うつ病の6つのタイプ:あなたはどのタイプ?

 うつ病にはさまざまな症状や経過があり、それに基づいていくつかのタイプに分類されます。高度情報化社会の影響により、過去30年ほどで「非定型うつ病」と呼ばれるタイプのうつ病が急増しました。かつてメディアでは「新型うつ病」や「現代型うつ病」として話題になりましたが、実際には新しいタイプのうつ病が出現したのではなく、既存のうつ病の割合が変化しただけです。

 うつ病はそのタイプにより症状や経過が異なるだけでなく、治療法も若干異なります。そのため、どのタイプのうつ病なのかを理解することは、適切な治療のために非常に重要です。今回はうつ病のタイプについて詳しく説明します。

 まず、うつ病とはどのような状態を指すのでしょうか。誰でも大切な人やペットを失えば一時的に悲しみに打ちひしがれ、何も手につかなくなることがあります。しかし、通常であれば時間の経過とともに自然と回復し、生活に戻ることができます。しかし、うつ病の場合、2か月以上気分が沈みそれまで楽しんでいたことに興味や関心が持てなくなります。生きるエネルギーが失われ、元に戻れないように感じるのです。さらに、考え方がネガティブになり、自律神経の乱れから身体的な症状も現れます。自己評価が低くなり、自分はいなくなったほうが良いと考えることもあります。

 身体的な症状としては、疲れやすさ、食欲不振、不眠などが挙げられます。治療を行えば数か月から1年ほどで回復することが多いですが、治っても再発する可能性があります。典型的なうつ病以外にも、いくつかのタイプがあります。

メランコリア型うつ病
 このタイプのうつ病は古代ギリシャから記録があり、強い絶望感により何事にも反応しなくなります。共通点として、責任感が強く、几帳面で、生真面目な人に多く見られます。症状は早朝覚醒があり、特にうつ気分は朝にひどく、食欲不振や体重減少が見られます。

非定型うつ病
 2000年ごろに注目され、「新型うつ病」とも呼ばれました。現在では、うつ病の半数近くが非定型となっています。非定型うつ病の特徴は、嫌なことがあると体が重く感じられますが、楽しいことには体が軽くなります。若い女性に多く見られ、メランコリア型のような性格に特徴があるということはありません。睡眠時間が長く、過食になりやすい傾向があります。非定型うつ病と診断された人の中には、双極性障害やADHDと診断されるケースもあります。非定型うつ病は一つのタイプではないようで、2019年に改訂されたWHOの分類には、非定型うつ病の記載はありません。

気分変調症・慢性うつ病
 うつ病と言えない軽い気分の落ち込みが、2年以上続く場合を「気分変調症」と呼びます。うつ病が2年以上続いている場合は「慢性うつ病」と呼びます。

季節型うつ病
 季節によって症状が現れるタイプです。冬季に症状が現れることが多く、日照時間の短さによるセロトニンやメラトニンの分泌の変化が原因と考えられています。女性に多く、過食や過眠の症状が現れることが特徴です。特別な治療に高照度光療法という治療法があります。夏に現れるうつ症状は、夏季うつ病です。これは、男性に多く見られ、夏バテのような症状です。

精神病性うつ病
 うつ病の中でも被害妄想などの精神病症状が現れるタイプです。悪いうわさが流されている、人から迷惑がられているなどと思い込むなど、重症のサインが見られます。また、銅像のように体が硬直してしまう緊張病という状態が起こることがあり、これらは、重症のサインです。

産後うつ病
 妊娠中の情緒不安定になることを「マタニティーブルー」と言います。出産への不安や女性ホルモンの変化が原因で、妊娠中の女性の20%が経験するといわれます。ほとんどは自然に治りますが、出産後3週間以上経っても改善しない場合は「産後うつ病」の可能性があります。赤ちゃんをかわいいと思えず、自分を責めることがあります。

 これらのタイプによって治療薬や治療期間が異なりますが、療養の基本は共通しています。心配事を減らし、無理のない規則正しい生活を心がけ、自然治癒力を信じて焦らずに過ごすことが重要です。楽しいことを見つけて生きる喜びを取り戻すことが、回復への第一歩です。