うつ病は、その名前の通り、常に気分の落ち込みが続く疾患です。しかし、実際には気分だけの問題ではなく、興味や関心が失われ、行動する気力も減退し、常に疲労感を感じるようになります。うつ病は「生きるためのエネルギーが枯渇した状態」とも言い換えられます。機械が電池切れになると正常に動かなくなるように、人もエネルギーが尽きると行動が異常になり、普段できていたことができなくなり生活に支障をきたすようになります。それでは、うつ病になるとどのような行動変化が見られるのでしょうか?
ここでは、うつ病の際に見られる特徴的な10の行動の変化を紹介します。これらは、行動の変化を通じてうつ病に気づくためのサインにもなります。このような兆候が見られたら、うつ病を疑ってください。
- 家事ができなくなる
普段当たり前にこなしている家事も、実際には多くのエネルギーを必要とします。うつ病になると、片付けや掃除ができなくなり、部屋が散らかりがちになります。洗濯物もそのまま放置され、部屋の汚れを気にする余裕がなくなります。うつ病の人は、このような悲惨な部屋を見ても、どうすることもできません。そして、いつのまにかこのような生活に慣れていきます。
ただし、家事をしなくなる病気は、うつ病だけに限りません。注意欠如多動症・ADHDの人や統合失調症でも家事ができなくなります。
- 身なりを気にしなくなる 以前はファッションにこだわっていた人でも、うつ病になると身だしなみに無頓着になり、化粧をしなくなったり、同じ服を着続けても平気になります。新しい服を買っても、買った服をそのまま放置することが増えます。買うことにエネルギーを使い果たして、袋や箱を開ける気力がなくなるからです。
- 入浴を避ける
入浴にはかなりのエネルギーを使うため、風呂に入ることが面倒になり、髪を洗ったり、乾かすことさえ負担に感じます。最悪の場合、入浴そのものを避けることもあります。かろうじて入浴できても一仕事終えたような疲労感が残ります。風呂をやめてシャワーだけにしても、大変です。
- 人との交流を避ける
友人や同僚との集まりも億劫に感じ、「用事がある」と言って断ることが増えます。無理に参加しても楽しめず、家では、訪問者がいても居留守を使い、電話にも出なくなります。そして、家に引きこもることが多くなります。
- 休日に外出しなくなる
休日には外出する気力がなくなり、家で過ごすことが増えます。趣味にも興味を失います。日曜の夕方には、翌日から仕事が始まるかと思うと、憂鬱感が強まります。
- エンタメを楽しめなくなる
集中力が低下し音や光の刺激が煩わしくなるため、内容が頭に入ってこず、動画や音楽を楽しめなくなります。これまで好きだった娯楽にも興味がなくなるのはうつ病のサインです。
- イライラしやすくなる
常にストレスを感じ、些細なことで怒りっぽくなります。これにより、周囲から「最近怒りっぽい」と指摘されることがあります。
- 嗜好品の消費が増える
お酒やタバコ、甘いものなどに頼るようになり、一時的に気分を紛らわせようとします。眠れない時には、睡眠薬の代わりに使うようになったりして、嗜好品の量が増えていきます。しかし、使用量の増加は、依存症のリスクが高まるため、注意が必要です。
- 職場の行き帰りに寄り道をする
無気力感から、出勤途中や仕事帰りに無意味な寄り道をすることが増えます。寄り道ついでに買い物をして、所有欲を満たすことができるので、無駄なものを買ってしまうこともあります。
- 身辺整理を始める
生きている価値を感じなくなることを無価値感と呼び、うつ病の症状の一つです。無価値感から、自分の存在が無価値だと感じ、生きることに意味を見出せなくなります。何らかの理由で自分がいなくなっても、周りの人に迷惑をかけないように、身の回りの整理を始めることがあります。大切な物を人に譲ったり、処分することもあります。
うつ病の症状は徐々に進行するため、自分では気づかないまま生活が大きく変わっていることがあります。周囲の人から「病院に行った方がいい」と言われて初めて自分の異変に気づくことが多いのです。
早めに治療を始めるほど回復も早いので、少しでも異常を感じたらすぐに受診しましょう。
治療には休養と薬物療法の二本の柱が重要です。これらの治療を行うことで、失った生きるエネルギーを回復させます。
治療を始めるのが遅ければ、回復にも時間がかかります。 少しでも、様子がおかしいと感じたら、早めに受信しましょう。