うつ病は、一般的に半年から1年ほどの休職で回復することが多い病気です。しかし、職場の都合で休職をためらったり、休んでも長期間の休職が難しいために、まだ十分に回復していない状態で復職することがあります。うつ病は高血圧や糖尿病などの慢性疾患と同様に、働きながら治療を続けるケースが多く見られます。働きながら治療すること自体は悪いことではありません。負担の少ない仕事であれば、生活のリズムを作ったり、働くことで生きがいや経済的な安心感を得られるため、回復をサポートすることもあります。これは、リハビリとしての役割を果たすこともあるのです。
しかし、仕事量が多すぎたり、人間関係がストレスの原因になるような職場の場合、うつ病の症状が悪化することがあります。病気の悪化を招くような働き方では本末転倒です。元の職場に復帰した人の約半数が1年以内に再発するというデータもあります。他の病気であれば、高血圧の人は塩分を控えたり、糖尿病の人は糖分を制限する生活をします。それでは、うつ病の場合はどのような生活を心がければよいのでしょうか?
今回は、働きながらうつ病を治療する際に気をつけたい8つのポイントをご紹介します。
- 無理をしない
治療中に辛いことがあれば、上司や産業医に積極的に相談しましょう。仕事の負担を減らしたり、苦手な人との接触を避けるようにしてもらうべきです。会社は利益を優先することが多いので、こちらから何度も繰り返し伝えなければ理解されないこともあります。主治医に診断書を書いてもらって仕事内容を改善するのも一つの方法です。一般的な職場であれば、診断書が出れば仕事内容や配置を変更してくれるでしょう。改善が見られず、我慢が続くようであれば、健康を優先して職場を変えることも検討しましょう。
- 手を抜いて楽をする
無理をしないだけでなく、手を抜けるところは抜き、楽をしましょう。例えば、「余計なことはやらない」「疲れたらすぐに休む」「面倒なことからは逃げる」といった言葉を心に留めておくと良いでしょう。実は仕事以上に家事が負担になることもあります。掃除、洗濯、自炊は思った以上にエネルギーを使います。これも手を抜くべきです。金銭的に余裕があれば、食器洗い機やロボット掃除機を活用しましょう。部屋が少し散らかっていても気にしないこと。生活がだらしない自分を責めてしまうなら、「病気だから仕方ない」と割り切りましょう。
- 刺激よりも安心感
刺激が少なくても規則正しい生活がうつ病の回復には大切です。平凡でも安心感のある生活を送りましょう。新しいことに挑戦するよりも、お酒の飲みすぎ、夜更かし、運動不足、悪友との付き合いなど、悪い生活習慣をやめることを優先しましょう。治療は足し算ではなく、引き算で考えましょう。
- 先のことは考えない
治療中は、早く治さないと出世に響く、仕事を増やさないと周囲に迷惑をかけると焦りがちです。しかし、病気は予定通りには治りません。焦る気持ちは神経を不安定にし、回復を遅らせます。先のことは考えず、目の前の治療に専念しましょう。
- 周囲の言うことや評価は気にしない
うつ病をカミングアウトすると、「まだ薬を飲んでるの?」や「うつ病は気持ちの問題だよ」といった心ない言葉をかけられることがあります。ネットでも薬の副作用を煽る記事や特殊な治療法を勧める記事が見られますが、根拠のない記事や誤った情報も多いので、周りに振り回されないようにしましょう。疑問があれば主治医に相談しましょう。
- 薬を勝手にやめない
長く薬を飲んでいると効果を疑いたくなることがあります。そして、薬を飲むことを止めてしまうことがありますが、抗うつ薬は飲むのを止めても1、2か月は効果が続くため、時間がたってから、急に調子が悪くなることがあり薬を再開することがよくあります。抗うつ薬は症状がなくなってから1年間は予防のために続けるのが一般的です。再発の場合はより長期間の予防が必要です。
- 悪くなるサインは睡眠と食欲に出る
治療中は、睡眠と食欲の変化に注意しましょう。特に眠りが浅くなることは、うつ病の悪化や再発のサインです。睡眠状態をチェックするアプリなどもありますが、無理に利用しなくても、寝つきが悪くなったり、夢をたくさん見る、朝早くに目が覚めるなどの変化があれば要注意です。
- うつ病を克服しようとしない
うつ病は「克服する」ものではなく、癒されていくものです。「1か月後には治す!」という意気込みで病気に逆らうのではなく、思い通りにならないこともあると諦めて、病気と仲良く過ごす方が回復は早いこともあります。