽減できるのでしょうか?
ここでは、日常生活で取り入れやすい3つの対策を紹介します。
過集中を防ぐためには、「疲れたら休む」のではなく、「時間が来たら休む」というスタイルを作ることが効果的です。
例えば、「25分作業したら5分休憩する」といった「ポモドーロ・テクニック」のような方法を使って、自動的に休憩を挟むような工夫をしてみましょう。
アラームやタイマーを活用することで、過集中状態に気付きやすくなります。
また、仕事や勉強、趣味などについても「〇時から〇時まで」といった時間制限を設けることで、メリハリのある生活が送りやすくなります。

アナログな方法ですが、「時間を意識する」ことはとても重要です。
デスクや作業スペースに時計を置き、常に視界に入るようにすることで、無意識に時間を確認する習慣が身に付きます。
また、デジタルタイマーやBGM付きのポモドーロアプリなどを使うことで、集中しつつも定期的に休憩を挟む工夫ができます。
「時間を決めて行動する」と聞くと、ストレスを感じる方もいるかもしれません。
特に、ゲームや創作などの趣味に没頭したいという気持ちが強い場合、常に制限されると逆に欲求不満が募ってしまいます。
そこで、例えば週末に「好きなことに没頭しても良い日」を作るなど、自分の中で“解放日”を設定してみましょう。
ただし、次の日に支障が出ない程度の時間や条件をあらかじめ決めておくことが大切です。
ストレスを溜めず、意識的に楽しむ時間を確保することで、心のエネルギーを補うことができます。
ADHDの人が感じる「疲れやすさ」には、脳や身体の働き、感覚、睡眠など複数の要因が関係しています。
だからこそ、「怠けているから」「気の持ちようの問題」と自己否定せず、自分の特性を理解し、無理のない工夫を重ねていくことが大切です。
今回ご紹介した対策はほんの一例ですが、自分に合った方法を見つけることができれば、日々の疲れを少しずつ軽減し、より自分らしく生活していくことができます。
頑張りすぎず、自分のペースで、一歩ずつ整えていきましょう。